ブンッ。
『生と死の狭間』へとやってきたジルたち5人。
「うわぁ、なんだここ。暑くて息苦しいな。」
地面を見ると沸々とたぎるマグマの池が所々に見られる。
全員がそれを見て危険を感じる。
「そこはマグマがないようだが...。」
キッシュが近くの穴を覗くと真っ暗で底が見えなかった。
「これって落ちたりしたら二度と上がって来れないんじゃ...。」
キッシュは嫌な想像をして冷や汗を流す。
「ここで修業をするっていうことだよな。」
「マグマによる暑さで立っているだけでも体力を奪われていきますね。」
「普通の場所で修業してもよかったんじゃ...。勢い余って足を滑らせでも
したら死ぬかもしれないのに。」
「だから修業に効果的なんじゃないのか?『生と死の狭間』か。確かに
危険な場所だよな。」
5人は思い思いに口を開く。
「と、とにかく修業を始めようか。ここでじっとしているだけじゃ
強くはなれないからな。」
ブランが声をかける。
「じゃ、お前らは3人でがんばれよ。」
「え、ジルも修行するんだろ?」
リゴットが思わず尋ねる。
「だってお前らちょっと弱いからな。俺は一人でやる。」
「まだ言うのか。じゃあ俺らともう一度勝負してみろよ。」
キッシュが怒りを込めて言った。
「いいぜ。まとめてかかってこいよ。」
「あんまり調子に乗るなよ。」
3魔剣士は闘志を燃やして剣を構えた。
「(どうしてジルはこんなに3魔剣士のことを見下すような態度を
とるんでしょうか?)」
マルクは不思議に思っていた。
そんな中、3魔剣士はジルに攻撃をしかける。
しかしジルはサッと攻撃をかわして3人の剣を払い飛ばしていった。
「うそだろ。」
「こんなに強かったか。」
3魔剣士は驚きを隠せない。
「ま、こんなもんだろう。お前らの動きはもう見切っているからな。
分かったら3人で修行して強くなれよ。」
「くそっ。絶対お前より強くなってやるからな。」
3人はそう言うとジルから少し離れたところで修行を始めた。
マグマの池や底なしの穴に落ちることがないように最初は慎重な動きだった。
「なかなかやりずらいな。」
「なぁに、その内慣れるだろう。」
3人は辛抱強く動き回りながら剣を打ち合っていく。
「ジル、4人でやった方がいいと思いますが...。」
「いいんだよ。今のあいつらじゃ俺の相手は務まらないからな。
それにあいつら3人のチームワークってのはなかなかだから
すぐに強くなると思うし、実戦でもすごい力を出せるはずだしな。」
「え、それって...。」
「まぁ、あいつらの力は認めてるよ。一緒に戦うことに不満はないさ。」
その言葉を聞いてマルクは安心して笑顔になった。
「なんだよ急に笑って。気持ち悪いな。」
「なんでもありませんよ。さぁ、ジルも修行してくださいね。」
「わ、わかってるよ、もう。」
「さて、俺はどうするかな。」
ジルは一人で修行をすることを決めたが方法については
あまり考えていなかった。
「とりあえず素振りでもするか。」
単純な素振りを繰り返し行っていった。
そんなジルの様子を3魔剣士は少し手を止めて見ていた。
「なぁ、あんなんで強くなると思うか?」
「いや、ほとんど効果ないんじゃないの。」
「まずは基本からってとこだろうけど、あれじゃすぐに
追いつけそうだな。」
「ああ。」
3人は少し余裕の表情を見せていた。
ジルは素振りをしながら考え事を始めた。
「(少し前から思ってたけど俺の『オーラブレイク』って
必殺技にしてはちょっと威力足りないかな。
もっと強力な技にしていかないとイデア教の奴には勝てない
気がするんだよな。)」
3魔剣士が一緒に実践的な訓練を行っている中、
ジルは素振りや座禅などの基本的なことばかりしていた。
「(あれで本当にいいんでしょうか?やはりジルもあの3人と
一緒にやったほうがいいと思うのですが...。)」
マルクは少し心配そうにジルを見ていた。
「(しかし、私も人のことは言えませんね。今、何をしたらいいのか
分からずにいますから。)」
マルクは時間をただ持て余すという状態で考え事ばかりしていた。
「(こうなったら。)」
マルクは決心をして、ジルの方に顔を向ける。
「ジル、私と戦いましょう。」
「え、何言ってんだよ。冗談はやめろよ。お前に戦闘が無理なことは
分かりきってるんだぜ。」
ジルはマルクの言葉を軽く受け流そうとした。
「『ウインドカッター』。」
マルクはジルに向けて真空の刃を放った。しかしそれは威嚇のような
ものでジルは難なくかわすことが出来たが、マルクの行動に驚きを隠せなかった。
「ジル、私は本気です。ここで何もしないという訳にはいかないでしょう、
私もジルも。ならば私は自分の信念を曲げてでも戦わなければいけない。」
その言葉にジルもマルクの気持ちが伝わり真剣な表情に変わる。
「本当にいいんだな?これはマルクの今までの人生を全て否定することにも
繋がりかねないことなんだぞ。」
「大丈夫です。私は今までの人生もこの行動も後悔する気はありませんから。」
マルクはきっぱりと言った。
「分かった。マルクがそこまでの気持ちで言ってくれたんだから手加減は
しないぞ。初めから全力で行く。間違っても下に落ちるんじゃないぞ。」
「はい!」
マルクは力強く返事をした。