dark legend   作:mathto

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一方、囚われのメアリーは。

「もぉ~、いつまで私をこんな狭いところに閉じ込めて

おく気なの。いいかげん出しなさいよ。」

メアリーはトイレと簡素なベッド、それとローソクがあるだけの

牢に入れられていた。そこへ見張り番兼世話役の

モンスターが食事を持ってやってきた。

「いいかげんおとなしくしたらどうだ。お前の命はすでに

俺たちの中にあるんだからな。」

「何よ!だったらすぐに殺したらいいじゃない。

あなたたちには私を生かしておく理由があるから

ここに閉じ込めているんでしょ。」

「(く、この女。分かっているのか。)

し、しかしだな。おとなしくしてた方がここでの待遇も

かわってくるとは思わないか。」

「あら、あなたたちモンスターがそんなことを気にするものなの?

あなたに気をつかえばここのまずい食事もおいしくなるかしら?」」

メアリーは意地悪そうに言う。

「かわいげのない人間の女だ。お前のようなやつを助けに

来る奴が本当にいるのか疑わしいものだな。」

モンスターは皮肉ってメアリーの前から去っていった。

「(来てくれるわよね、ジル。)」

メアリーは悲しげな表情をしてローソクの火をじっと見ていた。

 

 

「あそこも違ったか。」

船に乗るカフィールが1人呟いた。

「(人がいかないような秘境という秘境はもうほとんど行き尽くしたと

思うが、本当に俺の捜し求めているものが存在するのか。)」

カフィールに迷いが生じていた。

「(...ん、待てよ。もしかして...)」

カフィールは何かを思いつき考えていた。

 

それから数日が過ぎて。

カフィールは馬に乗って父レオンが散った暗黒魔道士のアジト跡

の近くに来ていた。

「今まで気づかなかったがここも人が寄り付かない場所だ。

荒地と岩山からなり常に不安定な魔力で包まれるこのカナンなら

本当に伝説の洞窟、そして神の剣があるかもしれない。」

そしてかなりの時間探し回った後、一つの洞穴を見つけた。

「ここなのか。いや、まだ分からない。とにかく進んでみよう。」

カフィールは洞穴の中へと慎重に足を進めていった。

中に入るとすぐに地下へと延びる階段があった。

カフィールはその階段を降りていった。

降りた先でカフィールが少し驚く。

「これは...。照明となるものは何もないのにやけに明るい。

間違いない、ここが『試しの洞窟』だ。」

カフィールはそう確信した。

 

 

 

試しの洞窟に入ったカフィール。

「!?」

カフィールの目の前には槍が天井と地面から素早く

突き出たり戻ったりを繰り返していた。

「これが第一の試練ってとこか。」

カフィールはしばらく槍の動きをじっと見ていた。

「今だ。」

カフィールは槍の動きを読み、走って槍が戻ったところの

隙間をぬって突き進んだ。それは紙一重のところでもう少しで

槍に串刺しにされそうなものだった。

「最初からこんなものが仕掛けてあるとは。簡単にいくものでは

ないな。」

そこから歩いて先に進んでいくとまた下へと延びる階段があった。

カフィールはそこを降りていく。

降りた先にはただの道が続いていた。

「ここは何もないのか。」

そう言って再び足を進めたとき、

ズボッ。

いきなり足元の地面が崩れ落ちた。

「落とし穴か。」

カフィールは間一髪片手を地面にかけて落とし穴から落ちずにすんだ。

カフィールは片手に力を込めて体を引き上げた。

「古典的な。しかしこの穴に落ちれば一気に下へといくことが出来るのか?」

地面に落ちた石を拾って穴へ落としてみる。

しかし石が地面に落ちる音は聞こえずその穴が底なしに深いことを

分からせた。

「この洞窟には魔力がかかっている。ここが近道ということはなさそうだな。」

それから他にも落とし穴が仕掛けられていないか慎重に足を進めた。

「ふぅ、階段か。ということは落とし穴はこれで終わりか。」

次に待ち受けていたのは全身を鎧で身を包んだ剣士だった。

その剣士は剣を手にしてすでに戦闘態勢をとっていた。

合わせてカフィールも剣を抜く。

「人の気配は感じられない。おそらく人形の類だろう。」

カフィールと鎧剣士はすぐに剣を交えたがあっさりと勝負はついた。

敗れた鎧剣士は鎧がボロボロと崩れ落ちあとには何も残っていなかった。

鎧もすーっと消えていった。

カフィールはそのことに大して気にもとめなかった。

その後も試練は続いた。

針天井、岩雪崩、より強力な鎧剣士等等、下に降りていくにつれて

試練は徐々に厳しくなっていった。

そして今カフィールの目の前には巨大な石のゴーレムが立っていた。

「こいつは一筋縄ではいかなさそうだな。」

カフィールは剣を抜いて構える。


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