守る者がいなくなったギアナ国は間もなく帝国軍本隊によってあっさりと制圧された。
「ば、ばかな。なぜストナ王国が攻めてくるんだ!」
「ストナはこちら側じゃなかったのか。」
ストナ軍に攻められるフォーン国。
不意を突かれたような形になったことと主力の聖騎士部隊をアルテリア連合軍に
派遣していたこともあり、一方的にフォーン国はやられていった。
「くそ、エウドラめ!以前の協力的な行動はこれを考えてのものだったのか。」
フォーン王は押し寄せてくるストナ兵によって胸を刺された。
「ぐふっ...。」
フォーン王は血を吐いて倒れた。
「エウドラ。よくやった。これでわが国の領土は拡大した。礼を言うぞ。」
ストナ王はエウドラを喜びの表情で労った。
「いえ、自分の責務を果たしたまでです。しかし、問題はこれから。
領土を拡大したために兵力が分散化したこと、アルテリア連合を完全に敵に
回したことへの対応をどうするかです。」
「ふむ。より一層軍を強化しなければいけないということか。」
「そういうことになりますね。」
ストナ王国のフォーン国への侵攻の後は各国共に攻め手を持たず、
にらみ合う形となった。
その頃、ジルたちはヴェロニス帝国領土へと足を踏み入れていた。
「う~ん、やっぱり入国許可証があればあっさりいけるもんなんだな。」
「でも意外ね。今は戦争中よ。あっさりいけるなんて逆に怪しくないかしら。」
「どうかな。そんな気にすることもないんじゃないの?」
「警戒はしておいた方がいいですよね。」
3人はそう話しながら帝都を目指して歩き出した。
サンアルテリア王国ではアルテリア連合円卓会議が開かれようとしていた。
ギアナ国、そしてフォーン国が落とされたことで前回より2名出席者は少なかった。
「これよりアルテリア連合円卓会議を始める。」
いつもの通りといった感じで議長のD=クラプターは言葉を発する。
「連合軍はどうなっているんだ!ギアナとフォーンがやられているんだぞ!!」
ギアナ、フォーン共に隣国であったソフェット国のセオドア大臣は以前の
リーカルのイールのように危機感を募らせていた。
「連合軍はよくやってくれているよ。おかげでわが国は今も健在だ。」
ここでリーカルのイールが発言する。
「連合軍はリーカルを守るためだけに結成されたのか?」
セオドアが皮肉っぽく言う。
「何だ、その言い方は!リーカルはアルテリア連合の最前線の一国だ。
連合軍が守りを固めるのは当然のことだろう。」
イールが反発する。
「同じ最前線のギアナがやられたのだぞ。その差は何と考える?」
「まさか我等がリーカルが足を引っ張っているとでも言うのか!」
イールは怒りを顕にしていく。
「ちょっと待て。ここで内輪もめをしていてどうする?」
D=クラプターがセオドアとイールの言い争いに割ってはいる。
「ならD=クラプター。あなたはこの状況を満足としているのか?」
「満足はしていない。状況ははっきり悪い。だが、この状況を冷静に見て
考える必要はあるだろう。」
「まぁ、確かに。」
「レビル将軍からの情報では帝国は死霊兵を味方にしているらしい。
それは帝国が悪魔に魂を売ったということだろうが、そんなものに頼らないと
いけなくてなりふり構えるような状態じゃないのかもしれない。
そして、ギアナ軍を全滅させたという光。
あの力はカフィールのものだという噂がある。軍を一瞬にして消してしまう
程の大きな力。それだけの力には何か制約があるかもしれない。
なぜならそんな力があればとっくに我らは滅ぼされていても
おかしくないのだから。ほとんどが憶測に過ぎないが話は一応通る。
正攻法でこないというのは帝国の底が見えているということ。
これ以上の侵攻は難しいはずだ。」
「で、現状のままで十分だということか?」
「絶対はないが、恐らく十分だろう。だが、このままではいずれ同じことが
繰り返される。ここは一度反撃のチャンスを窺ってみるというのも手だと
思うが...。」
「それはリスクがあるのでは?」
「いや、帝国もこちらから攻めてくるというのは考えにくいはずだ。
それはやってみる価値はあるのではないか?」
「ふむ。」
会議の出席者達は意見を出しながら、帝国への反撃に頷き始めた。
「よし、ではこの意見に賛成の人は手を挙げてもらおう。」
全員が黙って挙手する。
「決定だな。」
こうして連合軍の帝国への反攻が行われることが決められた。