dark legend   作:mathto

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森の間を進んでいくジルとマルク。

ガサガサ。

「待って。なんかいるぞ。」

ジルはマルクに注意を促しとめた。

「なんでしょう?」

ガサガサガサッ。

現れたのは大イノシシだった。

「あれはイノシシですね。村で聞いた話では、

イノシシは人間を恐がってあまり近づかない

んですよ。人が寝てる夜や早朝に畑を荒らす

ことは多いそうですが。人間がえさを与えたりして

慣れが出なければ人を襲うことは少ないと思いますよ。」

「詳しい説明サンキュ。だけど、こいつは例外みたいだな。

見ろよ、興奮して俺達を襲う気満々だぜ。やるしかないな。」

ジルは剣を構える。

大イノシシは鼻息を荒くしてジルとマルクを狙っている。

「マルク、下がってろ。危ないからな。」

「はい、でも大丈夫ですか?ジルも危ないんじゃ?」

「心配するなって。」

大イノシシは勢いよく突進してきた。

ジルはその攻撃をさっとかわした。

まるで闘牛士のように。

「速い!」

マルクはジルの動きに少し驚いた。

「(いける。)」

ジルは大イノシシの方を向き剣を構え直した。

再び突進してくる大イノシシ。

グサッ。

突進をかわした瞬間、ジルは大イノシシの横腹に剣を突き刺した。

大イノシシは刺された反対側にバタッと倒れこんだ。

しばらくは暴れていたが、まもなく動きが止まった。

「やったー!勝ったぞー。」

「どうしたんですか。以前よりも強くなってるじゃないですか。」

「え、そうかな。ありがとう。そうだこのイノシシ食べちまおうぜ。」

2人はイノシシを丸焼きにして食事をした。

「調味料とかあったらよかったですね。」

「そうだな。これじゃまるっきり原始人だもんな。

でも味はまあまあかな。さっきまで生きてたから新鮮だもんな。」

 

 

 

「ダメだぁ。もう動けねぇ。」

ジルは地面に座り込んだ。

「あんな大きなイノシシ、全部食べようとするから。

お腹が張って動けなくなるのは当然ですよ。」

マルクは呆れた顔でジルに言った。

「いや~、なんかもったいなくてさぁ。」

「今夜はここで野宿ですね。」

「え、だってまだ日は落ちてないぜ。」

「じゃあ、これから動けるんですか?」

「そう言われるとちょっと...

もしかして怒ってる?」

「別に怒ってないですよ。そんなに旅を

急ぐ必要もないですし。」

「全くだ。」

ジルは素直にマルクの意見に従った。

 

そして次の朝。

「うん、体調万全。これなら今日中に

城まで辿り着けそうだ。」

ジルは元気一杯に体操をした。

「あんまりはしゃぐとまた疲れますよ。

でも、今日中に城まで辿り着くのには

賛成です。頑張りましょう。」

2人はまだまだ道のりは遠いと覚悟してたが、

歩き始めてすぐに城の姿が遠くから確認できるようになった。

「あれがそうじゃないですか?」

「え、そうなの?遠くからじゃよく分からないけど、

けっこう近くまできてたんだな。」

「もう一息ですね。」

そしてさらに歩きつづけること数十分、

城が目の前に見える城下町に到着した。


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