dark legend   作:mathto

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ジルの実家にて、ジルたちはゆっくりくつろいでいた。

「母さん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど...。」

ジルはマーサと2人だけの部屋で質問する。

「なぁに?」

「俺の親父のことなんだけどさ、俺が小さいときに死んだってのは本当なのか?」

ジルの真剣な問いかけにマーサはドキッとした。

「え、ええ本当よ。今更何を言っているの、もう。」

「いや、ちょっと気になってさ。もしかして生きてるんじゃないかなんて

バカなこと考えたりしてさ。それで親父ってどんな奴だったの?」

「う~ん、そうね。いい人だったわよ。」

「それだけ?」

「仕方ないわね。ジルももう立派になってきたし、言ってもいいかしら。

実はお父さんは剣士だったのよ。しかも人間じゃなかったの。」

ジルは真面目にマーサの話を聞いている。

「あれ、全然驚かないのね。あんまり突然で理解できない?」

「いや、そうじゃないんだ。旅で親父のこと知ってる人に会ってさ。」

「そう、知ってたんだ。」

「でも母さんの口から本当のことを聞けてよかったよ。」

「あの人は初めて会った時から魔族とかそういうのと関係ない部分で変わってたわ。

何か虚ろな目をしていてね、心ここにあらずって感じだった。私が行くあてもなさそうな

あの人の面倒を見ることにしたの。しばらくすると心を開いてくれて穏やかに

やさしく接してくれるようになったわ。あの瞬間は私にとって幸せだったなぁ。

そしてあなたが生まれた。これが幸せの絶頂と思ったときに、あの人はおかしくなったの。

急にすごい形相で苦しみだして大変だったわ。あの人は私たちに迷惑をかけたくなかった

んでしょうね、すぐにどこかへ行ってしまったのよ。」

「そうなんだ。なんか悪いこと聞いたかな。」

ジルは悲しい記憶を思い出してしまったマーサを気遣うように言った。

「いいのよ。それとあの人出て行く前に言ってたの、『ジルをこの村から出すな、特に剣士になんかは

絶対ならすな。』ってね。その意見には私も賛成だったけど、ジルは結局剣士になったのね。

たぶん、あの人は剣士として戦ってたときの傷か病気が急に出てきたんじゃないかなって

思うの。だから、あなたも気をつけなさいね。」

「ありがとう母さん。俺は大丈夫だよ。」

それで話は終わり、ジルは1人考え込んでいた。

「(親父は俺が生まれたときに急に苦しみだした。母さんは戦っていたときの傷か病気

じゃないかって言ってたけど、俺は違うと思う。何か秘密があるはずだ。恐らくその答え

は邪神とも関わりがあるだろう。)」

 

 

 

ヴェロニス帝国にて。

「陛下、軍師が決まりました。」

ラング将軍が皇帝へ報告する。

「そうか。ではすぐにここへつれて来い。」

「は。」

ラングは礼をして一旦部屋を出る。

そしてすぐに一人の少年を連れて再び皇帝の前に現れる。

「お初にお目にかかります。私はエミルと申します。」

「若いな。歳はいくつだ?」

「はい。11になります。」

「なぜ、軍師になりたいと思った?」

「特別軍師になりたかったわけではないのですが、自分の力を試して

みたかったのです。」

「分かった。エミル、明日から日中は余の傍にいろ。いいな?」

「はい!」

「よし、今日は下がっていいぞ。」

エミルは皇帝に礼をして部屋を出る。

それと入れ替わるようにラングが部屋に入る。

「陛下、言いにくいのですが...。」

「お前が思っていることは分かる。あんな若造に軍師が務まるとは

思えないのだろう?」

「あ、いえ、そのような...。」

「よい。だがあいつは只者ではない。余は感じるのだ。」

「陛下がそう仰るのなら心強いですね。」

「フハハハハ。これで態勢は整った。」

皇帝は満足そうに笑っていた。

 

ストナ王国にて。

「エウドラ、お前にこれからわが国が採るべき方針を聞きたい。」

ストナ王はエウドラに問いかける。

「はい、もう既にヴェロニス帝国とアルテリア連合との戦いは始まっています。

そこで消耗しているところを叩くのが定石かと。成功すればこの国の繁栄は

約束されたも同然です。但し、帝国がこの国を危険因子と考え、先に

狙ってくる可能性は十分にあります。守りは固める必要があるでしょう。

これは好機でもあり、危機でもあるということです。」

「うむ、わしの考えと同じだな。それで策はあるのか?」

「そうですね、これは王が私を信頼してもらえるならという条件が

つきますが...。」

「それは何だ?」

「それは...。」

エウドラは声を落として王へ伝える。

 

「カフィール、来たか。」

「何の用だ?」

皇帝の呼び出しにカフィールが問う。

「お前に我が帝国の不穏分子を潰していって欲しくてな。これが、密かに

調べさせたリストだ。」

そう言って皇帝はカフィールに書類を渡す。

「これは...。」

「それはお前の目的に一致するものだと思うぞ。但しこれでお前の世間の

評判は落ちるかもしれないがな。」

「そんなことは気にしていない。快く受けよう。」

カフィールはリストを手にして部屋を後にする。

 

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