dark legend   作:mathto

136 / 279
271,272

ナンシー宅に帰ってきたジルたち一行。

「いやー、ほんとよかったよ。俺、涼しい顔するように

心がけてたけど内心はハラハラドキドキだったよ。剣を振ってる

方がよっぽど落ち着くよ。」

ジルは緊張の糸が切れたように椅子の上でぐたっとなった。

「でも、まさかあんなにうまく出来るとは思わなかったわ。

ジルのこと見直しちゃった。」

メアリーがジルをかわいい顔をして見つめる。

「あ、ジル。また顔が赤くなってますよ。」

マルクがちゃちゃを入れる。

「もう、マルク。よしてくれよ。」

ジルは恥ずかしそうにしている。

「それにしてもナンシーさん。ほんとによかったですね。

訴状が届いたときはどうしていいか分からないという感じ

でしたが、こうして無事裁判に勝てたわけですしね。」

マルクは穏やかにナンシーに話しかける。

「あなたたちにはなんてお礼を言っていいのか分からないわ。

報酬は一生かけてでもお支払いするつもりよ。」

「そんな、いいのよ。ナンシーさん。私たちあいつらが

許せなくて手伝った部分もあるわけだし。それよりまた

別のやつらがここを狙いにくるということはないのかしら?」

メアリーは少し不安になった。

「大丈夫だろ。裁判でみんなが注目してるような物件に

ちょっかいかけてくるような奴らはいないだろ。これで

本当に終わりだよ。」

ジルはナンシーを安心させるようにはっきりと言い切った。

「ありがとう。もし私にできることがあればいつでも言ってね。

できる限りのことはさせてもらうつもりよ。」

「サンキュー、ナンシーさん。それじゃお言葉に甘えて当分

ここにいさせてもらおうかな。」

「こら、もう解決したんだからいいでしょ。それじゃあね、

ナンシーさん。お元気で。」

メアリーはナンシーに別れの挨拶をすると、ジルを引っ張りだして

ナンシーの家を後にした。

マルクもナンシーに礼をすると後を追うように家を出た。

 

 

ここは刑務所。

「くそっ!あんなやつらに論戦で負けるなんて。信じられん。

悪夢だぁ!」

ピピンは部屋で頭を抱えていた。

ガチャ。

誰かがドアを開け、ピピンのいる檻の前までゆっくりと歩いてくる。

やってきたのは黒ずくめの男だった。

「だ、誰だ、お前は?」

檻の中のピピンは正体不明の来客に戸惑い、立ち上がり後ろに一歩下がる。

「失敗には死を。」

男はそれだけ言うと檻の外からナイフを投げ、ピピンの心臓を突き刺した。

「ぐふっ...。」

ピピンは腹を抱えてしゃがみこむとすぐにばたりと倒れた。

それを見た黒ずくめの男はさっと部屋を後にした。

 

 

 

「ピピンは殺しました。」

黒ずくめの男がビルドー不動産社長ビルドーに報告をする。

「そうか。それで?」

社長は暗がりではっきり姿を見れないないがその声には存在感が

あった。

「はい。裁判も傍聴していましたがわがビルドー不動産との関わりは

一切出てきてません。わが社の黒い噂は買収を拒んだものの間では

広がりつつありますから、ジルとかいうやつらが知らないということはない

でしょう。ただ、そのことを実証して裁判官たちを納得できるほどの証拠

がなかったということだと思われます。」

黒ずくめの男は淡々と説明した。

「ノーブル、分かった。もう下がっていいぞ。」

ビルドーがそういうと、黒ずくめの男ノーブルはすぐに姿を消した。

「あの土地だけは手に入れられなかったか。まあいい。

あそこは都市計画を完璧にするためのものだが、なくても

計画が中止になるほど重要なものでもないからな。

ジルか...。ピピンに勝ったくらいではまだ注意する必要も

なかろう。」

ビルドーはふぅとタバコを吸っていた。

 

 

「今回の依頼はすごい達成感があったよな。」

満足気にジルが言う。

「そうね。ジル1人すごいがんばったって感じよね。」

メアリーは笑顔で言った。

「私は特に何もしてない気がしてジルと同じ気持ちにはなれませんね。」

マルクが残念そうに言った。

「そんなことないわよ。私を助けてくれたでしょ。

マルクがいなかったら私、本当に死んでたかもしれないもの。

感謝してるわよ。」

メアリーはマルクをかばうように言った。

「そう言われるとちょっとうれしいです。」

マルクも笑顔になった。

「それで次の仕事を探しますか?」

マルクが2人に聞いた。

「次にすることは決まってるよな。」

ジルは同意を求めるようにメアリーの顔を見た。

「もちろん。」

メアリーはうなずく。

「ビルドー不動産をぶっつぶす!」

ジルとメアリーは声をそろえて力強く言った。

「え!?」

マルクは思わぬ意見に驚いた。

「ビルドー不動産ってのが相当悪い会社だってことを知ったからには

ほっとけないだろ。」

「そうよ。世間にはいい顔しといて、裏で汚いことやってる最低の会社

はこの国に全く必要ないわ。」

2人の意見に少し戸惑うマルクだったが、

「そうですよね。ナンシーさんのようにビルドー不動産のせいで酷い目に

あった人たちがたくさんいてるはずですからね。ほってはおけませんよね。」

マルクも2人の意見に賛成した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。