dark legend   作:mathto

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「(こうなったらポーさんが言っていた一か八かの

最後の手段を使うしかない。。やつの証拠を確証の

ないものにしてやる。)」

ジルの目つきが変わる。

「はい!裁判長。」

ジルが手を挙げて裁判長を呼んだ。

「はい、弁護人ジル君。」

ジルはある紙を持って壇上に向かった。

「ここに、ナンシーさん宛てに亡き旦那さんからの手紙が

あります。遺書とでもいうものでしょうか。」

ジルは紙に書かれていることを読み出そうとする。

「(そんな、馬鹿な。何度も夜に探らせていたがそんなものは

一切なかったはずだ。)」

ピピンは驚きを隠せずにいた。

「『私はピピンとその仲間に脅されて家を譲るという誓約書を

書かされた。すまない、ナンシー。こうしなければお前を殺すと

言われて仕方なくしてしまったんだ。お前もこれから苦しい思いを

することになるだろうがなんとかがんばって幸せを掴んで欲しい。

今までありがとう。』」

それを聞いていたナンシーは涙をポロリと流していた。

「うそだ!うそだ!そんなものが存在する...。」

「はずがないと?」

ジルはピピンの言葉の続きを自分の口から言って遮った。

「なぜ、そんなことが言えるのですか?これについても筆跡鑑定は

すでに済ませており確かな証拠として扱えるのですよ。」

「ぐぬぬ...。」

ピピンは言い返す言葉が見つからず口をくいしばる。

「......しかし、これは確かに偽物です。筆跡鑑定をして

頂いた方にお聞きしました。普通の人なら大抵の場合、細かい癖

などがたくさんあり真似をしようとしても微妙に違ってくるものだ

そうです。ところが、ナンシーさんの旦那さんの字は細かい癖という

ものがほとんど見当たらず、何度もよく見て練習すれば比較的

真似をすることがしやすいと。つまりこの裁判でナンシーさんの

旦那さんが書かれた書類は証拠としてあてにはならないということです。」

ジルは最後まで気を抜かずに喋って壇上から席に戻った。

「俺の証拠である誓約書が無効になるだと。ふ、ふざけるな!こっちは

ちゃんと権利書も握っているんだぞ!あの土地は俺たちのものだ!

そうだ!そうに決まってる!」

ピピンはもはや冷静でいられなくなっていた。

「原告ピピン君、勝手に喋ることは禁じられています。注意してください。」

裁判長は冷静にピピンに注意する。

 

 

 

「はい、裁判長。」

ジルが手を挙げる。

「どうぞ、弁護人ジル君。」

「こちらのナンシーさんも権利書をもっています。それは偽物で、今ピピン氏が

証拠のひとつとしてあげている権利書が本物なのですが、その偽物というのが

ですね...。」

ジルは裁判官や傍聴している全ての人に分からないようにして口元を

わずかにニヤッとさせた。

「ピピン氏の筆跡とほぼ一致したとのことなのです。これはピピン氏が

いつのまにか摩り替えたといっていいのではないでしょうか?」

ジルは言い終えると高鳴る気持ちを必死でおさえて平然とした顔でいた。

それを聞いたピピンは顔を真っ赤にし、完全に切れてしまった。

「き、貴様!絶対に殺してやる。殺してやるぞ!」

原告席から今にも殴りかかろうする表情でジルに近づこうとするピピンを

警備員が出てきて押さえにかかった。

「原告ピピン君。落ち着きなさい。」

裁判長はあくまでも冷静に注意する。

 

それからピピンがなんとか原告席に戻って多少落ち着いた後、

裁判長と裁判官たちは別室で審議が行われた。

それから数時間後、再び法廷に全員が戻ったとき、

「それでは、これより判決を申し上げる。」

裁判長がタンタンと小槌を打ち叩く。

ジルとナンシー、ピピン、そして傍聴席にいるメアリーとマルクは

ゴクッと息を呑んで裁判長の次の言葉を待った。

「原告ピピンが被告人ナンシーの家の所有権を主張し、

引渡しを求めた本件において原告側の所有権を示す証拠には

疑わしい面が多数あり、これを法廷にて認めることは出来ない。

また、原告側が被告側に行った行為については証人の

発言に真実性があり非常に獰猛かつ卑怯なものであると認める。

よって、被告側は無罪とし、原告側に禁錮10年の刑罰を与える

ものとする。

以上を以って、この公判は閉廷する。」

裁判は終わった。

「(よしっ!)」

ジルは小さくガッツポーズをして勝ち誇った表情になった。

「やった!」

メアリーとマルクは法廷であることから小声ではあるが大きな

喜びを隠せず、お互いの手を合わした。

ナンシーは疲れきった顔をしながらもほっとしたという感じで

安堵の笑みをこぼした。

「な、ばかな。そんなはずがあるわけない。俺が負けた。

完全にこちらが有利な条件を握っていたはずだ。それがなぜだ!」

ピピンは信じられないという顔で頭を抱えて叫んだ。

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