「それじゃ話を戻そうか。君たちの2つの石だが既に俺たちの手にある。」
「何、そんなばかな。石は確かにここに...。」
ジルは慌てて石の入っていた袋を開いて確認する。
「何だ、あるじゃないか。嘘つきやがって。」
「そうか、その袋の中にあるのか。」
ジャックはにやりと笑う。
「ジル、これはワナですよ。石がどこにあるかを確認するための。」
マルクははっとしてジルに言う。
「くっそ~、相変わらず汚い奴らだな。」
ジルは唇を噛んで悔しがる。
「はっはっは。こんな古典的な方法で教えてくれるとはな。」
「まだ盗られてないんだ。今度こそ捕まえてやるぞ。」
ジルは気持ちを切り替えてジャックに向かい合う。
「この俺を捕まえることが出来るかな?」
「パティ!」
「もう準備は出来てるよ。出でよ、フェンリル。」
パティは既に床に描いていた魔方陣よりフェンリルを呼び出す。
「フェンリル、あいつを捕まえて。」
「ぐぉぉぉ!」
フェンリルは雄たけびを上げるとすぐにジャックに向かった。
ジャックは不適な笑みを浮かべて数本のナイフを放った。
ガンガンガンガン!
フェンリルはナイフによって床に磔の状態となった。
「同じ手は喰わないぞ。」
「あぁ、フェンリル..。」
「残念だが今回はお前の負けだ、ジャック。」
「何だと?」
「メアリー、この木の枝に火をつけてくれるか。」
「え、うん。」
ジルに言われ、メアリーはジルの持つ木の枝に魔法で火をつける。
「さぁて...。」
ジルは火のついた木の枝を持ってつかつかと偽物の絵のところまで歩いた。
「何をする気だ!?」
ジルは笑ってその絵に火をつける。
「やめろぉ!!」
ジャックは慌てて絵のところまで走り、絵にかかった火を消そうとした。
バッ!
そこをジルは用意していた網でジャックを捕らえる。
「一丁あがりと。」
「貴様、汚い真似を。」
ジャックは網の中から、ジルに怒りの表情を向ける。
「さっきの話を聞いてたら、随分シャリルって女に入れ込んでるみたいだったんでね。
偽物とはいえ大事なものかと思ったんだ。こんなに反応がいいとは思わなかったよ。
それにしてもこれじゃ盗賊失格だぜ。」
ジルはジャックにそう説明する。
「確かにな。盗賊にとってこんなことに引っかかるのはまずいよな。
だが、...。」
ズバッ。
ジャックは2本のナイフを手にして自分を捕らえていた網を切り裂く。
「こんなもんで俺を捕らえようなんて甘すぎだぜ。」
「ありゃ~。お前、一体何本ナイフ持ってんだよ。」
「この俺を一瞬でも捕らえたことを褒めてやろう。」
ジャックはそう言うと、懐から赤い宝石、レッドエメラルドを再び取り出した。
「さぁ、君らも石を出せ。」
「なんだよ。まだ盗る気か?」
「いいから、出せ。」
今までに見たことのないジャックの透き通った表情にジルは思わず残り2つの石、
ブルールビーとグリーンサファイアを袋から取り出した。
その瞬間、3つの宝石は互いに共鳴して光を放ち始めた。
「いよいよ見れる。幻の宝石、いや神の秘宝とまで言われるレインボーダイヤモンド。」
光はチカチカと点滅をして徐々に大きくなっていく。
そして。
シューーーーン!!
まばゆい光が周囲を包みと3つの宝石はなくなり自ら7色の光を放つダイヤモンドが
浮いていた。
「こ、これがレインボーダイヤモンド。」
その場にいた者は皆その美しい輝きに目を奪われていた。
ジルはレインボーダイヤモンドに心まで奪われそうな中、ハッとしてジャックを見る。
「そう強張るなよ。こいつはさすがの俺でも過ぎた宝だ。この輝きを見れただけで
十分満足だ。今回の君たちの活躍に免じてレインボーダイヤモンドからは
手を引こう。じゃあな、機会があればまた会おう。」
バリーン!
ジャックはジルたちに告げると、窓ガラスを割って外へと飛び出した。
「これで、欲しいものが手に入ったということですね。」
「あぁ、ちょっと納得いかない部分はあることはあるが。」
「何だかあの盗賊に譲ってもらったって感じよね。」
メアリーも複雑な表情をする。
「そうなんだよな。でもせっかく手に入れたんだ。素直に受け取っておこう。」
ジルはそう言うと、宙に浮かぶレインボーダイヤモンドを掴み袋に入れた。
「さぁて、そろそろこの屋敷の人たちが戻ってくるかもな。逃げるか。」
ジルは笑顔でみんなに言う。
「何で逃げるの?」
パティは不思議そうに聞く。
「そりゃ、盗賊に大事な絵を奪われたままみすみす取り逃がしたんだからな。
しかもこの家の主人が縛られていたことに気づかなかった。見つかったら
さぞかし怒られるぞ。」
「逃げましょう。」
マルクもジルの意見に同意した。
メアリーとパティも頷く。