帝国領奴隷都市ノルダ。
ここでは住民は全て一人の男の奴隷として扱われていた。
「ひぃぃぃ。どうかお助け下さい。」
薄汚い服を着た初老の男を豪華な服を着た長髪の男が
頭から踏みつけていた。長髪の男の後ろにはたくさんの綺麗な服を着た美女が
立っていた。
「貴様の今月の働きが定めた量より少ない。俺をなめているのか、え!」
長髪の男は踏んでいた足をグリグリと動かす。
「申し訳ありません、バルマー様。今月は病気をしましてとても働ける状態ではなかったのです。」
「あぁ、言い訳は聞いてないんだよ。俺の決まりを守れなかった奴はどうなるか
分かっているか?」
バルマーは初老の男の顔をぐいっと覗き込んだ。
「そ、それは...。」
「死刑だ。」
「そ、それだけはご勘弁を...。」
初老の男は必死で懇願した。
「おい。」
バルマーは後ろの美女に合図を送ると美女はバルマーに一本のナイフを渡した。
「死ね。」
ブスッ。
バルマーは初老の男の心臓を一突きした。
男はばたりと倒れた。
「おい、死体処理係。」
バルマーが大きな声で呼ぶとこれもまた薄汚い服を着た若い男が出てきた。
「こいつを片付けろ。」
「は、はい。」
男は言われるままに死体となった男を引きずって連れて行った。
その後、バルマーの手に美女からグラスを渡させワインを注がせた。
「全く使えない奴ばっかだな。」
バルマーは愚痴りながら注がれたワインを飲み干した。
「おい、お前隣に座れ。」
美女の一人をバルマーが座る大きく豪華な椅子に座らせるとその胸を揉みしだいた。
「あ、ああぁぁ。」
女は恥ずかしがりながらも小さな声で喘ぎ声を上げた。
「はっはっは。やはり女はいいな。苛立ちを抑えてくれる。」
バルマーは笑いながら女の反応を楽しんだ。
それからしばらくして。
「失礼します。」
女性が一人、バルマーのいる部屋を訪れる。
それはバルマーの部屋にいる美女とは違い、死刑にされた男のように汚い身なりをしていた。
「あぁ?何の用だ?」
「すいません、バルマー様。報告したいことがあります。」
「言ってみろ。」
「はい。今、この街に何かの宗教団体が訪れてきています。」
「ほぉ、そうか。よく報告しにきたな。褒美をやろう。」
バルマーが後ろに合図をすると手に一つのパンを渡させた。
それを半分に千切って報告に来た女の足元に放り投げた。
「あ、ありがとうございます。」
女はそれをすぐ手にして部屋を出て行った。
「どこのどいつだ。俺様に許可なく勝手なことをしているのは?」
バルマーは立ち上がって怒りを見せた。
ノルダの道端にて。
道行く人々はみな粗末な服装をしていた。
その中で修道士の格好をした男が3人立っている。
「おぉ、何と苦しい思いをしている人たちよ。神はあなたたちのような
人を救ってくださる。信じなさい、神を。そうすれば希望に満ちた世界
がもたらされるでしょう。」
中央の男が人々に穏やかに語りかえる。
「おいおい、俺様の奴隷共におかしなこと吹き込んでんじゃねぇよ。」
修道士たちの前にバルマーが現れる。
「あなたが人々を苦しめているのですか?悔い改めなさい。
神は寛大です。深く反省をすれば神はお許し下さいます。」
「へっ。何が神だ。ここじゃ神なんてのは何の役にも立たねぇぜ。」
バルマーは唾を吐き捨てて言った。
「おぉ、何と悲しいことだ。神を信じられないとは...。
残念なことにあなたの心には悪魔が住み着いているようだ。
悪魔は祓わねばなりません。サーク、お願いします。」
「はい、モヌーク様。」
モヌークの傍にいるサークが一歩前へ出る。
「私があなたの悪魔を浄化してあげましょう。」
サークは右腕を前に出す。
「!?」
前に出された右腕は蛇へと姿を変えて驚くバルマーに襲い掛かる。
ガブッ。
バルマーの左腕がサークの蛇に咬まれる。
「お前、人間じゃないな。」
バルマーはサークを睨みつける。
「この蛇に咬まれた者は神経毒ですぐに身動き取れなくなります。
おとなしくしなさい。」
サークはあくまで穏やかに言った。
「あぁ、何が動けなくなるって?」
バルマーは右手で背中から鞭を取り出しサークの蛇に向けて打つ。
バチンッ!
激しく鞭が蛇に振るわれて蛇の胴体は2つに切り離された。
「な、な。」
サークは驚いて一歩退く。
「これはよほど強力な悪魔が取り付いているようですね。
パノンも手伝ってあげなさい。」
モヌークの傍にいたもう一人パノンも前に出た。
「分かりました。これも神の試練かもしれませんね。
悪魔よ、早々に立ち去りなさい。」
パノンは両手を蛇に変えてバルマーの両腕に絡ませる。
「ぐっ...。」
バルマーの動きが封じられる。
「これで、抵抗出来ませんね。私のもう一つの蛇は死の毒を持っています。
我慢出来ますか?」
ビュッ。
サークの蛇がバルマーに襲い掛かる。