dark legend   作:mathto

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「あ~あ、肝心なのは場所なのになぁ。もっといい情報は

手に入らないかなぁ。...って情報!」

ジルは何かに気づいたように言う。メアリーとマルクも同じことに

気づいた。

「情報屋!」

3人が口を揃えて言った。

ジルたちはさっそく情報屋の仲介をする少年シャムに会いに

行き、事情を説明した。

「ふ~ん、そうなんだ。分かった。そしたらまた

明日ここにきてね。」

ジルたちは一旦ダインと別れて宿屋へと帰ってきた。

「ニクロムは暗殺者を倒すことを考えて、俺やダインに依頼

したのかな。」

ふとジルが言う。

「違うと思うわ。ほらこの週刊誌見て。ビルドーは牢獄を素手で破って

看守5人を一瞬にして殺したって書いてる。周りの人間はそれを見て

恐怖から身動き取れなくなったの。ビルドー自体が化け物なのよ。

だから私たちに依頼したのよ、きっと。」

「へぇ~。」

ジルはメアリー意見に納得してベッドへと入った。

 

 

同じころ、ビルドーは暗殺者のところにいた。

「ノーブル、お前に最後の命令をする。ニクロムを殺せ。」

「『最後の』というのはどういう意味ですか?」

「この仕事を終えればお前は自由だ。俺の隠し財産を

好きに使っていい。俺にはもう不要なものだ。」

「社長はどうされるおつもりで?」

「俺は魔界に行こうと思う。こっちでこれ以上活動するのは

限界みたいだからな。魔界との契約を結んでいる俺には

そっちの方が似合っている。」

「分かりました。社長、どうかお元気で。」

暗殺者ノーブルは部屋を後にした。

「暗黒魔道士の話だと魔界へのゲートが開くのは3日後。

それまではここにいてるか..。」

ビルドーはふぅとため息をつき壁にもたれた。

 

真っ暗闇の中、ノーブルはニクロムの寝室のドアを静かに開けて

中に入る。

「おや、ノックもしないで部屋に入るなんて無礼じゃないかい?」

ノーブルが入ったすぐそばに立っていたのは死神ジョーカーだった。

「んんmm。」

ノーブルは驚きの色を隠せない。思わず声を出しそうになるのを片手を

口に抑えて防いだ。

「喋っても問題ないよ。だってニクロムはさっき僕が起こしたからね。」

ジョーカーがそう言うと、寝たふりをしていたニクロムが起きだした。

「どうして死神がここにいるんだ!?」

ノーブルは聞いた。

「暇つぶしみたいなもんだよ。ニクロムのボディガードなんて

ガラじゃないんだけどね。さぁ、たっぷり待ってたんだ。

僕を楽しませてくれよ。」

死神は大きな鎌を手にする。

戦うことを避けられないと理解したノーブルは剣を抜いた。

 

 

 

死神ジョーカーと向き合うビルドーの暗殺者ノーブル。

「さぁ、どこからでもどうぞ。」

ジョーカーの仮面の下からは余裕が見られる。

ノーブルは何も言わないまま覚悟を決めて動き出す。

ノーブルの俊敏な動きは一瞬にしてジョーカーに詰め寄り

剣を喉に突き刺そうとする。

しかし、剣が刺さる直前にジョーカーの姿は消えた。

「まぁ、こんなもんだろうね。暗殺者といっても。

僕との力の差は歴然だよ。せっかく長い間待ってたって

いうのにがっかりだ。さようなら。」

ジョーカーはノーブルの背後からそう言うとすぐに

手にしていた鎌でノーブルの首を刈った。

ノーブルの頭はゴロンゴロンと床を転げ、胴体の首の部分からは

大量の血を噴き出していた。地獄のような光景にニクロムは

恐怖を胸にして黙っていた。

「さて、仕事も終わったし帰ろうか。じゃあね。」

ジョーカーはそれだけ言ってニクロムの前から消えていった。

ニクロムは全身に脂汗をかいて少し前のことを思い出していた。

 

『「あとは暗殺者への対策だが...。ジルは用心棒として

使うから外すとして、あと使える人間と言えばあいつくらいか。

ダインに頼むとするか。」

ダイン宛に依頼の手紙を書こうとしたとき、

「僕が協力してあげようか。」

ニクロムのそばにふっと死神ジョーカーが現れた。

「し、死神が何の用だ。」

ニクロムは平静を保とうとしながら言った。

「君のボディーガードを買って出てあげるっていってるんだよ。

悪くないだろう。」

ジョーカーは愉快そうに言う。

「な、何を企んでいるんだ。」

「別に何も。僕はきまぐれなんだ。素直に僕の申し出を聞いとかない

と君の命をうばっちゃうかもしれないよ。」

「分かった。お前に暗殺者からのボディーガードを頼もう。」』

 

「ああしてボディーガードを頼んだが俺にはいつ死神が俺の命を奪う

のか気が気でいられなかった。あとビルドーが捕まれば俺はやっと

安心して眠れるようになるのだろうか?それとも死神の力を借りた俺は

地獄へと足を踏み入れることになるのか。この俺が弱気になるなんてな。

だが、俺は今の地位を守り抜いてみせるぞ。」

ニクロムは大汗をかきながら力強く言った。


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