「やったー。」
メアリーはモンスターを倒したことに喜んでいた。
一方でジルは深刻な面持ちだった。
「...。」
「どうしたの?」
メアリーが少し心配そうにジルの顔を覗き込む。
「力が..出ないんだ...。」
「え、何言ってるの?さっきの動きそんなに悪くなかったわよ。」
「違う。体からオーラが全く出せないんだよ。」
「は。まさか邪神がジルの中からいなくなったせいで
その力が出せなくなったのではないですか。」
「そういうことかもしれない。俺はどうしたらいいんだ!?」
「う~ん...。そうだ!ニムダのとこにまた行ってみたら。
何かいい方法があるかもしれないわよ。」
「じいさんのとこかぁ...。う~ん、そうだな。とりあえず
行ってみるか。」
こうして3人はニムダの家へ向かうことにした。
「ヴェロニス帝国への手土産にこの町を潰しておこうかと
思ってたが、アンデッドベアーを倒せるような奴が
この町にいたとは...。まぁいい。こんな町、いつでも
落とせるだろう。さっさと帝都へ行くとするか。」
ジルたちを見つめる小柄な1人の老人。その傍には
漆黒の甲冑で身を包んだ戦士が立っていた。老人と黒い戦士は
すぐにその場を立ち去った。
とある山道を歩くカフィール。
「よぉ、兄ちゃん。おとなしく有り金全部出しな。そうすれば
命だけは助けてやるよ。」
カフィールの前に山賊が現れた。山賊は10数人いてカフィールの
道を塞いで立っていた。
「フ、貴様ら如きに剣を使う必要はないな。」
「何だと!俺らを舐めてんのか!!」
怒った山賊たちは斧を手にして、カフィールに襲い掛かる。
ブンッ、ブンッ。
カフィールは山賊たちの攻撃を目を閉じて交わしていき、
力一杯に振り回される斧は空を切っていく。
そして、カフィールは目を開くと山賊たちの腹に次々と殴打していく。
山賊たちはバタバタと倒れていった。
「う、うぅ...。」
カフィールの背には山賊たちが全て痛みに苦しみ横たわる姿があった。
「命だけは助けてやる。もうこれ以上悪いことはするなよ。」
カフィールは山賊たちを見下して言った。
「ふ、ふざけんな...。」
突然、山賊たちの目が真っ赤に光る。
「ん?」
山賊たちはすくっと起き上がる。
「どういうことだ?」
カフィールは山賊たちがさっきまでのダメージが
なくなり雰囲気が変わったことに少し戸惑う。
「兄ちゃん、俺達に逆らったのが運の尽きだな。」
山賊たちは再びカフィールに襲い掛かる。
その攻撃もカフィールは難なく避けるがさらに違和感を感じた。
「(さっきよりも動きがよくなっている。手加減をしていたようには
見えなかった。何かあるのか?まさか...。」
カフィールは山賊たちと一旦間合いを取る。
「聞かせてもらおう。貴様らは悪魔に魂を売ったのか?」
「へへ..、悪魔だって。悪魔かどうかは知らねえが通りすがりの奴に
『強くしてやる。』って言われて改造手術を受けたことがあったなぁ。
おかげで俺らは戦士にだって負けねえ山賊になれたんだぜ。」
「そうか...。」
カフィールは静かに納得すると右手を体の前に出す。
「『イルパ』。」
カフィールは異空間より神剣エクシードを取り出す。
エクシードの巨大さ、さらにそこから溢れ出る強いエネルギー、
圧倒的な存在感に山賊たちはたじろぐ。
「人間を失ったお前らに手加減は必要ないな。」
「ぐ...。うおおぉぉぉ!」
押さえつけられるようなこの場の空気に耐えられなくなった
山賊たちは虚勢を張ってカフィールに向かっていく。
「鍛えて引き出せるようになったエクシードの真価、ここで見せてやろう。」
カフィールはエクシードを強く握って構える。
「『アルティメット・ブレード・ウェイブ』!」
横薙ぎにされた太刀筋の先が真っ白に完全なる無の世界を造りだす。
山賊たちは悲鳴を上げることもなく無の世界の中で消滅する。
シュウゥゥゥゥ...。
無の世界が消えて再び世界が元に戻ったがその景色が全く変わっていた。
山賊たちだけでなく草や木々、そこに住む昆虫、小動物全ての生物
の存在をかき消し何も無い土だけの荒野が広がっている。
「罪の無い命を奪ってしまった。少し加減をするべきだったか。
しかし、悪の種は見過ごすわけにはいかない。それにもう根は現れている。
気配すら感じさせないが、俺の直感が強く訴えている。
早くその在り処を探さなければ。」
カフィールは再び歩き始めた。