dark legend   作:mathto

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第2章
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ジルがビルドーを倒した2日後、そのビルドーが倒れた部屋にて。

 

バチバチバチッ!

 

ブーン。

 

激しい電撃と共に大きな黒い穴が現れた。

その穴からは1人の黒ローブの男がすっと出てきた。

「ここが『テラ』か。すぐにカーラ様の命令を遂行

しなければ...。」

男は部屋を後にした。

 

 

「ねぇねぇ、これかってー。」

メアリーが店の中で売られている服を引っ張る。

「おい、メアリー。昨日買ったとこだろ。そんなにバンバン

金使ってたら一気になくなっちまうぞ。」

ジルがメアリーを咎める。

「だって~、見てると欲しくなるんだもん。

ねぇ、おねがい。」

メアリーはかわいい笑顔を作ってジルにねだる。

「(かわいい。)よししょうがないなぁ、これで最後だぞ。」

そう言ってジルがお金をだそうとすると、

「ダメです。これはさすがに買いすぎです。もっとお金を

大事にしてください。」

マルクがジルから財布を取り上げた。

「ケチー。」

「けちー。」

ジルとメアリーがマルクに不満そうに言う。

「(この2人いつの間にこんな息が合うようになったんでしょう。

仲がいいのはいいですが、金遣いが荒くなるのは危険ですね。

ここは私がしっかり管理しなければ。)」

マルクは堅く決意をした。

 

「はぁ~、今日も楽しかったな。」

ジルが宿屋で満足そうな顔をして言う。

「そうね、こういうのが毎日続いたらいいのにね。」

メアリーもうれしそうに言う。

「2人とも。ビルドー不動産のことがあったからしばらくは

ゆっくりとしててもいいですが、仕事をしないままで遊び

続けてたらお金なんてすぐになくなってしまうんですよ。

分かってるんですか?」

マルクは強い口調で言った。

「わ、わかってるよ。でも今はこの時間を楽しく過ごすことを

考えようぜ。情報屋からもニクロム不動産はおかしなことを

してないって聞けて安心したんだし。この平和をじっくりと

味わおうぜ。」

「さんせーい。」

ジルの言葉にメアリーがのっかかる。

「(はぁ...。私の力ではこの2人を抑えられないかも

しれない。これから先がすごい不安です。)」

マルクはため息をついて落ち込んだ。

「どうした、マルク。なんか嫌なことでもあったのか?

もう夜だし。眠っちまえば忘れられるかもしれないぜ。」

ジルはマルクを気遣うように言う。

「いえ、なんでもありません。」

マルクはさっきまでの不安が消え、穏やかな笑顔になった。

その晩、3人はぐっすりと眠ることが出来た。

 

 

 

喫茶店でジュースを飲むジルたち。

「さぁ~て、今日は何をして遊ぶかな。」

ジルが楽しそうに言う。

「買い物もちょっと飽きてきたわね。」

そう言うとジルとメアリーは考えだした。

「あの、それでしたらまた仕事を探すというのは

どうですか?」

マルクは意見を言う。

「却下。」

「却下ね。そんなにすぐに働きたくないものね。」

ジルとメアリーはそろって拒否する。

「そしたら演劇を見に行くというのはどうですか?」

マルクは再び意見を言う。

「ん?それはけっこういいかもしれないわね。」

「うん、いいじゃん。行こうぜ。」

2人はその意見には賛成した。

「演劇場の場所はたしかあっちの方よね。」

メアリーが指差して言う。

「じゃ、さっそく行きますか。」

ジルたちは演劇場に向かって歩いていく。

 

ジルたちが歩いている途中、目の前に黒ローブの男が現れた。

ジルはその雰囲気から怪しいものを感じていた。

「何か用か?」

ジルは男に警戒しながら尋ねた。

男はジルの問いには答えず、右手を前にかざして手のひらより

少し大きい程度の紫色に光る球体が出現させた。

「暗黒魔法『悪夢の檻』。」

男が呪文を唱えるとメアリーが光る球体に吸い込まれた。

「きゃああぁぁ!」

「おい、てめぇ。メアリーになにしやがったんだ。」

ジルは怒りを込めて言う。

男はメアリーを閉じ込めた球体を片手で持ったまま

ジルたちの前から走って逃げ去ろうとした。

「おい、こら待てよ。」

ジルとマルクは男の後を追う。

男とジルたちの距離は近づかず離れずといった感じで街中を

走り回る。

そして、男の動きが止まり行き着いた先はビルドーの部屋だった。

そこへジルたちもやってくる。

「やっと追いついたぞ。さぁ、メアリーを返してもらおうか。」

「あの、ジル。あれは!?」

マルクの視線の先は黒ローブの男の背後にある大きな黒い穴だった。

「この娘返して欲しくばこっちにこい。」

男はそれだけいうと穴の中へメアリーを連れて入っていった。

「マルク、いくぞ!」

「はい!」

ジルとマルクはためらうことなく黒い穴へと飛び込んだ。


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