dark legend   作:mathto

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ジルとマルクは城の中に入ると

きれいな花が生けてある花瓶があちこち

に見られ華やかな雰囲気が漂っていた。

「きれいですね。」

「それにしても多いよな。よっぽど

花好きな人がいるんだろな。」

2人は様々な花を眺めながら

王様がいるという玉座の間へと足を踏み入れた。

「ドキドキするな。王様って偉い人だろ。

そんでもって立派なヒゲとか生やしてたりする

ような。でも門番がいい人なんだから

王様もきっといい人だろうな。」

「私もすごい緊張してきました。」

2人は不安と期待を胸にしながら王様のもとへ

やってきた。

「え、これが王様。な~んだ、ただの子供じゃん。

王子の間違いじゃないの。しかも首にそこらへんに

落ちてるような石ころぶら下げて。緊張して損したな。」

「ダメですよ、ジル。失礼ですよ。」

マルクは冷や汗を流した。

「む!王に対してその態度はなんと無礼な。

この者達を地下の牢屋にぶちこんでおけっ!」

傍にいた老臣がジルの態度に怒りを爆発させた。

それを見た王、ハンスは老臣をなだめるように

「よいのだ、セバスチャン。私は若いしまだまだ力が

足りないのだから見下されてもしょうがない。」

「しかしですな。このようなことを黙っていては

王の威厳が損なわれてしまうことに...」

次にハンスはジルの方を見て

「実は先代の王である私の父は病によって

2年前に亡くなったのだ。それで私が王と

なっている訳なんだ。まぁ王とは言っても

実際の政治などは隣にいるセバスチャンが代わり

に指示してくれているのだ。あと石のことは、

この国の王が身につけるしきたりになってるんだ。

気にしないでくれ、」

「そうだったのか。そうとは知らずさっきは失礼な

態度をとってしまってすいませんでした。」

ジルはハンスに素直に謝った。

「もういいと言っただろう。それよりせっかく

この国に来たのだから楽しんでいってくれたまえ。」

「ありがとうございます。」

ジルとマルクはハンスに礼を言って城を後にした。

 

 

 

城から出てきたジルとマルク。

「ちょっと若すぎのような気もするけど

なかなかいい王様だったな。

それじゃ、次は城下町の探索と行きますか。」

「そうですね。ん?あれは?」

そう言ってマルクは離れた城の側面から

少し離れた筋違いの道を2人と同じ方向に

歩いている少年を指差した。

「ちょっと遠くて分かりにくいけど

あれって王様じゃねぇ?どうしたんだろ?

さっきと違って普通の人っぱい格好して

帽子かぶったりして。」

「どうも町に向かってるようですね。

もしかしてお忍びとかいうものですか?」

「なんかおもしろそうだな。

後をつけてみようぜ。」

「やめときましょうよ。こんなストーカー

みたいなこと。」

マルクはジルを止めようとしたが、

「でもさマルクも気になるだろ?」

「それは...」

「だろ。」

ジルに無理やりマルクを説得し

2人は物陰に隠れながら少年の跡をつけた。

少年は町の中の一つの花屋を訪れた。

花屋では可愛らしい少女が出迎えていた。

少年は恥ずかしそうに顔を赤くし

うつむき加減になりながら花を買って

花屋をあとにした。

少年が人の気配がほとんどしない道まで

来たとき、ジルがそーっと後ろから声をかけた。

「お~さま。」

「わぁっっっ!!」

少年は驚いてビクッと肩を震わせながら

後ろを振り返った。


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