その次の瞬間、
「(・・・・死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死
死死死死死死死死死死死死死死死死死・・・・・・・・・・・・・・・。)」
ズブゥワァァァ!!
ジルの体から神殿を破壊しそうなほどの凄まじさで今までで最大の
黒いオーラが放出された。顔を上げたジルの表情は邪悪そのものだった。
「我は邪神なり...。」
その言葉は誰に主張するでもない、自分自身を確かめるように言った。
ジルの中に封印されていた邪神が完全に目覚めた時だった。
「やりましたね、カーラ様。」
「ああ、これぞ歓喜の時だ。」
ダグラスとカーラは喜びに震えていた。
カーラははっと気づいて邪神の宿るジルに少し近づく。
そして敬意を表すかのように片膝を床につけて話しかける。
「邪神様、あなたの肉体となるべき器を既に用意してあります。
どうぞ、あちらへお移り下さい。」
邪神はカーラの指す人形を見る。
すると邪悪な表情にさらに怒りを表していく。
「あんなクズを我が器にしろだと。」
邪神は手にしていた剣を床に捨て、カーラに近づくと
手刀で首を掻っ切った。ほんの一秒にも満たない間だった。
「ヒ...。」
ダグラスはカーラの死に様を見て歓喜から恐怖へと一変する。
それは師であるカーラが殺されたという理由からではなく、
崇拝する邪神に対して間違った対応をすることが死を意味する、
即ち自分自身の全否定、イデア教への全否定であるということに
なるのが怖かったのだ。
だからしばらく何も言わないままダグラスは考えた。
だがそれは必要のないものだった。
ピ。
邪神は指先から光を放ちダグラスの心臓を貫いた。
ダグラスはもう表情を変えることなく後ろへ倒れた。
邪神は続けて人形に近づくとそれをその腕で八つ裂きにし、
形のないものにした。
「もうこの馴染まない体に用はないな。
既に相応しい肉体は見つかっている。
すぐにそっちへ移るとするか。
だが、その前に...。」
ズボッ!
邪神は今宿っているジルの心臓をその手で貫いた。
「もう封印されることなどないだろうが念には念を入れておいたほうが
いいだろう。さぁ、もう行くとするか。」
シュン。
ジルの中から邪神が抜けていくとジルの体はバタリと前に倒れた。
「俺は、...死ぬ..の.か...。」
自分の人格を取り戻したジルだったが、意識はなくなりかけていた。
「は!何でしょう、この胸騒ぎは。ジルが心配です。行かなければ。
でも...。」
マルクは3魔剣士の方を見る。
「行ってこいよ。俺らは大丈夫だ。大事な仲間なんだろ、あんたに
とってジルってやつは。」
ブランはマルクの気持ちを理解して言った。
「ありがとう。」
マルクはブランに礼を言うと、魔法を使い急いでジルの元へと
駆けていった。
「だ.め..だ。目が.霞んで..きた。ここが.俺の..死に場所
になるの..か...。」
《困りますね、あなたにここで死なれては。あなたにはまだ
やらなければならないことがある。》
「...だ..れ....だ.....!?」
ジルの問いに答える声はなかった。
ポワァァァ。
ジルを柔らかい光が包み込む。
すると、潰された心臓が修復されていく。
ジルは命を繋ぎ止めることが出来たが、ダメージまでは回復せず
そのまま意識を失った。
そこへマルクが駆けつける。
「ジル!!」
マルクはジルを抱えて命が無事なことを確認した。
「よかった。今すぐ回復させますからね。『ホワイトウインド』。」
アグニの右の腕輪が光りマルクはジルの傷を癒していく。
「ふぅ。これで大丈夫でしょう。」
マルクはジルの隣に座って目を覚ますのを待った。
一方、地下牢ではメアリーが小さく蹲っていた。
「もう疲れたわ。きっとジルは私のこともう忘れてるのよ。」
ガチャ。
メアリーを閉じ込めていた牢の鍵が開く。
「え。」
「もう、行っていいぞ。お前の役目は終わった。」
「ホントに?やったー!」
メアリーはさっきまでの暗さがウソのようにはしゃいで牢を飛び出した。
「ありがとうね。」
メアリーは見張りのモンスターに両手で握って礼を言った。
「い、いや俺はシェラハ様からの命令でしただけで礼を言われる
筋合いはないが...。」
見張りのモンスターは戸惑う。