「うまく起動したようだ。不可侵の壁、『ガーディアン・ウォール』。
魔力を込めた特殊岩盤を使用することで、通常攻撃だけでなく魔法による
破壊にも耐えうることが出来る。これで我が国は帝国に脅かされることもあるまい。
連合軍が勝利していれば無用の長物となりそちらの方がよかったのだが...。
後はレナ王女から聞いた者たちが頑張ってくれることを祈るしかないか。」
D=クラプターは天井に視線をやり思いを巡らせる。
「これは...。」
魔法使いの水晶玉から『ガーディアン・ウォール』の出現を見ていた
皇帝とエミルは衝撃を受ける。
「これが、D=クラプターの真の狙い...。陛下、申し訳ありません。
最後まで読みきることが出来ませんでした。」
エミルは陛下に心から謝罪をする。
「よい。これは余にも考えが及ばなかったことだ。それにしてもこれほど
巨大な物をこちらに一切の情報を漏らさずに作り上げるとは...。
我が覇道の前に唯一立ち塞がるか。D=クラプター、恐るべき男だ。」
皇帝の表情は落胆の色を隠せない。
「陛下、すぐにもこの防御壁への策を考えます。」
エミルは力強く皇帝に訴える。
「もうよいのだ。お前には次の段階へ進んでもらう。それは最も重要なことだ。
間に合わないということは許されないのだ。いいな!」
皇帝は珍しく語気を強めて言った。そのことはエミルによく伝わり、
「はい。畏まりました。」
と思うところはあっても素直に頷いた。
それ以降、ヴェロニス帝国とサンアルテリア王国は互いに攻めることはなく
戦争は鎮静化することになった。
そして、ジルの剣の依頼をしてから3日後。
ジルたちは再び鍛冶屋ガンテの元を訪れる。
「こんにちは。」
工房ではガンテとヒヨルドが待っていた。
「よく来たな。剣は出来ているぞ。ほれ。」
ガンテは完成した剣をジルに手渡す。
「これが、俺の剣...。」
その剣のデザインは比較的シンプルながらも鍔に埋め込まれたレインボーダイヤモンド
の輝きを不自然に感じさせない優雅さ力強さを持っていた。
「すっげーかっこいいな。」
剣を手にしたジルは惚れ惚れとして眺める。
「その剣はわしの人生で最高の一振りじゃ。オリハルコンの強度を
極限まで高めた。この剣を超える物は神々の武具でも存在するかどうか
というほどじゃ。デザインも時代の最先端を意識しておいたぞ。
どうじゃ気にいったか?」
ガンテは自慢げに言う。
「うんうん。気にいったよ。最高の剣だ!ありがとうガンテさん!!」
ジルは満面の笑みでガンテに礼を言う。
「それだけではありませんよ。」
ヒヨルド博士が一歩前に出る。
「その剣に埋め込まれたレインボーダイヤモンドの魔力を利用して
様々な能力を発揮することが出来るのです。」
「ホントにすっげえな。」
ジルは興奮が納まらない。
「そうでしょう。私にとってもこれは自信作でして今までの発明品の中でも
1,2を争う品になりましたよ。それで、この剣の名前ですが...。
『レインボーソード』と名づけました。」
ヒヨルド博士は胸を張って言う。
「え!」
ジルたちは驚く。
「なんかストレートすぎて、かっこ悪い名前よね。」
「はい。その名前には同感出来ません。」
「かっこ悪い、かっこ悪い。」
「なんかダサいよな。」
ヒヨルド博士の付けた名前に皆反発する。
「そこまで責めなくても...。それでは、『ミラージュソード』は
どうですか?以前『ミラージュナイフ』というのをお渡ししたことがありましたが、
それに性格が近く発展させたものと思ってぴったりだと思いますが。」
ヒヨルド博士は考え直して言う。
「それもいまいちな気がするな。悪くはないと思うんだけど...。」
ジルはまだ納得出来なかった。
「では、どんな名前がいいですか?」
困り顔のヒヨルド博士は逆にジルに問いかける。
「そうだなぁ~、う~ん。...『デイブレード』はどうだろう?」
「『デイブレード』。うん。いいんじゃない、それ。」
「いいと思いますよ。」
「悪くないね。割とかっこいいと思う。」
ジルの考えた名前に他の3人は好印象を受けていた。
「よし!それじゃ、『デイブレード』に決定!!」
ジルは皆の感想を聞いて、それに決めた。