「さてそろそろ合流の時間だな。」
ジルとメアリーは白い犬を連れて待っていた。
「けっ!今日はついてないぜ。」
露天商の男はジルにボコボコにされて犬を奪われたのだった。
「にしてもちょっと気の毒よね。あのおじさん。」
「いいんだよ。もともとこいつはあの坊主の犬なんだから
何も問題ねぇよ。」
そうこう言っている内にマルクとパティがやってきた。
「あーーーっ!見つけたんだ!!」
パティは白い犬を見るなり、急にテンションが上がった。
「どこで見つけたんですか?」
「なぁに、親切なおじさんが保護してくれてたんだよ。」
「(よく言うわね、奪っておいて。)」
メアリーはジルに肘を軽くぶつける。
「(いいだろ、わざわざ悪いこと言うこともないだろ。)」
「(まぁね。)」
「ねぇ、早く返してあげようよ。」
パティは目を輝かせて言った。
「そうだな。」
4人は犬を連れ、依頼人トムの家の扉をノックする。
「はい。」
扉から普通に出てきたトムだったが、犬を見た途端満面の笑みへと変わる。
「ポチだ!ポチが帰ってきたんだ!!」
トムはすぐにポチの体を抱きしめる。
「ありがとう、お兄さんたち。」
「よかったね。」
パティは嬉しそうにトムを見る。
「それじゃあ、これ報酬の15G。…それと、これ。」
トムはジルに15Gとポチから緑色の首輪を外して渡した。
「今度は絶対いなくならないようにしっかり世話するね。」
「そうだな。かわいがってやれよ。」
ジルはポンとトムの頭に手を置き報酬と首輪を受け取ると背を向けた。
「じゃあね、バイバイ。」
トムは笑顔でジルたちを見送った。
「よかった。ありがとう、ジル。これで気持ちがすっきりしたよ。」
「よし気が済んだか。それじゃあまたグリーンサファイア目指して
お金を稼ぎに行くか。」
「ちょっと待ってください。その前にこの首輪に付いている緑色の石
なんですが...。まさかこれがそのグリーンサファイアってことは
ないですか?」
張り切り進もうとするジルをマルクが一旦止める。
「まさか、なぁ...。これがグリーンサファイアなんてわけ...。」
「あるかもしれないわよ。」
メアリーが期待で目を輝かせて言った。
「うん。どこかで見てもらおうよ。」
「そうか?露天商のおっさんもそこを通り過ぎた奴も気がつかなかったんだぜ。
俺にはただの石としか思えないけどな。」
「一度、道具屋で見てもらいましょうよ。そうすればすぐに分かりますよ。」
「そうだな。」
マルクの提案で4人はさっそく道具屋で緑色の石を見せた。
道具屋の主人は虫眼鏡でじっくりと石を鑑定する。
「う~ん、これはすごく綺麗だけどただの石だね。魔力も感じないし
うちではちょっと値段がつけられないね。」
「そうですか...。」
ジルたちはガッカリして道具屋を後にした。
「残念だったね。」
パティが肩を落として言ったとき、ジルは考え事をしていた。
「どうしたんですか?」
マルクがジルに尋ねると、
「う~ん。ビッグジュエルってあんまり世間では知られていないんじゃ
ないかと思ってさ。それで魔力も感じなかったら誰でもただの石って
判断するんじゃないか?」
「まぁ、確かに。」
「もう一回見てもらうか。今度は確実な方で!」
4人はさっきの道具屋へと入った。
「おじさん、もう一つ見てもらいたいんだけど。」
ジルはそう言って、ブルールビーを渡す。
道具屋の主人は先程と同じように見て首を傾げた。
「これもただの石だよ。」
「そうですか、ありがとうございました!」
ジルたちは喜んで店を出た。
「やっぱり普通の道具屋じゃ鑑定出来ないんだ。」
「でもそれで緑色の石をグリーンサファイアって決めていいの?」
「ちゃんとした鑑定人を探しましょうか?」
「う~ん、一度情報屋のとこへ行ってみるか。」
ジルの提案に3人は頷き、情報屋ボブのいる場所へと向かった。
「え~と...。あ、いた。」
4人はボブのいるのを確認すると駆け足で近づいた。
「お~、お前らか。50,000Gはもう手に入ったのか?」
「いや。それなんだけど、この石がグリーンサファイアか鑑定できる奴の
情報をもらいたいんだ。いくら?」
ジルは緑色の石を手にしてボブに見せる。
「はっはっは。そんなもん探すまでもあるまい。それは本物じゃろうて。」
「えっ!!ボブじいさん分かるのかよ!」
「こういう商売をしておれば多少は見る目も養われてくるもんでな。
ジル、もう一つの石も手にしてみろ。」
「えっ、そこまで知ってたのか。」
ジルはボブの情報量に驚きながらも言われたとおりにブルールビーも手にする。
「こ、これは...。」
「どうしたんですか?」
「魔力の奔流を感じるじゃろう。2つの石が干渉し、眠らせている魔力が
目覚めようとしているのじゃ。」
「すごいじゃない。これでグリーンサファイアに間違いないわね。」
「あぁ、これであと一つだな。」
ジルたちはボブに礼をして別れた。