dark legend   作:mathto

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ジルとマルクはヒヨルド博士の第2研究所前に来ていた。

「お邪魔しまーす。」

マルクがそう言って中へ入る。

しかし、部屋の中には人の気配がなかった。

「あれ、いねぇな。もしかしてミッフェンの方に戻ったかな?」

2人が立ち尽くしているところへヒヨルド博士が外から戻ってきた。

「あれ、ジルさんとマルクさん。どうしたんですか?

あ、もしかして私の発明品を見にきたんですか?でもあいにく

今は新しい発明はないんですよ、すいませんね。

ただすごい鍛冶屋さんを見つけたんですよ。剣を作るための。」

「何!じゃあ剣が作れるってことか。」

ジルは期待を膨らませる。

「ええ、そうなんですが...。その鍛冶屋さんが今は行方不明

になっていまして...。」

「そうか...。俺たちも剣のことでここに来たんだけどな。」

ジルはさっきと一転してがっかりした。

「というのは?」

3人は席についてジルが事情を話した。

「...炎の剣ですか。それだったら出来ないことはないと思いますよ。

何か炎の魔力が込められている物などはありませんか?」

「ああ、それでしたらこれはどうですか。」

マルクがヒヨルド博士に火炎石を渡した。

ヒヨルド博士は虫眼鏡のようなもので火炎石をじっと分析した。

「これですか。そうですね、これ自体の魔力は弱いですが増幅装置を

組み込めばなんとかいけそうですね。う~ん、一週間ほど待ってください。

それで完成させましょう。」

「やりましたね、ジル。これでいけますね。」

「そうだな。こいつに頼らなきゃいけないのがちょっと癪に障るけどな。」

そうしてジルとマルクは炎の剣の完成を待つことにした。

 

一週間が過ぎて、2人はヒヨルド博士の研究所にやってきた。

「あ、いらっしゃい。出来てますよ、炎の剣。」

ヒヨルド博士はそう言ってジルに炎の剣を見せる。

まさしく燃え上がる炎をそのまま剣にした形で剣の中央に火炎石が

埋め込まれていた。ジルはその出来栄えに満足そうな表情を浮かべる。

「サンキュー。これで十分戦えそうだな。」

ジルは剣を受け取り気持ちを昂らせていた。

「これはこの辺にいる普通の鍛冶屋さんに頼んだので特別攻撃力が

高いということは期待できません。私が見つけた鍛冶屋さんは

帝国領のバトラスにいたらしいのです。もしそこに行くことがあって

鍛冶屋さんが戻っていたら頼んでみてもらえませんか?」

「ああ、でも随分やっかいなところにいたんだな。俺たち一回行ったこと

あるけどちょっと大変だったぜ。」

「そうなんですか。私は帝国から入国許可証を頂いているので自由に

行き来が出来ますよ。」

「そんなものがあるのか。やっぱりそれは帝国に協力した見返りなのか。」

「よく分かりませんが、確かに帝国に発明を依頼されたことがありますね。

もし帝国に行くことがあるんでしたらジルさんたちの分も頼んでおきましょうか。」

「いいんですか?出来るなら頼んでおいた方が後々使えるかもしれませんけどね。」

「じゃ、頼むよ。」

「分かりました。」

こうして2人は研究所を後にして、魔界に向かった。

 

 

 

魔界の氷の城がはっきり見えるところへやってきたジルとマルク。

「行くか。」

炎の剣を手にしたジルが氷の城へと近づくように前へ進む。

マルクもその後をしっかりとついていく。

行く先には雪だるまの大群が待ち構えていた。

「前よりは楽に倒せるはず。」

ジルは飛び跳ねて雪だるまの頭上から剣を振り下ろす。

ズバッ。

一直線に剣が走る。

スタッ。

ジルが地面についたとき、

ゴオォォォォ!

雪だるまから一気に炎が舞い上がり全身を包んだ。

その炎で雪だるまはすぐに溶け出しあっという間に水たまりへと姿を変えた。

「マジかよ。威力ありすぎだろ、これ。」

ジルは炎の剣の威力に驚く。

「ヒヨルド博士は増幅装置を組み込んだって言ってましたけど...。

これってあの火炎石を増幅したなんてもんじゃありませんよ。

全くの別物じゃないですか。」

「あのマッドサイエンティストめ。危ないもん作りやがって。

でも今回はこいつのおかげで楽勝だな。」

ジルはそう言うと、雪だるまを次々と斬って水へと溶かしていく。

雪だるまの大群は瞬く間に全滅した。

「やりましたね。」

「あぁ、やったな。この炎の剣があればこの氷の土地は制覇したも同然だな。」

ジルとマルクは喜びを分かち合った。

 

一方、氷の城では。

「女王様、大変です。雪だるまが敵に全滅させられました。敵は強力な炎の剣を

持っています。我々では勝ち目はありません。」

氷の兵が玉座に座る氷の女王に向かい慌てて報告をしていた。

「落ち着け。炎の剣ごときに我が国は滅ぼせぬ。耐炎の剣と盾があるだろう。

それを全兵士に持たせろ。敵と十分戦えるはずだ。」

「はっ、かしこまりました。」

氷の兵は女王の間を出るとさっそく兵士たちに耐炎の剣と盾を持つよう連絡して

回った。

「おのれ!私のかわいい雪だるまを潰しおって。誰だか知らんが許さんぞ。」

氷の女王は静かな怒りに燃えていた。

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