dark legend   作:mathto

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カフィールの目の前に立ちふさがるゴーレム。

「こいつに普通の攻撃が通用するとは思えないがやってみるか。」

カフィールの剣に光が宿る。

「『ホーリーファング』。」

剣がゴーレムにぶつかるとガキンという大きな音がしたが、

ゴーレムの体がわずかにかけただけで全く効いていなかった。

「駄目か。なら仕方ない。こいつは体力の消耗が激しいから

あまり好まないのだが。」

カフィールは剣を両手で握り、剣先をゴーレムへと向けた。

「『ホーリーブライトン』」

剣先から光がすごい勢いで帯状に飛び出しゴーレムを貫いた。

ゴーレムは胸の中央がぽっかりと空いた状態になり、

その場へバタリと崩れ落ちるように倒れた。

「少し休憩するか。」

さっきの攻撃で汗を少しかいたカフィールはその場に座り込んだ。

 

休憩を終えたカフィールはまた進み続けたが、

いくら下へ下へと降りていっても最下層にたどり着けずにいた。

「く、一体どこまで続いてるんだ。」

なかなか終わりが見えないことに不安と苛立ちを感じていた。

 

それからかなりの時間が経った。

「ま、まだ最下層に着かないのか。もう何百階と降りてきたはずだぞ。

ずっと洞窟の中だから何日経ってるか全然わからないな。

あぁ、喉が渇いてきた。」

カフィールは衰弱してきて、体はふらふらだった。

それでもなお進んだ先に待っていたものは金色の竜だった。

「ゴールドドラゴンが出てくるとはいよいよ俺の考えが正しい

ということだろうな。とにかくこのままじゃ戦えないな。」

と言って腰につけていた袋から回復薬を取り出して使用した。

「ふぅ、これでなんとかいけるか。」

カフィールはゴールドドラゴンに向けて剣を構えた。

「グオォォォォォン!」

ゴールドドラゴンは大きな雄叫びを上げる。

そしてカフィールの立っている地面に炎のブレスを吐き出した。

ゴォォォォォ。

カフィールはそれを避けるように上へとジャンプしてゴールドドラゴンに

剣を斬りつけた。

「!!」

剣はゴールドドラゴンにぶつかるとカキンと折れてしまった。

「剣にこれまでのダメージがたまっていたのか。」

カフィールはゴールドドラゴンを蹴って、反撃を避けるように後ろに

飛んで下がった。

「ならば。」

カフィールは剣を捨て、右手を開いて体の前にもってきた。

 

 

 

「エウドラ、お前に教えてもらった魔法使わせてもらうぞ。

『イルパ』。」

カフィールの右手の先に小さな黒い穴が開く。

その中から一本の槍が現れ、それを手にした。

「『シルバーランス』。俺のもう一つの武器。

俺は聖騎士である前に一人の戦士。

こいつで戦士としての俺の力を示す。」

ゴールドドラゴンは爪や牙による攻撃をしかけてきた。

カフィールは槍を使って攻撃を受け流していく。

その中でゴールドドラゴンの一瞬の隙を見つける。

「『サウザンドペイン』。」

カフィールの槍は瞬時にゴールドドラゴンの体に無数の穴を開ける。

ゴールドドラゴンは体中から赤い血を噴き出させてもがいていた。

カフィールはゴールドドラゴンを気にも止めずその横を

歩いていく。そしてゴールドドラゴンがちょうど背中に来たとき、

ゴールドドラゴンはばたりと倒れた。

 

「これがおそらく最後の階段だろう。」

カフィールは目の前の階段を前にしてそう感じていた。

暗い小さな部屋に剣が突き刺さっていた。

人の背丈ほどある巨大な剣だった。

「これが...。」

カフィールは剣を見て気持ちが昂った。

『汝、力を欲するものか?』

どこからともなく声が聞こえた。

「そうだ。」

カフィールは返事をする。

『ならばこの剣を手にするがいい。』

声の主に従いカフィールがその剣を引き抜くと、

剣は眩い光を放出させた。

「重い、それよりもあふれ出てくる力の強さを感じる。

これが神の剣...。」

両手で剣を持ちその感触を実感していた。

『誰もここに来る者はいないのかと思っていたがようやく現れたか...。

私はこの剣を作り、この剣に宿る者。かつてはエクスデスと名乗っていた。

今はこの剣『エクシード』そのものと言える。』

「『エクシード』...。俺はカフィール=シュトラウス。

我が正義のため、お前の力貰い受ける。」

『正義のためか...。それは主の自己満足だな。

正義なんてものは人それぞれ、自分が正義と思っていることが

他人には悪に見えることはよくあるからな。」

「そうかもしれない。だが、俺は信じる道を進むと決めたからな。」

『ならば何も言うまい。私が最強を目指して作った力、

主に託そう。』

剣から放出される光は辺り一面に広がり、気が付くとカフィールは

洞窟の入り口の前に来ていた。

カフィールは魔法でエクシードを穴の中へ収めこの地を後にした。

 


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