dark legend   作:mathto

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ギアナ国にて。

「ギアナ王、それは危険です。お止め下さい。」

クラスコが必死にギアナ王へ訴えかける。

「こんな機会を逃す手はない。全軍を以って帝国を攻撃する。」

「敵が撤退したのは罠かもしれないのですよ。今のうちにこちらの態勢を

整える方が...。」

「それはどこの情報だ。そんなものは臆病者の考えだ。我等がこのまま

舐められたまますませられるはずがない。一体どれだけの兵士の血が流れたと

思っているのだ!」

「それでもここは耐えるのが肝要です。」

「ならばお前らだけここに残っていろ。誇り高きギアナの強さ、じっくりと

見てるがいい。」

「...。」

クラスコはもう何も言えず、その場を引き下がった。

「レビル将軍に連絡を。私はこの国から下がり、防衛網を引く。」

クラスコは一人の兵士に馬でレビル将軍の下へ走らせた。

 

そのころレビル将軍率いる連合軍本隊は。

「レビル将軍、敵は一向に攻めてくる様子を見せません。ここはこちらから

一気に攻めてみてもいいのではないでしょうか?」

「うむ。少しずつ軍を進めているが全く敵の姿が見えないな。

(確かにここから一気に攻めるのは悪くないはずだ。しかし、不吉な気配が

感じられる。今までの経験がわしに言っている。それは危険だと。)

...いや、まだこのままゆっくりと軍を進めよう。ギアナ国の様子も

気にかかるしな。」

レビルは警戒しながらの進軍を続けることにした。

 

「陛下、連合軍は僅かずつ軍を進めているようです。」

一人の兵士が皇帝へ報告をする。

「そうか。意外と慎重だな。それとも臆病なだけか?」

皇帝は簡単に感想を漏らす。

「連合軍の司令官レビル将軍はなかなかの人物だと聞きました。

恐らくは我々の思惑に感づいているところがあるのでしょう。」

エミルが皇帝に話しかける。

「そうだな。自意識過剰なギアナ王に比べれば随分ましなのだろう。」

皇帝は不気味な笑みを浮かべそう言う。

「はい。間もなくギアナ軍は滅びの道へと進むことでしょう。」

エミルは遠くを見るようにして言った。

 

 

 

慎重に進軍する連合軍本隊とは反対に勢いよく帝国領へと突き進むギアナ軍。

「行くぞー!帝国軍なぞ現れても蹴散らすのだー!」

ギアナ王は先頭に立って檄を飛ばし兵たちの士気を上げる。

そうしてギアナ軍が帝国領のクシュリナ荒野まで来たとき、全軍が一旦

足を止めた。その先に立っていたのはたった一人で向かい合い、

既にエクシードをその手にしていたカフィールだった。

「カフィール!」

ギアナ王は驚きの声を出す。

「ギアナ王はかつて勇猛な戦士だったと聞いていたが...。」

カフィールは呟くように言った。

「カフィール、見損なったわ。帝国の侵略行為に手を貸しているとは

聖騎士の名が泣くぞ。」

「こんな浅はかな奴だとはな。誇りや名誉などと言って冷静に判断することが

出来ない。強情なだけで民のことを考えていない。」

「民のことを考えていないのは皇帝の方だろう。己の野望の為に

民に重税を課し、徴兵をしていると聞く。どちらが悪しき者かは

お前に理解出来ぬはずはなかろう。」

「皇帝は腐ったアルテリア連合の国々を浄化しようとしているのだ。」

「完全に皇帝に誑かされているようだな。いいだろう、その命ここで

終わらせてやる。あの世で悔い改めることだな。」

ギアナ王は兵士たちに攻撃態勢をとるための合図を手を上げて送る。

「フ、なぜ俺が一人でこんなところで待っていたか分かるか?それはここには守るべき

草木や動物達がほとんどいないからだ。」

カフィールは剣を大きく振りかぶる。

その動作はギアナ軍の兵士たちの目には嵐が巻き起こるかのように映った。

「思い切り行くぞ!『アルティメット・ブレード・ウェイブ』!!」

一瞬の出来事だった。

ギアナ軍は巨大な光に包まれ、苦しむ間もなくその姿を消滅させられた。

一人の生存者も残すことなく。

「ふぅ、さすがに疲れたな。役目は果たしたしゆっくり休むとするか。」

カフィールは何もない荒野から引き返していった。

 

カフィールが放った強烈な光は破壊力は失いながらももう主のいないギアナ国まで

届いていた。その光を見た民衆は軍の敗北とこの世の終わりを感じとっていた。

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