dark legend   作:mathto

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ジルたちはオープンカフェでジュースを飲んでいた。

「ふぁ~ぁあ、暇だなぁ。」

ジルが大きくあくびをした。

「暇だなぁって。まだ休みだして3日目よ。」

メアリーは呆れたような口調でジルに言った。

「そんなこと言ったって。もう俺退屈で死にそうなんだもん。」

ジルはちょっと甘えるような感じで言った。

「何よ、その言い方。気持ち悪いわね。」

「何だって。」

ジルとメアリーはお互いにらみ合う。そんな険悪な2人の間に

マルクが入る。

「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。それじゃあ、また仕事を探しに

行ってみましょうよ。そうすれば退屈もなくなるでしょ。」

「あ、それいいかも。」

「うん、別にいいわよ。」

ジルとメアリーはマルクの提案を素直に賛成した。

「問題はどういう感じの仕事を探すかよね。」

メアリーは少し考え出した。

「そうだな、とりあえずは暇つぶしでやるような軽めの仕事

を探せばいいんじゃないか。」

「うん、そうよね。」

ジルの意見にメアリーとマルクはうなずいた。

 

3人は仕事の斡旋屋パーラムへやってきた。

「ええと、ちょうどいいのはあるかな?」

3人はそれぞれ求人票を見て回る。

「ゴブリン退治とかそんなんでもいいんだけどなぁ。」

ジルはそうつぶやきながらボーっと眺めていた。

「あ、これいいんじゃない?」

メアリーが一枚の求人票を指差してジルとマルクを呼んだ。

「『用心棒募集。腕っぷしの強い方希望』か。」

ジルが求人票を読み上げる。

「場所以外の詳しい説明は書いてないな。まぁ行ってみれば分かるかな。」

ジルたちは受付で手続きを済ますとさっそく依頼者の元へ向かった。

 

ガッチャーン!!

ジルたちが依頼者の家に近くまでくるといきなりガラスの窓が割れる大きな音がした。

「なんだろう?」

ジルたちは急いで家へと向かった。そこには男がわめきちらす野太い声が響いていた。

「オラオラ、調子に乗ってんじゃねぇぞ!コノヤロー!!」

「ほらぁ、さっさと売却を考えられてはいかがですか?こちらもあまり

手を煩わしたくありませんからね。」

家の中に入ると1人の女性に詰め寄る男が2人いた。1人は野蛮そうな大男。

もう1人はスーツ姿の一見紳士的な男だった。

 

 

 

「お前ら、何やってるんだ!」

ジルは思わず男たちに向かって叫んだ。

「おっと、お客さんか。それじゃ今日はこの辺で引き上げましょうか。

この次はいい返事が聞けることを期待していますよ。ほら行くぞ。」

紳士的な方の男がもう1人を連れて出ていった。

男たちが去った家の中はまるで嵐に襲われた後のように散らかっていた。

「これは酷いですね。」

マルクが一言感想をもらす。

「おばさん、さっきの連中は一体何なの?」

メアリーは怒りをおさえながら突っ立っている女性に尋ねた。

「あれは地上げ屋よ。私の家を安く買い叩いて儲けようって魂胆なのよ。」

女性も怒りに震えながら言った。

「それじゃ、この家を荒らしたのはあいつらってことかよ?」

ジルが女性に尋ねる。

「そうよ。毎日のように来ては脅してきて家を荒らしていくのよ。

もうこんな生活、うんざりよ。ところであんたたちは誰?」

「俺たち、用心棒募集の求人票見てここに来たんですよ。俺は、ジル。こっちが

マルク。そしてこっちがメアリー。」

ジルは女性に自己紹介した。

「そうなの。若いからなんだか心配ねぇ。でも今はあんたたちに頼るしか

ないわね。私はナンシー。よろしくね。」

「はい、こちらこそ。」

お互いに挨拶が終わったところでナンシーは本題に入る。

「それじゃあ、依頼内容の説明をしようかしら。もう分かっていると思うけど

この家はさっきの地上げ屋の奴等に狙われているの。だからそいつらがもう二度と

よりつかないように追っ払って欲しいのよ。」

「この国の治安隊には頼まなかったの?」

メアリーが尋ねる。

「頼んだけど全然力になってくれなかったのよ。あいつらと治安隊は裏で繋がって

いるからね。」

「そんなぁ。」

メアリーはショックを受ける。

「なぁ、メアリー。治安隊って何?」

ジルが横からメアリーに聞いた。

「もう、そんなことも知らないの?この国での犯罪を解決、防止するために作られた

組織よ。この国は人が多いから問題も多いのよ。だから治安隊は平和を維持するには

とても重要な存在なのよ。それが力になってくれないなんて。この国も危ないわね。」

メアリーは説明しながらも困惑していた。

「それが何故かっていうとあいつらの後ろにはビルドー不動産がついているのよ。」

 


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