dark legend   作:mathto

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「ふぁ~、おはよ。」

メアリーが目をこすりながら、起きてきた。

「『おはよ』じゃねえよ。遅いんだよ、お前。」

ジルはすっかり身支度を整え出かける準備をしていた。

「何よ、朝っぱらから怒らなくてもいいでしょ。

私だってゆっくり寝たいときもあるわよ。」

「もう、分かったからさ。早くしてくれよ。」

「はいはい。」

しょうがないといった感じでメアリーは返事をし、

急いで準備をした。

「さ、行きましょうか。」

メアリーは元気よく先頭に立ち歩き出した。

「(よく我慢してますね。)」

マルクはジルにそっと話しかけた。

「(俺だっていつまでも子供じゃないしな。)」

ジルはさらっと答えた。

「(う~ん、ジークフリードと聞いてからジルが少し

変わってきている気がする。一体ジークフリードって

どんな人なんだろう?)」

マルクは不思議に思いながらジークフリードのことを

考えた。

そうこうしているうちに地図に書かれている

『ジークフリード資料館』の場所へとたどり着いた。

「え~と、これかな?」

「これでしょうか?」

「これしかないわよね...。」

3人が首をかしげる先にはさびれた一軒の大きな建物

がぽつんと建っていた。

「ま、とにかく入ってみようぜ。」

ジルは気持ちを改め、3人は建物の中へと入ることにした。

ギイィィ。

軋む扉を開けると、中は暗くはっきりしなかった。

「いらっしゃい。」

少し不気味な弱々しい声が横からすると、ろうそくの灯りと

共に腰の曲がった老人が姿を見せた。

「きゃああぁぁぁ!」

メアリーが大きな悲鳴を上げる。

「大丈夫かな?」

老人がメアリーを心配して聞いた。

「ごめんなさい、いきなり現れてお化けかと思ったもので。」

「ホッホッホ。無理もないの。こんなにボロボロではな。

言い遅れたが、わしはここの館長じゃよ。」

「そうだったんですか。でもどうしてこんな風になってるんですか?」

マルクは入館料を館長に支払いながら尋ねた。

「人の記憶とはすぐに薄れいくものじゃよ。わしがまだ若いころは

ジークフリードと言えば歴史的英雄でこの資料館も毎日たくさんの

人で賑わっておった。ところが剣聖ニムダ、勇者エトワール、

聖騎士レオンといった新しい英雄が現れるに従って訪れる人の

数がみるみる減っていったわけじゃよ。」

館長は昔を思い出すようにしみじみと寂しそうに言った。

「そんなことはないっ!」

ジルが突然大声で言った。その声で他の3人はビクッとなった。

「ジークフリードは俺の中でいつまでも世界最強の剣士だ。

他にどんな強い奴が現れたって決して変わることはない。」

 

 

 

ジークフリード資料館にて、ジルはジークフリードへの

想いを熱く訴えるとマルクたちは少しひいていた。

「ほっほっほ。そこまで想っている者がまだいたとは。

長くこの仕事をしてきたかいがあったわい。

まあ、ゆっくり見ていきなされ。」

館長は満面の笑みで言いながら館内の灯りのランプに火を

つけていった。明るくなると人がいないせいで寂しい感じが

漂ってはいるもののきれいに掃除はされていて、建物の古さが

いい情感を出していた。

ジルは興奮して展示物まで走って見に行った。

マルクとメアリーはゆっくり歩いてついていく。

「あー!これはジークフリードがホークブリザードと戦っている絵だ。」

また別の展示物のところまで走っていき、

「すげえ!ジークフリードが倒した一角獣の角じゃん。」

ジルは見るもの全てが宝石のように輝いて見えた。

「ジル、子供みたいにはしゃいで本当に嬉しそうよね。」

メアリーが見守るように言った。

「ええ、それだけジークフリードに思い入れがあるんでしょうね。

それにしても変ですね。」

「何が?」

「ここにあるのはジークフリードの戦っている姿を描いた絵と

倒したモンスターの体の一部ばかり。少しは本人が身につけていた

物とか遺品があってもいいものだと思うのですが。」

「そういえばそうね。館長さんに聞いてみましょうか。

すいませーん。」

メアリーは館長を呼んで事情を聞いた。

「ほっほっほ。お主ら、なかなか鋭いのお。確かにここには

ジークフリードの遺品は一つもない。しかしそれにはわけが

あるんじゃよ。」

「何々?何の話?」

ついさっきまで展示物を見回っていたジルが話に入ってきた。

「ほっほっほ。お主のような者には教えてもいいな。」

とジルを見ながら館長は言った。

「実はな、ジークフリードは氷づけにされているんじゃよ。」

「えっ!」

3人は同じように驚いた。

「そう、このノーザンランドで最後で最強のモンスター、

フローズンマンモスを倒したとき、敵の死に際の攻撃で氷づけに

なったというわけじゃ。わしらはあまりそれを見世物には

したくなかったから観光客にはめったに言わないんじゃ。

もう生きてはいないが英雄を粗末に扱いたくないから

人目につきにくい場所に今も大切に安置してあるよ。

場所を教えるから今から行ってみるといい。」

ジルは大まかな場所を書いた地図を館長から受け取った。

「あ、それから昨日一人ここを尋ねた男がおったんじゃ。

全身を黒いローブで覆ってどんな顔か全くわからんかった。

こっちが話しかけても何にも言わん怪しい男じゃった。

当然、ジークフリードの場所も教えてはいないが嫌な予感が

する。十分気をつけるんじゃぞ。」

「サンキュー、じいさん。じゃ、行くな。」

ジルたちは館長に別れを告げ、氷づけにされたジークフリードの

いるという場所へ向かった。

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