「そうですね、まずはきちんとした剣にしてくれる鍛冶屋ですね。
それと何か特別な能力をつけたいと思うのですがそのための
エネルギー源ですか。とびきり強力なものが欲しいですね。」
「ふーん、そうなのか。まあ俺たちもちょっと探しておくよ。」
「本当にジルさんはいい人ですね。」
「いや、そう言われると照れるなぁ。」
「その世界最高の剣がもし完成したら欲しいんでしょう?」
メアリーがジルにいじわるっぽく言った。
「え、そりゃまあな。剣士としてそういうのを手にしてみたい
ってのは確かにあるよ。」
ジルは素直に言った。
「ええ、かまいませんよ。別に誰かの為にと考えていたわけでは
ないですからね。」
「ホントか。ホントにいいんだな?」
ジルは一気にテンションを上げて念入りにヒヨルド博士に聞いた。
「もちろんですよ。」
「サンキュー。」
ジルはヒヨルド博士の手を取って礼を言った。
「ホント、げんきんなもんね。ついさっきまであんなに怒っていた
くせに。」
メアリーは皮肉っぽく言った。
「何だって。」
ジルが少し怖い顔をする。
「いいえ、別に。それにしてもヒヨルド博士はどうしてここに?」
メアリーはこれ以上ジルを怒らせることを避けるように話を逸らした。
「あっ、そうだ。忘れてました。私、カフィールさんに頼まれてたんです。
ジルさんたちが人を生き返らせる方法を見つけたら、死んだ人たちが
いるところへ案内するようにと。」
「グッドタイミングじゃん。俺たちちょうどそのことでここに戻って
きたんだよ。それにしてもいつ戻ってくるか分からない俺たちを待ってた
なんて暇なんだな。」
「いえいえ、ここは私の研究には事欠かない情報や物が揃ってますからね。
退屈はしませんでしたよ。もうすでに第二研究所をつくったくらいですからね。」
「それにしてもカフィールさんとはどういった縁で?」
ふと不思議に思ったマルクが尋ねた。
「前に魔力探知器を作ってあげたんですよ。そのときからその魔力探知器の
メンテナンスやら情報交換やらで親しくしているというわけですよ。」
「へぇ~、ヒヨルド博士ってただのマッドサイエンティストかと思ったら
意外と交友関係あるんだな。」
ジルは少し驚いていた。
「それは褒めてるととっておきますよ。それではさっそくですが案内しましょうか。」
ジルたちはヒヨルド博士に連れられていった。
ヒヨルド博士はジルたちをある一軒屋へと連れてきた。
「ここです。中は散らかってますが気にしないでください。」
ガチャと開けて入った先にはいろいろな道具が無造作に床に置かれていた。
「またいろいろなものが置いてありますね。」
マルクはヒヨルド博士に話しかけた。
「また後でゆっくり見ていってくださいよ。」
ヒヨルド博士は少し嬉しそうな顔をした。
「こっちに地下への階段があります。来てください。」
ジルたちはヒヨルド博士に言われるままに地下へと降りていった。
「どうぞ。」
ひんやりとした地下室には人が入ったカプセルのようなものが
たくさん並べてあった。
「これは...。」
ジルたちは驚いた。
「『人体冷凍保存装置』ですよ。これに入れば生きた人間が
老いることなく何百年も生きることだって出来るんですよ。まあ
これに入っている間は何も出来ませんがね。今回は死んだ人の
腐敗していくのを防いでいるわけです。」
「すごいわね。」
メアリーは感心していた。
「確かに。まさかこんなまともなものを作れるなんて見直したぜ。」
「ヒヨルド博士ってすごい人だったんですね。」
ジルとマルクもヒヨルド博士を褒めた。
「まあ、私的にはあんまりおもしろい発明ではないんですけどね。
ただ頼まれて作ったというだけのものですから。それでもこうして
褒められるのはうれしいことです。」
ヒヨルド博士は冷めたような口調で答えた。
「それじゃさっそく始めようぜ。おい、マルク。」
「はい。」
マルクは荷物の中から世界樹の葉を取り出しジルに渡した。
「で、これってどうやって使うんだろう?」
世界樹の葉を手にしてはみたが使い方が分からず戸惑うジル。
「えーと、どうするんでしょう?」
マルクも困っていた。
「それって死んだ人の上に乗せればいいんじゃないですか?
ちょっと待って下さい。今カプセルを開けますから。」
ヒヨルド博士はそう言って装置のボタンを押してカプセルを開けてまわった。
「さあ、どうぞ。」
ジルはヒヨルド博士に言われた通りにカプセルの中の人々の上に葉を
乗せてみた。
ボワーッ。
葉は淡い緑色の光を発しながらその下にいる人の中に潜り込んでいった。
すると人々の深い傷口がふさがり、一斉にパチンと目を覚ました。