「今のは城主ラゴズ様だ。私達はどんなことが
あってもこの場を離れないよう言われている。
君達、すぐに行ってくれないか。」
「もちろん。」
ジルとマルクは声を揃え快く承知し
ラゴズのもとへ駆けつけた。
城主の部屋に入ると、先ほど集まった傭兵達
の前での強気な態度とは違って驚き疲れ
放心状態に近い様子でベッドに座っていた。
「あ、あ、わしのレッドエメラルドが...」
「どうしたんですか?一体何があったんですか?」
マルクはラゴズに正気を取り戻すよう両肩をゆすって尋ねた。
「そうだ。盗賊がやってきてわしが肌身離さず
持っていたレッドエメラルドをスッと奪っていったんじゃ。」
ラゴズは正気を取り戻した。
「宝石は宝の部屋にあったんじゃないの。」
2人はまだ状況をうまく把握出来ずにいた。
「ふん、自分自身が持っているのが一番安全なんじゃ。
お前ら、何をしている。早く盗賊から宝石を
取り戻しに行かんか!」
ラゴズは右手をグーにして振りかざし
今にも2人を殴りつけようとしていた。
「わぁ~。」
2人は急いで部屋を出、盗賊を探したがもうどこにも
その姿は見つからなかった。
一晩があけて、雇われた傭兵達はまた一つの部屋へ
集められた。そこにラゴズが現れた。
「昨夜はご苦労だった。...と言いたい所だが、何だ!
これだけの人数がいながら宝をあっさり盗られてしまう
とは。お前らに払う金などないわ!
さっさと帰れっ!」
「なんだとぉ!俺達を舐めるのもいい加減にしろよ!」
傭兵達はラゴズの言葉に怒りが込み上がり
大きく騒ぎ始めた。
「おい、マルク。この雰囲気、やばくねぇ?」
「出て行ったほうがよさそうですね。」
2人は相談し、この騒ぎの中から城を抜け出した。
その後、城では。
「ラゴズを縛り上げちまえっ!」
大勢の傭兵たちがラゴズの元へ押し寄せてきた。
「おい、トネリオ。近衛兵はどうしたんだ?」
「それが...全員給料が滞っていることを理由に
辞めていきました。」
「な、なにぃ。」
「それで私も辞めさせて頂きます。」
そう言ってトネリオはラゴズから離れ城から出て行った。
「うわぁぁぁ!」
ラゴズは家来に見捨てられ怒った傭兵たちにボコられることとなった。
クラレッツ城を後にしたジルとマルク。
グ~~。
「そういえば昨日から何も食べてないから
お腹が空きましたね。」
「そうだな。早く町に着かないかな。」
2人は空腹のため力が出ず、ふらふらと歩いていた。
「あっ、城が見えますよ。」
「本当だ。ついさっきクラレッツ城から離れた
ばっかりなのに近いな。」
2人はその城に向かって進んでいくと城の元に町が
広がっていた。
「早く、飯だ飯だ。」
一目散に町の食堂に入った。
バクバクバクバク。
「いやー、うまいな。」
2人はぺろりとご飯を平らげるとようやく一息ついた。
「お腹もいっぱいになったことですし
次は何をしますか?」
「やっぱりまずは城に行ってみる?」
「また門前払いされるかもしれませんが
行ってみる価値はありますよね。」
というわけで城の前までやってきた。
そこには門番が笑顔で立っていた。
「なんかクラレッツ城とは雰囲気が違いますね」
「あそこは偉そうにしてたからなぁ。」
などと話していると門番が声をかけてきた。
「ようこそランドール城へ。このランドール王国
を治める王様ハンスⅢ世はとてもいい方です。
是非会われてみてはよろしいかと思います。」
「城の中に入ってもいいの?」
「どうぞ。」
ジルとマルクは親切な門番に気持ちよくなりながら
城の中へと入っていった。