dark legend   作:mathto

160 / 279
319,320

雪だるまを倒したジルとマルクは氷の城のすぐ近くまで来ていた。

「こんな城があるということはこの辺は氷の国ということでしょうね。」

マルクは緊張した面持ちで言った。

「気楽に行こうぜ。この剣があれば負けることなんてないんだし。」

「そ、そうですよね。」

そんな2人の前に氷の兵が一人現れる。

「お、さっそく出てきたな。俺の力を見せてやるぜ。」

ジルは剣を構える。

氷の兵は何も言わないままジルに攻撃を仕掛ける。

「行くぜ。」

カンッ。

ジルは氷の兵と剣を交えた。

「あれ?」

剣を交えても炎が発動しないことに不思議に感じられた。

その中で剣が何度もぶつかり合う。

「おい、こいつの剣は氷で出来てないのか?ちぇっ、体に当てるしか

ないのか。」

ジルは仕方なく体を狙って剣を振るう。

しかしジルの攻撃は盾によって防がれる。

「なんだよ、こいつ。これじゃ普通の戦いと変わらねぇじゃねえか。」

ジルは苛立ち始めていた。

「ジル、落ち着いてください。ジルなら普通にやっても勝てますから。」

「サンキュー、マルク。ちょっとこの国を甘く見ていたかもしれないな。」

ジルはマルクの声援で苛立ちを抑えられ戦いに臨んだ。

落ち着いたジルの攻撃は氷の兵が持つ盾では防ぎきれなくなり、

ついに体に一撃を当てた。

その瞬間、炎が発動し氷の兵の体は水へと姿を変えた。

「当たれば勝てるんだな。しかし思ったよりも手ごわいみたいだな。

もうちょっと気を引き締めた方がよさそうだな。」

ジルは敵を甘く見ていたことに対して反省した。

「ふぅ...。さぁ、いくか。」

ジルが一息ついて先に進もうとしたとき目の前にたくさんの氷の兵が現れた。

「げっ。」

「ジル、ざっと100以上はいますよ。」

2人は数の多さに驚く。

「おい、俺ら2人にこの数は反則だろ。」

しかし、氷の兵たちは2人の方に向かってやってくる。

「戦うしかないのかよ。」

ジルは剣を構えなおした。

「大丈夫です。私がサポートしますから。」

「マルク。頼りにしてるぜ。」

ジルとマルクの2人に氷の兵たちが襲い掛かる。

ジルは気合を入れて、氷の兵の体を狙っていく。

次々に水と蒸気に変わっていく兵たち。

 

 

 

「要領さえ掴めばなんとかなるもんだな。」

ジルは無傷で氷の兵たちをどんどん倒していく。

「これなら私の出番はなさそうですね。」

マルクがそう言ったとき、一体の氷の兵がマルクに攻撃を仕掛ける。

「はっ。」

「しまった!」

ズバッ。

マルクは一撃をくらった。

「マルク!」

ズバッズバッ。

マルクを気にしていたジルが氷の兵の攻撃を受けてしまった。

それでも急いでマルクを攻撃した氷の兵をすぐに倒しにいった。

マルクは左腕をジルは腹と右腕から血を流していた。

「くっ、油断したつもりはなかったんだけどな。」

「すいません、私のせいで...。」

「気にするなよ。そんなことより早く回復を。」

「はい。『ホワイトウインド』」

ジルとマルクは白い風に包まれ傷が癒えていく。

「全然大丈夫じゃん。まだまだいけるぜ。」

ジルはさらに攻撃の速度を上げていき氷の兵たちの半数以上を

すでに片付けていた。

マルクも敵の攻撃に気をつけながらジルを気遣う。

 

「はぁ~、疲れた。」

ジルは地べたに座って手をついていた。

「大変でしたね。でもあれだけの数を倒したってすごいですよね。」

「まぁな。それもマルクのおかげだけどな。さすがにしんどいな。

ちょっと休憩するぜ。」

「はい。」

2人はしばらくその場で休憩することにした。

 

そして、氷の城では氷の女王が玉座に座り考え事をしていた。

「耐炎の剣と盾を持った氷の兵たちもやられたか。敵はただ炎の剣に

頼っているというわけではなさそうだな。ならばその実力、次の門番によって

推し量れよう。」

氷の女王は水晶を取り出して外の様子を伺いだした。

 

ジルとマルクはついに氷の城の前までやってきた。

「でかいな。」

そう言うジルの目線には大きな氷の像が立っていた。

2人がしばらく眺めていると急に像が動き出した。

「これはこの城の門番、アイスゴーレムといったところでしょうか。」

「城に入るならこいつを倒せってことか。お決まりのパターンだよな。

まぁ、いいか。行くぞ。」

ジルは炎の剣でアイスゴーレムを攻撃した。

カキン。

「ちぇ、こいつの体もさっきの奴等の剣や盾といっしょで氷なのに炎が

発動しないのか。こうなりゃいきなり全力出すか。」

ジルは真剣な表情になり体から黒いオーラを発した。

「いくぞ!『オーラブレイク』」

ジルの一撃を受けたアイスゴーレムは電撃を全身に受けてガラガラと

崩れ落ちていった。

「よしっ。」

ジルはガッツポーズをした。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。