dark legend   作:mathto

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「あ~ぁ、いっちまった。これについて知ってたら聞きたかったんだけどな。

仕方ないか。また次のモンスターが現れたときに聞くか。」

ジルは木の実を食べながら呟いた。

「今のところ手がかりはそれだけですからね。

がんばりましょう。」

マルクが元気よく言った。

「おう。」

ジルも声を上げて返事をした。

2人はお腹がふくらむまで木の実を食べると、それを袋につめて

歩き出した。

 

 

しばらく歩くとようやく森を抜けて広い原っぱへと出ることができた。

「ふぅ~、やっと出れたな。」

ジルが一息ついて言った。

 

トン。

 

それは突然現れた。

体を白い毛で身を包み背中には翼を生やした男だった。

「よぉ、お探しの女は見つかったか?」

「お前は誰だ!」

うっすらと笑いを浮かべる男とは対照的にジルは警戒心をむき出しにして言った。

「ジル、あれ。」

マルクが指差したのは男の額だった。

「あれは紙に描いていたのと同じ模様だ。」

「自己紹介をしようか。俺の名は堕天使グラビル。イデア教四魔人の1人だ。

この額の紋章はイデア教のシンボル。そこらの雑魚モンスターはこの紋章を

見ただけで逃げ出すだろうな。」

「グラビル。お前らは何の目的でメアリーをさらった?」

ジルは率直に聞いた。

「ふん。それを知りたければ俺らの神殿に来い。」

「力づくで聞かなきゃダメってことか。」

ジルが剣を構える。

「俺とやるつもりか、おもしろい。お前の力をみてやろう。」

シュンッ。

グラビルが手を広げると爪が大きく伸びた。

「行くぞっ!」

ジルから攻撃を仕掛けた。

グラビルはその攻撃をさらっとかわす。

「所詮、人間の力はこんなもんか。がっかりだな。」

グラビルはそう言うとジルの腹に爪を突き刺した。

「グフッ...。」

ジルは苦痛に顔を歪ませ膝をついた。

「さて、そろそろ帰るか。」

グラビルがジルに背中を見せたとき、

「...おい、待てよ...。」

グラビルが振り返った先にはジルが力を振り絞って立ち上がっていた。

「ほう、まだ力が残っていたか。」

「...まだ終わってねぇんだよ!」

ジルから黒いオーラが吹きだした。

「む。(これはもうすでに目覚めているというのか。)」

グラビルはジルの様子を観察する。

「さぁ、行くぞ。」

ジルが再びグラビルに剣を振るう。

グラビルはそれも難なくかわす。

「(ほぅ、この状態でも自分を保ち続けるとはな。だが...)」

グラビルはカウンターで膝蹴りをジルの顎にくらわす。

「まだまだだな。」

地面に倒されたジルはかろうじて意識を失わずにいたが、

動くことが出来なかった。

 

 

 

「(これはおもしろいことになるかもしれんな。)

おい、ジル。また会うときを楽しみにしとくぞ。

それまでにせいぜい強くなれよ。」

グラビルは不敵な笑みを浮かべて飛び去っていった。

「ぐ、ぐぅぅ...。」

ジルは去り行くグラビルに何も言い返せなかった。

「はっ、すいません。早く回復させなきゃ。」

マルクはあわててジルに回復魔法をかける。

「くそっ!!」

回復したジルは拳を地面に叩きつけて悔しがった。

マルクにはかける言葉が見つからなかった。

「マルク、俺は強くなる。もっともっとな。このままで済むと

思うなよグラビル。」

立ち上がったジルは拳を握り締め闘志を燃やしていた。

「そう、その意気ですよ。がんばりましょう。」

マルクはジルにわずかに恐れを感じながらも励ました。

 

それからジルは現れたモンスターを次々に倒していった。

それは強くなるためであったが、マルクには先ほどの憂さ晴らし

をしているようにも見えた。

「ジル、少し休みましょう。」

マルクが優しく声をかける。

「まだだ、俺の力はこんなもんじゃねぇはずだ。」

ジルは殺気立ちマルクの意見を受け入れなかった。

その様子にマルクは、

「(仕方ない。)『イエローフローラル』」

マルクはジルに魔法をかけた。

するとジルからは殺気が消え、いつもどおりに戻っていた。

「どうですか?落ち着きました?」

マルクが笑顔で尋ねる。

「うん、悪いな、マルク。俺ちょっと焦ってたのかもしれないな。」

「いいんですよ。早く強くなってメアリーを助けたい気持ちは

分かりますが慌てずにいきましょう。」

「そうだな。」

ジルも笑顔になった。

 

一方、グラビルは神殿へと戻ってきていた。

「お帰り。」

1人の女性が柱にもたれかかってグラビルを出迎えた。

「シェラハか。」

グラビルは素っ気無く言った。

「で、どうだったの?『封印体』ってのは?」

「さぁな。」

「何なのよ、それ。ちゃんと見てきたんでしょうね。」

「ああ、一戦交えた。あの程度ではただの雑魚と変わらないな。」

「な~んだ。そんなもんなんだ。」

「今はな。だがこれからどう変化するかが楽しみだ。」

グラビルは笑みを浮かべる。

「あなたが笑うなんて珍しいわね。私もジルに会いにいこうかしら。」

「勝手にしろ。」

そう言うとグラビルは神殿の奥へと消えていった。

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