dark legend   作:mathto

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「ところで、最後の一つはどうするんですか?

盗賊が持っていたはずですが...。」

「あぁ、それならもう方法は決まっている。」

「今ある2つの石で盗賊をおびき寄せるのね。

でも盗賊は私たちのこと知らないはずよね。」

メアリーはジルの顔を見て言う。

「そうだな。パーラムで宝石護衛のウソの依頼をかければ

あいつらも気づくかもしれない。」

「ちょっと信頼性の低い方法ですが、それしかありませんね。」

「まぁな。」

ジルたちは仕事の斡旋屋であるパーラムへ向かった。

 

「いらっしゃいませ。」

明るい店員の声に迎えられたジルたちは受付へと向かった。

「あの、求人をかけて欲しいんだけど。」

「求人募集の方ですね。ではこちらに記入をお願いします。」

ジルは渡された紙に必要事項を記入していく。

「あら?あなたはジル様ですか?」

受付の女性はジルの名前を見て反応する。

「そうだけど。」

「あぁ、よかった。ジル様指定の依頼が届いているのです。

こちらです、どうぞ。」

「ん?」

ジルは差し出された紙に目を通す。

「これは絵画の警備依頼!?しかも、奪いに来る盗賊はシャドウラビッツ!

でも、どうして俺の指定なんだ?」

「なんでも、一度似たような依頼を成功させているからという風に聞いて

おります。」

「そういうことか。確実にあいつらに会えるなんてな。願ってもないことだ。」

「どう致しますか?この依頼をお受けになりますか?」

「もちろん!」

ジルは手続きをさっさと済ませると、依頼者の下へと向かった。

 

「よかったわね。」

メアリーはジルに笑顔で話しかける。

「まだ喜ぶのは早いぞ。これから盗賊を追い払うのが目的じゃなくて

捕まえなきゃいけないからな。」

「難しそうですね。」

「大丈夫よ。私もいるんだし。」

パティは胸を張って言った。

「はは、そうだったな。前はパティのおかげであいつら追い払えたんだった。

今回も期待してるぞ。」

ジルはパティの頭にポンと手を載せる。

「こ、ん、か、い、は私もいるのよ!絶対捕まえてみせるわよ。」

和やかなジルとパティの様子を見たメアリーは力を込めて言う。

「メアリー、恐いですよ...。」

そのメアリーを見て、マルクは少し寒気を感じていた。

そうこう話している内に依頼主の家へと辿り着いた。

依頼主の家は一目で金持ちと分かる豪邸で広い庭の先に一般家屋とは違う

大きな城のような建物が立っていた。

「すごいな。」

皆、その豪邸に驚いていた。一人を除いて...。

「まぁ、私の実家とそう変わらないけどね。」

「そうですね、メアリーはお姫様でしたね。」

「『でしたね』ってマルク。忘れてたでしょ。」

「い、いえ、そんなことはないですよ。」

ギラッとしたメアリーの視線を感じたマルクは急に慌てる。

「(ねぇ、ジル。マルクってメアリーのこと怖がってるよね。)」

「(う~ん、いつもはそうでもないと思うんだけどな。)」

「ちょっとそこ!何こそこそ話してるのよ!」

「何でもないよ。」

「(マルクが怖がっているというよりメアリーが苛立ってるような感じが...。)」

「(確かに。)」

「と、とにかく中へ入りましょう。」

メアリーを除く3人は逃げるようにして依頼主の家へと入っていった。

 

 

 

門を開け、長い庭園を通り過ぎた先にある屋敷のドアを開けたところで

一人の女性召使が出迎えていた。

「俺たち依頼を受けに来たんですけど...。」

「あぁ、ジル様ですね。どうぞ中へお進み下さい。旦那様がお待ちに

なっておられます。」

ジルたちは案内されるままに応接室へと入る。

そこには初老の男性がジルたちの方を向いて座っていた。

「よく来てくれた。まずは座ってくれたまえ。」

黙ってそれぞれ席に着くと男は話を始めた。

「まずは自己紹介を。私はビル=テイラー。金融業を営んでいる。

君たちのことは人づてで聞いた。まだ若いが頼りになるということで

今回頼んだわけだが...。さっそく本題に入っていいかな?」

「はい。」

「まずこれを見てくれ。」

そういってビルはジルたちに一枚の紙を見せる。

「これは予告状。え~と...、

『○月×日、日が沈む頃に貴公の持つ絵画『夕焼け』を頂きに参ります。

盗賊団シャドウラビッツ』と。」

ジルは予告状を読み上げた。

「さよう。『夕焼け』は天才画家アルテミオが描いた傑作。我が家の

大事な宝だ。何としても守ってほしい。」

「分かりました。こちらの屋敷にお住まいなのはビルさんと執事の方だけですか?」

「いや、妻には先立たれたが、私には2人の子がいてここに住んでいる。

息子のボーラーと娘のアンナだ。息子のボーラーには妻もいて名前はナターシャという。

以上がここに住んでいる。」

「ありがとうございます。」

「○月×日までの間、部屋と食事を与えよう。しっかり警備の準備をしてくれ。」

ジルたちは盗賊の犯行予告日までビルの屋敷で準備をすることとなった。

 

「よし、準備は整った。これで最悪の事態になったとしても対応出来るだろう。」

D=クラプターは自室で決意を秘めた表情を見せていた。

 

「陛下、戦略が出来上がりました。これで99%帝国の勝利は揺るがないでしょう。」

エミルは自信に満ちた目で皇帝に進言する。

「それほどの自信を見せながら1%低い理由は?」

「どうしても不確定要素が残るのです。それさえ解明出来れば間違いはないのですが...。」

エミルは皇帝から少し目を逸らす。

「D=クラプターか。」

「はい。」

エミルは静かに頷く。

「確かに奴の狙いは余にも計りかねるところがある。いいだろう。

エミル、お前の軍師としての力、我が帝国の全ての力を敵対する国に

見せ付けてみるがいい。」

「はい。この命、陛下に捧げる覚悟でお任せください。」

エミルは皇帝に一礼するとヴェロニス帝国軍に指示を出すため部屋を後にした。

 

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