「しかし、何か方法はあるのですか?」
マルクはジルとメアリーに聞いてみた。
「そ、それは...。」
2人とも言葉がつまる。
「う~ん、難しいですよね、実際ビルドー不動産を倒すと
言っても。」
3人はいい方法がないか考え込んだ。
そのとき、
「君たち、俺に力を貸してくれないか?」
ジルたちにそう声をかけてきたのはどう見ても金持ちという風な
高価な服を着飾った男だった。
「あなたは誰ですか?」
マルクがすぐに聞いた。
「そうだな、自己紹介をしよう。俺はニクロム商会会長のニクロムだ。
よろしく。」
ニクロムが簡単な自己紹介をした。
「メアリー、この人知ってる?」
ジルがメアリーの顔を見た。
「うん。ニクロム商会って有名だよ。道具屋業界の大手だからね。
でもそんなニクロム商会が私たちに何の用なの?」
メアリーはニクロムに率直に尋ねた。
「実は今、不動産業界に進出することを考えているんだよ。それで
この国最大のビルドー不動産のシェアをある程度奪えないかと考えているんだ。
その手伝いを君たちに頼みたいというわけだ。」
ニクロムは少し声を小さくして3人に言った。
「どうして私たちに?」
今度はマルクが尋ねた。
「君たちの裁判をしっかりとみさせてもらったからだよ。あれだけの
ことが出来れば十分私の力になってもらえるだろうと踏んでこうして
声をかけたというわけだ。ビルドー不動産は君たちにとって敵といっても
過言はないだろう。成功すれば報酬も出すし、悪い話ではないと思うがな。」
ニクロムの言葉には少し熱が入り、目が輝いていた。
「う~ん、いい話だとは思うんだけど...。」
ジルたちは急な話で戸惑っていた。
「少し時間をくれないかしら。」
メアリーが提案をする。
「そうだな、君らも考えたいことがあるだろう。
とは言っても、あまりゆっくりもしていられないんでな。
明日、またここに来よう。そのときに返事をしてくれるか。」
ニクロムも納得して言った。
「はい。」
3人は声を揃えて返事した。
「いい返事を期待している。」
ニクロムはそう言い残して帰っていった。
「それで、どうするんですか?」
ニクロムが去った後にマルクがジルとメアリーに聞いた。
「ニクロム商会がビルドー不動産のシェアを奪えば確かに
痛い目にあわせることにはなるんだろうけど、俺たちの
目的はあいつらをぶっつぶすことだからな。ニクロム商会に
協力してそこまでいけるかどうかはけっこう微妙だよな。」
ジルはそう言って、また考えこんだ。
「それにニクロム商会って大きいから有名だけどいい噂も
悪い噂もほとんど聞かないのよね。だから、ニクロム商会が
ビルドー不動産と中身が変わらないなんて可能性も十分あり
えることなのよ。もし本当にビルドー不動産と変わらないん
だったらシェアが動こうが何もいいことはないわけだしね。
悩むわね。」
メアリーはジルに考えを求めるように顔を見た。
「そうだな。とりあえずニクロム商会に協力する形にして
おくっていうのはどうだろう?そうすればニクロム商会が
いい会社か悪い会社かってのはある程度分かってくるだろうし。
悪い会社って分かったら、そこで協力をやめるだけのこと。
それにビルドー不動産にダメージを与えるようなことをしてれば
ビルドー不動産をつぶす糸口も見つかるかもしれない。」
「つまりは様子を見るってところね。いいんじゃない。
今の状況だときっちりと決めることは無理だしね。」
「私もいいと思いますよ。私たちだけでは今のところ
ビルドー不動産に何も出来ないですからね。やはり協力者がいると
いうことはそれなりにメリットがあるでしょうし。」
メアリーとマルクはジルの意見に賛同した。
「決まりだな。」
次の日、ジルたちのところへ再びニクロムが姿を現した。
「さあ、返事を聞かせてもらおうか。」
ジルたちは顔を見合わせ、頷いた。
「協力しましょう。」
3人はまじめな顔で声を揃えて言った。
「そうか、よかった。」
ニクロムに笑顔が浮かぶ。
「ただし、条件があります。」
「ん?何かな?」
ニクロムの問いにジルが言葉を付け加える。
「俺たちがもしあなたにもう協力できないと思ったときには
何も言わずに抜けさせてもらいます。」
「まだ完全には信用していないということか...。
突然のことだ、それも当然だろう。信用はこれから少しずつ得れば
いいしな。分かった。その条件を呑もう。それでいいんだな?」
「はい!」
ジルはさっきまでとは違い笑顔で元気よく返事した。