ズルッ。
ジルが鼻水をすする。
「なぁ、マルク。なんか寒くねぇ?」
腕を両手で抱えて体を温めるようにして言った。
「確かにそうですね。」
マルクも手を擦りながら寒さを感じていた。
そこへ雪がひらひらと空から落ちてくる。
「雪...ですね。」
「どおりでさむいわけだぜ。...っておい、あれ...。」
ジルが指差す先にはうっすらと青い氷の城が聳え立っているのが見えた。
「この辺りを治めているモンスターがいるということでしょうね。」
「行ってみるか。」
ジルが軽く言ってみる。
「はい。でもその前に防寒具を身に着けないと寒さで死んでしまいますよ。」
「そういえばノーザンランドに行ったときのやつってどうしたっけ?」
「あぁ、あれはサンアルテリア王国の預かり所に預けてありますよ。
だから取りにいかないと。」
ジルとマルクは魔法でテラへと戻ると防寒具を取りにいった。
「マルク、大丈夫か。魔法を使って随分疲れているんじゃないか?」
ジルがマルクを気遣う。
「大丈夫ですよ。少しずつですが私の魔力も上がっているみたいですから。
もうこの魔法で倒れるようなことはないと思いますよ。」
「それならいいけど無理はすんなよな。」
ジルは念を押して言った。
「はい、ありがとうございます。」
マルクのために少し休憩してから魔界へと戻った。
「さぁ、行くか。」
防寒具を着た2人は氷の城に向かって歩き出した。
すると目の前に大きな雪だるまが現れた。
雪だるまは何も言わないまま大きくジャンプしてドスーンと
2人を押しつぶそうとした。
2人は難なく避けることが出来た。
「動きは鈍そうだから攻撃を避けるのは簡単そうだけど...。」
「どうやって攻撃するかですよね。」
「こいつに普通の剣が通用するのかどうか...。」
ジルは考えながらゆっくりと剣を抜いた。
「とにかくやってみるか。」
ジルは雪だるまに向かって剣を振った。
ズバッ。
ジルの剣は雪だるまの腹を斬った。
しかし血などは一切出ず、斬ったところはすぐに塞がった。
「やっぱ効かないかぁ。どうしよっかな。」
ジルは雪だるまを前に再び考え出した。
「こうなりゃあれを使うか。マルク、火炎石だ。」
「えっ、火炎石。でもそれは戦闘には向いていないと...。」
「いいから渡してくれ。」
理解できずにいたがしょうがなくマルクはジルに火炎石を投げて渡す。
「どうなるかな。」
ジルは剣を収めて火炎石を右手に握りしめる。
「行くぜ、雪だるま。」
ジルは地を蹴り雪だるまの顔の前まで飛び跳ねた。
そこで右手にある火炎石を前に出す。
ボッ。
石から火の粉が前に飛んだ。
火の粉によって雪だるまの顔が僅かに溶ける。
「やっぱこんなもんか。」
地面に戻ってきたジルが残念そうに言う。
「でも溶けたところの再生とかはないみたいだな。溶けたままに
なってる。よし、こうなったら根気よくいってみるか。」
ジルは雪だるまの攻撃を交わしつつ少しずつ少しずつ
雪だるまの体を溶かしていった。
かなりの時間が経って。
雪だるまは虫食いにあったかのように体のあちこちが欠けていた。
そのせいか動きは初めよりも遅くなっていた。
ジルたちは雪だるまの攻撃をいとも簡単に交わせるようになり、
さらに雪だるまの体を溶かしていく。
さらに時間が経つと、雪だるまは体中がえぐられて見るも無残な
姿となっていた。
ドサドサドサァー。
ついに体を保つことが出来なくなり雪だるまは崩れ落ちた。
「ふぅ~、やっと終わった。だるいなぁ、これからずっとこんなやり方で
戦うなんて出来ないぞ。なんか方法ないかなぁ。」
ジルはちまちまとした攻撃を続けなければならなかったことに
倦怠感を感じていた。
「炎の剣でもあればなんとかなるかもしれませんけどね。」
マルクが横で呟く。
「それだ!」
ジルが閃いたように大声を出す。
「どうしたんですか!?」
マルクは驚く。
「あいつに頼むんだよ、あのマッドサイエンティストに。」
「ヒヨルド博士ですか。なるほど、あの人なら作れるかもしれませんね。」
2人は一路ヒヨルド博士の研究所へと向かった。