dark legend   作:mathto

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「ビルドー不動産ってあのビルドー不動産?この国で最大手の不動産屋よね。

いい物件を他より安く売るって評判のいいところって聞いてるわ。」

メアリーが少し驚きながら言った。

「それはビルドー不動産が情報操作をしているからよ。会社にとって

不利になるような悪い噂が世間に流れないように徹底しているの。

私たちのような被害者を脅しで口止めする。ひどい時には殺すことだって

あるらしいわ。実態はいい物件を見つければそこに人が住んでいようと

とにかく安く売らせようとするの。断れば強行な手段を使う。

治安隊の偉いさんをその資金力で抱え込んで多少のことは目をつぶらせて

いるっていう話よ。」

「そんな...この民主国家で。」

メアリーはショックで力が抜けてしまった。倒れそうになるところを

マルクが支える。

「メアリーはこの国の王族。だからよけいにショックが大きいんですね。」

「民主国家だからこその腐敗ってやつかしらね。私は亡くなった主人と

暮らしたこの家を守りたいだけなのに...。そんな小さい願いを叶え

られない国なのかしら、ここは。」

ナンシーは涙をポロリと流しながらジルたちに訴えた。

「ナンシーさん、まかせて。私たちがあいつらをやっつけてやるから!」

なんとか立ち直ったメアリーは力強くナンシーに言った。

というわけでジルたちはナンシーの家に泊まりこみで守ることにした。

 

ここはビルドー不動産本社。

「おい、ピピン。あの土地は手に入れたのか?」

暗がりで姿がはっきりしないが椅子に座った男の低い声が部屋の中に響く。

「いえ、まだ少し手間取っていまして。社長、すいません。

すぐに手に入れられるように手配しますので。」

紳士的な格好した男ピピンは汗をびっしょりとかきながら弁解した。

「何のためにお前らの面倒をみてると思ってるんだ。あの土地は

新しい都市計画を完璧にするためには必要なんだ。

絶対に手に入れろ、いいな!」

社長ビルドーは脅すようにしてきつく言った。

「は、はいっ!」

ピピンは緊張で肩をピンとのばし焦りを感じながら返事をし、

部屋を出た。

「く、急がなければ。あの邪魔に入った奴等は用心棒か?

若造で大したことはないだろうが、こちらも念をいれておくか。

あの土地を手に入れるまでは戻れないな。」

ピピンは早足で夜の街へ出かけていった。

 

 

 

「まあ、所詮は町のチンピラみたいなもんだろ。俺らにとっちゃ

楽勝な仕事だよな。今回は。」

依頼人ナンシーのいないところでジルが言った。

「そうでしょうか?私はそんなに簡単にはいかないような気も

しますけど。」

マルクは一抹の不安を感じていた。

「簡単にいこうがいかまいがあいつらは許せないことに変わりは

ないわ!絶対やっつけてやるんだから。」

メアリーの言葉に熱が入る。

「メアリーはちょっと力入りすぎじゃないか。もう少し冷静になった

方がいいぞ。」

ジルがメアリーのことを少し心配する。

「ありがとう。でも大丈夫だから心配しないで。」

メアリーはジルの言葉を聞きつつも気持ちに変化はなかった。

 

数日後。

「なんだよ。あいつら全然こねえじゃん。もう諦めたのかな。」

ジルは待ちくたびれた様子で椅子にダランと座っていた。

「もう、そんなだらけた状態であいつら来たらどうするのよ。

ほら、ナンシーさんを見てよ。いつくるかって不安がっているでしょ。」

精神的に疲れているナンシーの横でメアリーは苛立ちを覚えていた。

ドカッ!!

「邪魔するぜぇ~。」

玄関のドアを蹴り飛ばしてこの前の大男とピピンがやってきた。

「奥さん、今日こそはいい返事を聞かせてもらいますよ。」

ピピンがナンシーに話しかける。

「おっと、そうはいかないぜ。ナンシーさんはここを売る気はないってさ。」

ジルが間に割ってはいる。

「君たちは何者ですか?」

「俺たちはナンシーさんに雇われた用心棒だ。」

「はっはっは。こいつはおもしろい。こんな若造君が用心棒とは。

おい、ベック。やってやれ。」

ベックと呼ばれた大男が前に出てきた。

「なんだよ。こんなんが相手じゃ張り合いがねえな。」

ベックはやれやれといった感じでジルの前にくる。

「いつでもいいぜ。かかってこいよ、おっさん。」

ジルはベックを挑発する。

「威勢だけはいいな。その言葉後悔するぜ!」

ベックはそう言うといきなりジルに殴りかかった。

ブンッ

ベックの拳はジルにさっとかわされ空回る。

その様子にピピンは目を見張った。

「ま、こんなもんだろうな。」

ジルは攻撃をかわされ驚いているベックに肘鉄を食らわす。

ドゴッ。

ジルの攻撃は見事にわき腹深くに命中した。

「ぐはぁぁ...。」

ベックは大きなダメージを受け床に倒れこんだ。

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