dark legend   作:mathto

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メアリーのことでジルとマルクはこそこそと話し合っていた。

「(おい、マルク。こいつ王族だから周りの人間に

ちやほやされるって言ってたけど、絶対自分から

そういう風にもっていってたんだぜ、きっと。)」

「(それはそうかもしれませんが本人に悪気があって

やっているわけではないからいいんじゃないですか?)」

「(悪気なくて人に迷惑かけるなんてよけい酷いだろ。

やっぱ一緒に旅すんのは無理なんじゃないか?)」

「(今は住み慣れた場所を離れて戸惑っているところだと

思いますよ。その辺は徐々によくなっていくものですよ。

だからもう少し長い目で見てあげましょうよ。)」

「(全くマルクは物分りがよすぎだぜ。そこがマルクの

いいとこでもあるんだけど。...分かったよ。しばらく

俺が我慢するよ。)」

「ねえ、何2人でこそこそ話してるの?あ、もしかして

あんたたちってホモなの?」

メアリーがジルとマルクを不審そうに見て言った。

「な、そんなわけないだろ!俺たちはお前のためにこれから

どうしたらいいかとか相談してたわけだよ。なあ、マルク。」

ジルはすぐに反論した。

「え、そ、そうですよ。メアリーのために相談していました。」

マルクはジルに合わせて答えた。

「ホントに?なんか隠してそうだけど。ま、いいか。」

メアリーはまだ2人を疑いながらも気にしないことにした。

「(ふう、なんとかおさまったか。で、これからどうする?)」

「(一度メアリーを喜ばすようなことをしてみては。)」

「(例えば?)」

「(服を買いに行くとか女の子なら喜ぶと思うんですけど。)」

「(待てよ、あいつの服見てみろよ。王族だからかかなり高そうなもん

着てるぞ。もし買い物にいってみろよ。俺たちの金すぐになくなっちまうぞ。

ただでさえこの国の滞在期間が長くて金使ってるっていうのに。)」

「(それだったら仕事を探すっていうのはいいんじゃないですか。

もし仕事できついと思ったら自分で帰りたいって言うかもしれませんし。)」

「(お、それいいじゃん。失敗して金が手に入らなくてもあいつがいなく

なってくれるかもしれないってことか。よし、やろう。)」

「なーに?これからどうするの?」

メアリーが楽しそうに尋ねた。

「俺たちは冒険者だ。だからいろいろと仕事を探しながらお金を稼いで

旅をしてるんだ。町の人々を苦しめるモンスターを倒すとかさ。

分かるだろ?」

ジルはメアリーに説いた。

「うん、分かる分かる。私、そういうの憧れていたのよ。これから仕事を

探すのね。」

「そういうことです。」

「よーし、私がんばるわ。」

メアリーはジルとマルクの思惑に気づかずに喜んでいた。

 

 

 

ジルたち3人は仕事の斡旋屋へとやってきた。

「『地域密着型求人案内所パーラム本店』ここだな。」

「へぇ~、ここが本店になるんですね。」

「本当にここでいいの?なんか宣伝の張り紙がいっぱい

張ってあってちょっと怪しいわよ。」

「大丈夫ですよ。前にも他のところで利用したことが

ありますから。意外と中はちゃんとしてるんですよ。」

「それならいいけど。」

メアリーも納得して3人、足を揃えて中へと入った。

「いらっしゃいませー。」

若い女性が元気よく挨拶してきた。

「ホントだ。中はしっかりしてるのね。」

「そうだろ。それにしてもさすがに田舎町と違って広いな。」

ジルは周りを見回した。

「さっそく求人票を見ましょうか。」

3人は求人票を張っている壁にやってきた。

「すっごい量だな。」

「この大きな壁一面にびっちり張られてますね。」

「どれにするか迷っちゃうよね。」

求人票の多さに3人共驚いていた。

「(マルク、分かってるな。)」

「(とにかく出来なさそうなものですよね。)」

2人は小さい声で話した。

「ん、何か言った?」

「何でもない、何でもない。」

ジルはドキッとしながら慌てて否定した。

「んー。」

メアリーはやりたい仕事を探してゆっくりと求人票を見ていく。

「どれがいいのかよくわからないなぁ。」

「(ジル、これ。)」

マルクが一枚の求人票を指差し小声で言った。

「(お、いいじゃん。)...これだっ!」

「え、何々?」

ジルが大きな声を出すとメアリーはジルに注目した。

「『超凶悪モンスター退治依頼』。これしかないな。」

「へぇ~、おもしろそうだね。やろうよ。」

メアリーは快く賛成した。

求人票を受付へ持っていき、手続きをすますとさっそく依頼者の

ところへと出かけた。


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