「これでお前もここまでだな。」
ジルは剣を収めてみんなを置いて一人歩いていこうとした。
「ジル、まさかブランを危険な目に合わさせないために...。」
マルクはジルの考えを読む。
「ブラン、ここでみんなを守ることは出来るか?」
ジルが背中を向けて問いかける。
「ああ、まかせておけよ。」
ブランは複雑な気持ちながら無理やり元気を出して声を出した。
「それならいい。」
「ジル、1人で行く気ですか?」
「疲れたらまた戻ってくる。」
ジルはそれだけ言うとイデア教本部に向かって行ってしまった。
「カーラ様。」
「ダグラスか。」
カーラの下にダグラスが現れた。
「ここに向かってくるのはジル1人のようですね。」
「そうか、それでいい。Dr.サッカー、後は最後の仕上げを頼むぞ。」
「は、畏まりました。このサッカー、最後の仕事間違いなく成功させて見せましょう。」
「うむ。」
Dr.サッカーはカーラに礼をすると神殿の奥へと向かった。
「神殿までもう少しか。」
ジルは見えるイデア教の神殿が大きくなってきたところで一息ついた。
ビュン。
ジルの前にグラビルが空から飛んで現れた。
「次はお前が相手ということか。」
グラビルは腕を組んで立ち塞がる。
「さぁて、お前がどれだけ強くなったか見せてもらおう。
楽しみだ、俺が本気を出せるときが来たんだからな。」
グラビルは腕を鳴らす。
「メアリーは無事なんだろうな?」
ジルはグラビルに問いただす。
「メアリー?ああ、お前をここに連れてくるために攫った女か。
さぁな、そいつを世話してるのはシェラハの部下だからな。
今頃飢え死にしてるかもな、はっはっは。」
「ならもうお前には用はないな。あの時の屈辱を晴らして消えてもらう。」
ジルは剣を抜いて構える。
「そうだ、そうこなくちゃな。」
グラビルも両手の爪を剣のように伸ばし戦闘態勢をとった。
「今度はこっちから仕掛けさせてもらうぞ。」
グラビルは素早い動きで一気にジルに近づく。
「もらったぁ。」
グラビルはジルの体を爪で貫こうとしたところ、
「ん?」
グラビルの攻撃が空を切った。
ジルはグラビルのすぐそばに立っていた。
グラビルは慌ててジルから離れた。
「今の攻撃をかわしたのか。それでこそ、待った甲斐が
あったってもんだ。楽しいぞ、ジル。」
グラビルは笑みを浮かべる。
「俺はもう十分だな。これで俺の方が力が上ということを確認できた。」
「な、何!?」
グラビルはジルの発言に少し戸惑うと、
ピリピリピリ...。
ポキン。
グラビルの片腕の長く伸びた爪が折れた音だった。
「!?」
それを見てグラビルは驚き悟った。
「(まさか、俺よりも速いスピードで反撃したというのか...。
ありえない。初めてあったときは俺の方が数段上だったはずだ。
それがこの短期間でそこまで成長したなんてことは考えられない。
封印が解け始めている影響か...、くっ。)」
グラビルは口をかみ締め折れていない方の爪を元に戻す。
「だがな、お前は俺には勝てない。」
バサッ。
グラビルは翼を広げて空へと上がる。
「翼を持たないことを悔やめ。」
グラビルは空中で白いオーラを発した。
「いくぞ、『ニードルフェザー』!」
グラビルの羽から無数の羽がジルに向けて針の雨のように飛ばされる。
ジルは剣を振り回し、それらを全てはじき落とした。
それを見てもグラビルは動じない。
「いくらお前が攻撃を防いでも空中にいる俺に対して反撃の手段はないぞ。」
「どうかな。」
ジルは黒いオーラを発して思いきり上へと飛んだ。
すごい勢いでグラビルがいる空中まで達した。
「まさかそれで攻撃しようとでも思っているのか?翼を持つ俺とは違い
お前はただそこから落ちていくのみ。攻撃どころか俺に触れることさえ
不可能だ。」
グラビルの言葉はジルには聞こえず、
ジルは両手で持つ剣に強力な球状のオーラを集中させていた。
ジルはグラビルに顔を向けると口元に笑みを浮かべる。
「『オーラバスター』!」
ジルが剣を振り落とすと球状のオーラはグラビルに向かって放たれた。
ビュゥゥゥゥン。
ボンッ。
「ぐぁぁぁ!!」
ジルの攻撃はグラビルに命中しグラビルは球状のオーラに包まれる中、
断末魔の叫びを上げて体を包まれたオーラと共に消滅した。
ジルはすぐに地上へと落下し大きな衝撃に膝をぐっと曲げて耐えた。
「修行中に考えていた技だけど割とうまくいったな。
しかし、あいつの最初の攻撃は結構やばかったかもな。」
ジルは血が滲むわき腹を見て指で触りながらほっと一息をついた。