皇帝は大きな体の男とチェスをしていた。
「ラング将軍、どうだろうか?」
「我が軍の勢いはアルテリア連合との戦いになれば
若干落ちてしまうかと。」
「そうだな。西国の弱小国と違い東はそれなりに戦力がしっかり
している。そこで軍師を1人手にいれたいな。」
「賢明かと思われます。で、それはどうやって?」
「うむ。この筆記試験で一番成績のよかったものを採用しようと
思うのだが。」
そう言って、皇帝はラングに書類を見せる。
「この内容は...。いいのですか?」
ラングは書類に目を通すと少し驚いて皇帝に聞いた。
「ああ。今すぐ国内に募集をかけよ。」
「は、畏まりました。」
「ここか。戦死者が眠る共同墓地は。」
広い墓地を前にしてザムザとデュラハンが立っていた。
「陛下の許しを得ているし、さっそく始めるか。」
ザムザは両手を体の前に出して魔力を込める。
「ポッコロポロポロポッコロポロポロ...。」
墓地にはザムザによる魔力の影響で不穏な空気が流れる。
「ペケペケポンポンペケペケポンポン...。」
死者の眠る地面が僅かに動き出す。
「さぁ、勇敢な帝国の兵たちよ。お前たちの戦いはまだ終わってはいない。
目覚めよ、そして帝国を勝利へ導くのだ!」
土が盛り上がり人の姿をしたものが次々と這い出してくる。
「グォォォォ...。」
死んだ筈のそれらは低い呻き声を各々発している。
「フハハハ、これでいい。」
ザムザは笑いながらそれらを眺めていた。
「さぁ~って、そろそろ着きそうだな。」
ジルたちの船から陸地が見えてきた。
それからしばらくして船はロドニエル大陸へ到着した。
「はぁ~!」
メアリーは深呼吸をして大きく伸びをした。
「すぐ精霊に会いに行きますか?」
「いや、ご飯でも食べてゆっくりしてからでいいだろ。精霊は俺たちが来たって
逃げたりしないだろうしな。」
「そうね。」
3人はご飯を食べながら長い船旅の疲れを少し取った。
「もうお腹一杯ね。」
「あぁ、食った食った。よし、それじゃ行くか。」
「はい。」
「うん。」
3人は精霊の森へと向かった。
精霊の森に着いたジルたち3人。
「おーい!精霊出てこいよ。」
ジルはいきなり呼びかけた。
しーん。
全く何の反応もなく森は静かなままだった。
「あれ、おかしいですね。留守ですかね?あのぉ、精霊さん。
いてたら出てきてくれませんか。」
マルクも呼びかけてみた。
「は~い。」
ポンッ!
3人の目の前に風の精霊ルービンが現れた。
「よかった、いてたのね。」
メアリーは精霊ルービンの登場に喜ぶ。
「久しぶりだね、みんな。元気にしてた?」
「はい。ルービンも元気そうですね。」
マルクはルービンとの再会に笑顔で挨拶する。
「ちょっと待て。」
1人だけ不機嫌な顔をしているジル。
「お前、俺が呼んだときからいてただろ?何で出てこないんだよ。」
「最近は物騒だからね。捕まえて売られるのかと思って隠れてたんだよ。ははは。」
「もうジルは精霊を怖がらせたからいけないのよ。ごめんなさいね。」
「なんでお前が謝るんだよ。」
「ルービン、気にしないでくださいね。」
「うん。それでみんな遊びに来てくれたの?」
「いえ、実は聞きたいことがあって来たんですよ。」
「ほぉ、それは何ですか?」
「俺たちグリーンサファイアを探してるんだけど知らないか?」
「あぁ、グリーンサファイアか...。」
「知ってるのか!」
「うん。それは昔、人間が持っていったよ。」
「そうなんだ。」
3人は落胆の色を隠せなかった。
「グリーンサファイアは貴重な宝石だけど僕たち精霊にはあまり重要な物
でもないからね。無くなったからといって特に問題もないし。」
「まぁ、しょうがないか。この分じゃ今誰が持ってるかなんて分かんない
だろうし。」
「ごめんね、期待に応えられなかったみたいで。」
「いいんですよ。ルービンが気を遣う必要はないですから。」
謝るルービンにマルクが笑顔で慰める。
「ジル、どうするの?」
「この件はしばらくお預けになるだろうな。手がかりがないんじゃ
探しても意味がないもんな。サンキュー、ルービン。」
「ううん。」
「よし、それじゃ行くか。」
「そうね。バイバイ。」
メアリーはルービンに手を振って別れを告げた。
3人は町へと戻ることにした。