dark legend   作:mathto

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「これは初めまして。僕はイデア教四魔人の一人リューク。

よろしくね。まだ目覚めたばかりだから獣王で肩慣らしでも

しようかと思ったんだけど、実際会ったらあんまり強くなくてね。

ちょっとがっかりだったよ。せっかく他の3人が残しといてくれた

って言うのにね。」

リュークは5人に対して既に知っているように一方的な挨拶をした。

「(死神じゃなかったか。でもこいつが強いことははっきりと分かる。

もしかしたら他の四魔人よりも強いかもしれない。しかし、ここは

戦うしかないだろう。)」

ジルは村で長老から貰ったオートクレールを抜いて構える。

「そう攻撃的にならないでよ。こんなところで戦うつもりはないから。

もう大体十分な強さになってそうだしね。君たちとはそれに

相応しい場所でまた会うだろうね。それじゃ、また。」

リュークは光に包まれてそのままジルたちの前から消え去った。

 

「ジル。」

リゴットがジルを呼ぶ。

「分かってる。ここからは今まで以上に気を引き締めていくぞ。」

ジルの言葉に残りの4人は真剣な表情で頷いた。

 

「おかえりー。」

神殿に戻ってきたリュークをシェラハが出迎えた。

「どうだった?」

「準備体操にもならないよ。獣王っていうから結構楽しみにしてたのに。」

「そう。それは残念だったわね。」

「でもあれはすごいおもしろそうだね。」

「あれって何?」

「ジルって奴さ。感じるんだ、僕に匹敵する力を持っていることを。

彼と戦うのは楽しみだよ。今度はがっかりするようなことはないはずだね。」

「へぇ、そうなんだ。『封印体』として成熟してきたのかしら。

いよいよかしらね。」

「そうだ。封印が解かれる時は近いぞ。」

グラビルが2人の前に現れた。

 

「Dr.サッカー、準備は出来ているか?」

「は。五体の合成魔獣は完成しています。」

「そうか、ならば後は待つだけだな。」

カーラとDr.サッカーは神殿の祭壇の前に立っていた。

「これで我がイデア教の役目は果たされる。」

カーラは安堵の笑みをもらした。

 

 

 

「そろそろイデア教の本拠地に入るぞ。」

ブランがみんなに注意する。

5人はすでに森を抜けて広い原っぱに出ていた。

「おい、何か遠くからくるぞ。」

キッシュが言う先には原っぱを埋め尽くしていきそうな程の

イデア教の土人形の大群がジルたちの方に向かってきていた。

「おい、あれを相手にするのかよ。ざっと1,000はいるんじゃないか?」

リゴットはあまりの数に驚いた。

「どうした?怖いのか?」

ジルが尋ねる。

「そんなわけないだろう。倒しがいがあるってもんだろ。」

5人は土人形の大群に近づき、そして目の前のところまできた。

マルクを除く4人は剣を手にして戦闘態勢を整えた。

「いくぞ。」

リゴットが一歩前に出る。

「修行の成果を見せてやるよ。『地裂線』!」

リゴットは剣を地面から剣を振り上げると地面から前に向かって

一直線に衝撃波が流れた。それに巻き込まれた土人形は次々とやられて

土へと還っていく。

 

「もうあの連中に人形を使うこともないか。」

カーラはジルたちが戦う様子を観察して言った。

「ならばすぐに人形は止めましょう。」

傍に来ていたダグラスは指を光らせて人形に指示を送った。

「次は我ら四魔人の出番ですか?」

「いや、それはまだ早い。あと少しだけ様子を見る必要がある。

Dr.サッカー。合成魔獣の準備は本当に出来てるんだな?」

カーラは念を押すようにしてDr.サッカーに尋ねた。

「はい、すぐにでも出られますが。」

「そうか。ならまずは一匹出せ。」

「は。畏まりました。」

Dr.サッカーはカーラに一礼するとその場を出て行った。

 

「ん?あれ?」

ジルたち5人が異変に気づいて足を止める。

「人形たちが攻撃を止めましたね。それどころか後退していきます。」

「まるで俺たちの為に道を作ってくれてるみたいだな。」

人形たちはまだたくさん残っていたが、その全てが後ろへ下がる。

「これは何かの罠じゃねぇのか?」

ブランが疑り深く言う。

「罠だろうと進むしかないんじゃねぇの?」

キッシュが少し前に出て言った。

「そうだな。ここは進もう。」

ジルの意見に従い、5人は人形が作った道を進んでいく。

 


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