ヴェロニス帝国の帝都、そして皇帝のいる城へと再びやってきたジルたち4人。
「いよいよですね。」
「リベンジね。」
「緊張するね。」
「さぁ、行くぞ。」
4人はそれぞれの思いを胸に足を進める。
以前と違い城の前には兵が立っておらずそのまま城の中へと入ることが出来た。
「ようこそ、いらっしゃいました。」
一人の老人がジルたちに礼をして出迎える。
「お前は?」
「私は陛下にお仕えする執事。陛下より命令を受けております。
ジル様を案内するように。そして、お連れ様を手厚くもてなすようにと。」
執事が指をパチンと鳴らすと大勢の兵士たちが現れる。
「手荒な真似はしたくありません。おとなしく従って頂ければ何も致しません。」
「大変な歓迎ね。私たちがおとなしくするとでも思っているの。」
メアリーは剣を抜いて構える。
そこをジルが腕を横に延ばしてメアリーを制する。
「何!?」
「ここはそいつらの言うとおりにしよう。」
ジルは落ち着いてメアリーに言う。
「どうして?分からないわ?こんな奴ら簡単に倒せるわよ。」
「いいんだ。」
「物分りの良い方でよかった。では、兵たちに御3方を部屋へ案内させましょう。」
ジル以外の3人はおとなしく案内役の兵たちについて行く。
メアリーは不満な顔をして唇を尖らしていた。
「何でこんなことになるのよ、もう。」
「恐らくジルは巻き込みたくないという思いでいたんでしょう。」
「それって私たちが邪魔者ってこと?ちょっと酷いんじゃない?
一緒に戦えばいいでしょ。」
「皇帝の方も同じことを考えていたのでしょう。もしあそこで暴れていれば
どんな手段を使われていたかは分かりません。大事な村が壊滅しても何とも思わない
非情の皇帝です。ジルはそれを考慮したのでしょう。」
「う~ん。そこまで言われると推測の域でも説得力があるわね。
仕方ないわね。おとなしく待ちましょう。」
マルクの説明にようやくメアリーも納得をすることが出来た。
「ジルは絶対勝つよ。ねぇ、メアリー姉ちゃん。」
パティは笑顔でメアリーに話しかける。
「そうよ。もし私たちが待ってる間に負けたりしたら許さないからね。」
メアリーはパティの笑顔に元気付けられた。
「行かれたようですね。」
ジルと執事はマルクたちが部屋へ連れて行かれるのを見ていた。
「分かっているだろうな。もしも、あいつらに何かあったらお前らはただじゃ
済まないからな。」
「分かっております。あの方たちは丁重にもてなして頂きますよ。
安心してして下さい。」
「なら、いいが...。」
「では、行きましょうか。」
ジルは執事に案内され、階段を上り一つの部屋に案内された。
「私が案内出来るのはここまでです。この扉の中の部屋をさらに進めば陛下が
お待ちになる玉座の間へと辿ることが出来ます。どうぞ。」
執事は扉を開けるとジルに入るよう促してから下がっていった。
ジルは躊躇うことなく部屋の中へ足を踏み入れる。
その部屋は何も無くただ一人、ラング将軍が待ち構えていた。
「我が名は将軍ラング。陛下の命をお守りすることが第一の務め。
故に貴様をここで排除する。」
ラングは自慢の大斧、バンガードを構える。
「それは皇帝の命令か?それとも私情か?」
ジルはまだ構えずにラングをじっと見据える。
ラングに昔の記憶が蘇る。
『近隣諸国との戦いで傷つき、倒れたヴェロニス帝国初代皇帝。
ベッドに寝かされた皇帝の目は力を失いつつあった。
ラングはそんな皇帝の傍で見守っていた。
「ラング。お前は余に忠義を尽くしてくれた。感謝する。」
「とんでもありません。陛下には返しきれない程の恩があります。」
「そんなお前に一つ頼みたいことがある。」
「それは何でしょう?」
「我が息子、キルヒハイス。溢れんばかりの才能を秘めた自慢の子だ。
しかし、あれはまだ若い。成長し大事を成し遂げる日が来るまで守ってやって欲しい。」
「は、畏まりました。」
この日、若き日のラングはヴェロニス帝国皇帝に命を捧げる決意をした。』
「これは先代からの勅命だ。」
ラングは闘気を漲らせる。
「なるほど。では、俺も剣を抜こう。」
ジルは自身の剣、デイブレードを鞘から抜いて構える。
デイブレードに埋め込まれたレインボーダイヤモンドからは光を発していた。