「これで俺様の動きを封じたつもりか?」
バルマーはにやっと笑う。
サークの蛇がバルマーに届こうとしたとき、
「おらっ。」
バルマーはパノンの蛇に縛られた両腕でパノンごと振り回して
サークの攻撃を振り払った。
パノンの蛇は勢いに押されてバルマーの腕を放した。
次の瞬間、
「『チョッパー・ウィップ』!」
バルマーの鞭は無数の曲線を描いてサークとパノンの体を切り刻んでいく。
「ぐあぁぁぁ!!」
モヌークは後ろに下がり両腕で防御する。
2人は絶叫しながら血飛沫を巻き上げる。
バルマーの攻撃が止むとサークとパノンはその場に倒れた。
「俺様の土地を荒らした罪は重いぞ。」
「サーク、パノン。あなたたちの信仰は素晴らしいものでした。
神もきっとお喜びくださっているでしょう。私も神の為にこの命を
捧げましょう。」
モヌークの目が妖しく光る。
「てめぇも死にやがれ。」
モヌークに向けられたバルマーの鞭は直撃したものの何の手ごたえもなかった。
「な、何だ、この感触は。生き物っていうより丸っきり石を叩いたような感じだ。」
モヌークは大きく口を開くと姿が変わっていく。その姿はまるで巨大なワニの
ようになった。
「化け物が布教活動とは笑えるな。」
「悪魔よ、滅せよ。」
モヌークは鋭い歯を光らせながらバルマーに突っ込んでいく。
バルマーは何度も鞭を打ち付けるがモヌークにダメージは全く与えられなかった。
「く。」
バルマーはモヌークの牙を避けるため横に飛ぶ。
ビュン。
バシッ。
そのバルマーをモヌークに生えていた尻尾が鞭のように打ち付ける。
バルマーは壁にぶつかり肩膝を地につける。
「けっ、化け物がやるじゃねぇか。」
バルマーは血をぺっと吐きながら立ち上がる。
「てめぇは生け捕りにしてやるぜ。」
バルマーは不気味な笑みを浮かべる。
「『プリズン・ウィップ』。」
振るわれたバルマーの鞭はモヌークに当たるとそこからビューンと伸びだし、
モヌークの体を縛っていく。それはモヌークの全身を完全に覆いバルマーが
鞭から手を放すと大きな鞠のようになった。
「おい、運搬係。こいつを拷問都市へ持って行け。」
2人の男がバルマーの前に出てくる。
「は、はい。」
2人は鞭の鞠を転がしながら運んでいった。
奴隷都市ノルダまでやってきたジルたち。
「ここは大きそうな街なのにみんな貧しい格好をしているな。」
3人は街の人々を見て唖然とした。
「酷いわね。」
「これが帝国のやり方なんでしょうか?」
そこへバルマーが前から歩いてくる。
「ん?」
バルマーはジルたちに目をつける。
「お前ら、どう見てもこの街の者じゃないな。」
「お前がここを支配しているのか?」
ジルはバルマーに尋ねる。
「この街は俺様バルマーの家だ。そしてここに住む者は全て俺の奴隷だ。」
「ジル、こんな奴やっつけちゃおうよ。」
メアリーが横から言う。
「俺とやるつもりか。」
バルマーは鞭を取り出して戦闘態勢をとる。
「しょうがないか。」
ジルも剣を抜いてバルマーに向き合う。
「ん?(何だ、こいつから感じるものは?只者ではない。)」
バルマーはジルをじっと見たまま動かない。
「どうした?」
バルマーは鞭を持つ手を一旦下ろす。
「このままここを通してやろう。だが、俺の奴隷に手を出すというのなら
俺も黙ってはいない。」
「何いってるのよ、こいつ。」
「メアリー、マルク、行くぞ。」
ジルは剣を収めてバルマーを通り過ぎていこうとする。
「いいんですか、ジル。」
マルクが問いかける。
「あぁ、今は余計な争いはしない方がいいからな。」
「どうして見過ごすのよ。あんたにはあの貧しい人たちが見えないの?
どう見てもあのバルマーってやつが原因なのよ。」
ジルは黙って歩いていく。
「何なのよぉ、もう!」
メアリーは怒りながらジルについていく。
しばらく歩いていると、ジルたちの前に3人の宣教師が現れた。
宣教師たちはジルたちに会釈をして過ぎようとする。
「待て。」
ブスッ。
ジルは剣で1人の体を貫いた。
「えっ、何してんのよ!」
メアリーは驚きを隠せない。
残った2人の宣教師も振り返りジルの方を見る。
「メアリー、よく見ろ。」
そう言ってジルは倒した者を指差す。
そこにあったのは人ではなく獣の姿だった。
「どういうこと?」
「こいつらの目的は知らないが、人を欺き歩いているのは確かだろう。」
「ぐっ。」
2人の宣教師は手から長い爪を出して、ジルに襲い掛かる。
ズバッ。
ジルは一瞬にして獣と化した2人の宣教師を倒した。
「(この国がどうなっているのか、やはり皇帝に会って確かめる必要がありそうだ。)」
ジルたちは再び皇帝のいる帝都へと向かった。