時間が刻々と過ぎていき、
やがて太陽は地平線の向こうに沈んでいった。
辺りは暗くなり灯りが燈るクラレッツ城では
緊張感が高まっていった。
「いよいよっていう感じですね。」
「ああ、もうみんな盗賊を捕らえる気
満々だもんな。」
ドッカーン!!
近くで大きな爆発音が聞こえた。
「何だ、何だ!」
「まさか壁を爆破して中に侵入したのか!」
「こうしちゃいられねぇ。早く爆破したとこに
行かねぇと。」
そうしてみんなは突然のことに驚き騒ぎながら
爆発音のした方へと駆け出していった。
「え、え。」
そんな中、ジルとマルクだけが状況を把握出来ず
ポツンと残っていた。
「なんか取り残されてしまいましたね。」
マルクが話し掛ける。
「ああ、これからどうしよう?俺達も追いかけるか?
でも今更行っても誰かがもう捕まえてるだろうけどな。」
「ウ~ン...」
2人はしばらく悩みその場に突っ立っていた。
ギィィィ。
正面の扉が静かに開いた。
音に反応し2人が扉に注目していると、
小さな眼鏡を鼻に掛けた男が入ってきた。
「あ!」
「あ!」
お互いに一瞬驚きながらも城の中に入ってきた男は
すぐに冷静を取り戻しかすかな笑みを浮かべた。
「ふっ、爆発に気を取られてここには誰もいないと思ったが
少しは利口な者もいたようだな。」
「(ただみんなに乗り遅れただけだ。)」
ジルは少し恥ずかしそうにし心の中で呟いた。
「ご褒美に俺の名前を教えてやるよ。俺はシャドウラビッツ
のリーダー、ジャック=クローバーだ。覚えときな。
それじゃ通させてもらうぜ。」
ジャックはつかつかと前へ歩き出した。
「ちょっと待てぇ!俺達が何のために
ここにいてるか分かってんだろう?
おとなしくここを通すとでも思ってるのか。」
ジルは剣を抜き戦闘態勢を整えた。
「ほぉ、この俺とやる気か。」
ジャックも腰に挿していたナイフを手にした。
マルクはこの状況をドキドキしながら見守っていた。
ジャックはジルに向かって突っ込んできた。
「こ、来い!」
ジルは緊張が高まりならがら待ち構えた。
そしてジャックがジルの目の前まで近づいてきたとき、
「一つ教えてやろう、戦うだけが能じゃないってな。」
と言って、空いているほうの手で小さな玉を取り出し
それを床へと投げつけた。
ボワ~ン。
辺りを煙が覆い尽くしお互いの姿が
全く見えなくなってしまった。
すぐに煙は晴れてきたがそこにジャックの姿はなかった。
「ゴホ、ゴホッ!あいつはどこだ。」
ジルは咳き込みながら周りを見回した。
「き、消えた。」
マルクは何が起こったのか理解できずきょとんとしていた。
「そんなはずはない。煙が出てる隙に宝の部屋
へ行ったに違いない。すぐ追いかけるぞ。」
ジルはマルクの手をとって走り出した。
宝の部屋の前に来ると2人の槍を持った衛兵が立っていた。
「はぁ、はぁ。なぁ、ここに盗賊が来なかった?」
ジルは少し息を切らして衛兵に尋ねた。
「おい、ここは君ら傭兵の守る場所じゃないぞ。
それにここには君ら以外誰も来てないぞ。」
「えっ、それじゃあ...もしかしてあんたらの内
どっちかが化けてるってことはないよな。」
といいながらジルは片方の顔をつねってみた。
「いてて、いい加減にしろっ!」
とつねられた衛兵がジルの胸倉を掴んだとき、
「ぎゃ~!!」
離れた所から大きな叫び声が聞こえた。