dark legend   作:mathto

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魔界の道を歩くジルとマルク。

「なぁ、マルク。魔界ってさ野性の凶暴なモンスターがそこら中に

うろうろしてるサファリパークみたいなところを想像してたんだけど

国とかあって結構まとまってるんだな。」

「サファリパークっていうのが何かよく分かりませんが、

国でまとまっているというのはテラとそんなに変わりがないのかも

しれませんね。」

ジルとマルクがふとそんなことを考えているとガーゴイルが5体、

空から現れた。

「マルク、戦闘だ。」

「はい。」

ジルは炎の剣を手にして構える。

ガーゴイルの1体が降下してジルに襲い掛かってきた。

ジルはガーゴイルの爪による攻撃を剣で払うと反撃の一撃を

ガーゴイルの胴に与えた。

ボウッ。

ガーゴイルは炎の剣の力により全身が燃え上がってそのまま倒れた。

それを見た残りのガーゴイルは後には続かず警戒を強めた。

「俺の強さに恐れをなしたってとこかな。」

「ジル、油断は禁物ですよ。」

「分かってるって。」

少ししてガーゴイルが2体降下してきた。

ジルは地上で待ちかえる。

しかし、ガーゴイルはジルを避けるようにしてマルクに狙いを定めていた。

ザシュ。

マルクは2体のガーゴイルから爪で肩を切り裂かれた。

「マルク!」

ジルが気づいて叫んだときにはもうすでに空へと戻っていた。

「大丈夫です。これくらい自分で治せますから。」

マルクはジルに心配をかけまいと笑顔で言うと、魔法で傷を癒した。

「あいつら汚いことしやがって。」

再び2体のガーゴイルがマルク目掛けて降下する。

ジルはマルクをかばうように構えた。

「...痛っ。」

ジルの背中がもう2体のガーゴイルによって切り裂かれていた。

「このやろう。マルクを狙う2体を囮にしやがったのか。

ふざけた真似しやがって。攻撃が終わったら空に逃げるから

こっちから仕掛けることも出来ない。くそっ。」

ジルの怒りと共に黒いオーラがその身を包んでいく。

その様子を察してマルクが声をかける。

「ジル、私に考えがあります。」

「何だ?」

ジルは黒いオーラを出しながらも怒りを収めてマルクの声に耳を傾ける。

「試したい魔法があります。それが成功すれば勝てるはずです、きっと。」

「ホントか、それ。なら早く試してくれよ。」

ジルはうれしそうにマルクに催促をした。

 

 

 

「はい、ではいきます。」

マルクは目を閉じて風を感じた。そして目を開き、アグニの左の腕輪を

光らせる。

「『エアフェザー』。」

マルクが魔法を唱えると、ジルの背中に薄い白の羽が生えた。

「ま、まさかこれで...。」

「飛べると思います。」

そうマルクが言うと、アグニの腕輪の反動によるダメージで手と膝をついて

しゃがみこんだ。それを心配そうに見たジルに対して、

「大丈夫です。魔法の効果がいつ切れるか分かりません。

それで早く敵を倒してください。」

「サ、サンキューな。よし、これであいつらを倒してやるぜ。

でもこれってどうやって飛ぶんだ?」

「ジルが思う通りに飛べるはずです。ジャンプして自分が飛ぶイメージを

浮かべてください。」

「わ、分かった。」

ジルはマルクの言うとおりに跳ねて空を飛ぶイメージを浮かべた。

「す、すげえ。お、俺、飛んでる。」

ジルは鳥のように空を飛び、ガーゴイルたちがいる空間へとやってきた。

ガーゴイルたちはさすがに驚きを隠せなかった。

ジルはにやっと不気味な笑みを浮かべるとガーゴイルたちを次々に斬っていく。

斬られたガーゴイルたちは火の玉となって地上へと落ちていった。

あっという間の出来事だった。

これを見たマルクは呆然としていた。

そこへジルがゆっくりと下りてきた。

「すごいですね。ジルはホントに強くなりましたよね。」

マルクは嬉しそうにジルを褒める。

「ああ、まぁな。」

ジルは自分の力だけで勝ったわけではないことが分かっていた。

「(勝てたのはマルクの魔法のおかげだ。それにしてもここに来てからの

マルクの成長には驚かされる。次々に新しい魔法を覚えていっている。

本人はそのことにまだ気づいていないのだろうか。)」

先に褒められ、言い逃してしまったがジルは心の中でマルクの成長

にすごく感心した。

「さぁ、急ぎましょう。メアリーも待ちくたびれてますよ、きっと。」

「そうだな。」

2人は笑顔でまた歩き出した。

 

その頃、囚われのメアリーは。

スースースー。

眠っていた。

「う~ん...。早く助けに来なさいよ、ジル...。」

寝言を言っていた。


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