「さ~て、仕事でも探そうか。」
ジルたちは仕事斡旋所パーラムへやってきた。
「どんな仕事がいいかしら。」
メアリーはそう呟きながら求人票に目を通していく。
「まぁ、モンスター退治とか用心棒の依頼だったら割と楽かもな。」
「今のジルの強さならそうかもしれませんが、あまり調子に乗らないで下さいね。」
「分かってるよ、マルク。もう。」
ジルは少し不満な顔をしながら求人票を見続ける。
「ねぇ、あれ何?」
パティは壁に貼られた一枚の紙を指差す。
「パティ、あれは求人票じゃなくてチラシだ。こっちの方を見なきゃ。」
ジルは優しく言う。
「そうですよ...。ん!?」
マルクはパティが指差したチラシを見て何かに気付く。
「どうした、マルク?」
「いや、違いますよね。ここに楽してお金が稼げると書かれているのですが...。」
「何だって!」
ジルは顔色を変えてチラシに目をやる。
「おぉ、これは!!すごいじゃん。」
「いや、それは...。」
「早速行こうぜ!」
ジルはマルクの言うことを一切聞かずに皆を連れて、チラシに書かれている場所へと
向かった。
そこは大きなホールになっていて入り口には受付の女性が一人座っていた。
「あの、チラシを見てきたんだけど。」
ジルは勢いよく受付の女性に話しかける。
「あぁ、説明会参加の方ですね。どうぞ中へお入り下さい。空いている席なら
どこに座っていただいても構いません。」
そう言われ、ジルたちは中へ進む。
中ではすでに数十人が座って待っていた。
「いやぁ、楽しみだな。楽してお金を稼げるなんて。」
ジルはウキウキした気分でいた。
「ジル。さっき言えなかったんですけど、そんなうまい話はないと思うんですけど。」
「もう、マルクは心配性だな。こんなに人が集まってるんだからきっとすごいいいこと
に決まってるぜ。なぁ、メアリー。」
「う~ん、私は何とも言えないわね。まずは話を聞いてからじゃないかしら。」
「私はさっぱり分かんない。」
「パティはともかくメアリーも案外心配性なんだな。大丈夫だって。」
「その自信はどこから来てるのでしょうか。」
マルクは理解できないといった表情をした。
「ん?何か言ったか?」
「いえ、何も。それより、もうすぐ始まるみたいですよ。」
会場の前にある壇上に正装をした男性が一人歩いてきた。
壇上に立った男性は座っている人たちを確認して話を始める。
「みなさん、今日はようこそ御越し下さいまして心から感謝します。
私、フェラード商会代表のラスク=フェラードです。よろしくお願いします。」
「聞いたことないわね。フェラード商会なんて。」
メアリーがボソッと言う。
「今日、みなさんは非常にラッキーです。なぜなら私共の考案した
楽してお金を稼げる方法を知ることが出来るのですから。
もう既にこの方法でお金持ちになっている人もいるんですよ。
紹介しましょう。どうぞ。」
ラスクは手を振って一人の中年女性を呼ぶ。
女性はたくさんの宝石を身に付け綺麗に着飾っていた。
「私は小さいときから貧しい暮らしをしていまして、働けど働けど
暮らしは楽にならず人生とはこんなつらいものなのかと思っておりました。
ところが、このフェラード商会さんのおかげでこの通り、贅沢で裕福な
暮らしが出来るようになったんです。フェラード商会さんには本当に
お世話になっています。何の取り得もない私が何の苦労もなく
稼げているんですから。今までの人生は何だったのかと思ってしまいます。
もう毎日が幸せで満ち溢れています。みなさんもどうかフェラード商会さんの
言うとおりにして幸せな人生を勝ち取ってください。」
女性は笑顔で話を終えると、また壇上から去っていった。
座って聞いていたみんなは半信半疑という感じであった。
ラスクはパチパチと拍手をして女性を見送る。
「どうもありがとうございました。実際に我が社によってお金持ちと
なった女性の体験話を聞いて頂きました。みなさんもあのようになりたいとは
思いませんか?どうです?まだ半信半疑といったところでしょうか?
無理もありません。突然楽して儲かると言われても普通はピンとこないものです。
では、実際にその儲かるシステム、方法をこれから説明していきたいと思います。
我々はたくさんの資金を抱えています。その資金を使って金・プラチナ等を
買い占めます。それにより市場に出回る量が僅かになり希少価値及び価格が
自然に上がっていきます。そこで買い占めた物を売りに出すのです。
値段が上がった分だけ利益になります。それを繰り返すことによって
元々あった資金がさらに莫大なものへと変わっていくのです。
皆さんに何をして頂くかと言うと、簡単です。出資をしてもらいたいのです。
お金が集まればそれだけ独占出来る種類が増えていきます。
利益もどんどん増えていきます。利益が出れば出資金に応じて配当金を
支払います。
先程の女性は最初、なけなしの大事なお金を我々に預けられました。
そして、配当金を受け取られそれをさらに出資してもらいました。
継続することでお金は雪ダルマ式に増えていき今の状態になられたという
わけです。
皆さん、どうでしょう?お金を出していただくだけでそのお金が勝手に
増えていくのです。こんな簡単なことは他にありますか?」