みんなで考え込んでいたジルたち。
「うん、やはり薬を売っている奴らを探し出そう。」
「難しそうだけど、それしかないわよね。」
ジルの言葉にメアリーも同意する。
「それでどこから情報を?この辺に歩いている人に聞いても
そういうことは全く分からないのでは?」
マルクは疑問を投げかける。
「こういうときこそ情報屋を使えばいいんじゃない。」
メアリーはマルクに答える。
「そうでしたね。」
「ねぇ、情報屋って?」
パティが尋ねる。
「あぁ、情報屋っていうのはね。欲しい情報を提供する代わりに
お金をもらって仕事にしている人たちのことよ。」
メアリーはパティに分かりやすく説明する。
「へぇ、そんな人がいるんだ。」
パティはそれを聞いて感心していた。
ジルたちは街を歩き情報屋のいる場所を探す。
「しばらく会っていないわね。まだここに居てるかな、シャム」
メアリーが細い路地の中の角を曲がり、覗いた先に一人の男の子が俯いて座っていた。
「シャム?」
メアリーが男の子に尋ねる。
「ん?」
男の子は顔を上げ、メアリーの顔を見る。
「あ、お姉ちゃん!久しぶりだね。元気してた?」
「もちろんよ。シャム少し大きくなったね。」
「まぁね。で、今日は何の用?」
シャムは挨拶もほどほどに尋ねる。
「実はね、『ソネル』って薬を売ってる奴がどこにいるか分かる?」
「おいおい、お姉ちゃん。そんなやばい情報はさすがに知ってても教えられないよ。」
「え、そうなの。困ったわね。」
メアリーは困った顔をする。そこへジルが前に出る。
「ならさ、『ソネル』を使っている奴の情報とかは教えてもらえないか?」
「う~ん。それなら、まぁ、大丈夫かな。…ちょっと待ってね。」
そう言うと、シャムは分厚いノートを取り出した。中には膨大な情報が書き込まれて
いるようだった。
「そうだね…。」
シャムは別のメモに何かを書き写した。
「はい。このメモに書いた場所に行ってみて。」
「サンキュー。」
ジルはメモを受け取ると情報料を支払った。
「兄ちゃんたちのしようとすることは大体想像はつくけど、気をつけるんだよ。」
シャムは釘をさすように言った。
「あぁ、分かってる。ありがとうな。」
「シャム、ありがとう。」
情報屋シャムにお礼を言って、その場を後にした。
ジルたちはシャムのメモに書かれた場所にさっそく向かった。
「え~と、この辺りかな。」
ジルはメモを見たり、周りを確かめるように見たりして
ゆっくりと歩く。そこは普通の町中で特に怪しいところはなかった。
「ここで間違いはないと思うんだけど…。」
ジルたちは周りをきょろきょろと見回す。
「もうその人いないってことはないのかしら?」
メアリーが首をかしげながら言う。
「まぁ、ありえますよね。でももう少し様子を見てからにした方が
いいかもしれませんね。」
マルクも悩みながら言った。
…しばらくして。
「もう疲れたな。今日は帰ろうか。明日もう一度来てダメだったら
また考えよう。」
「そうね。」
ジルの提案にメアリーが頷いたとき、
「ねぇ、あれ。今あそこの家から出てきたあの人、ちょっとおかしくない?」
パティが一人の男を指さして言った。
「ん、どれ。」
ジルがパティの指さす男を見ると、男はふらふらとした足取りで歩いている。
「う~ん、あれだと『ソネル』を使っているのかただ酔っ払っているだけか
がよくわからないな。」
「もう少しあの男の様子を観察しましょうか。」
「そうだな。」
ジルたちは怪しまれないように男と距離をある程度保ちながら後をつけていく。
すると男は次第に細い路地へと入っていく。
「これ、ちょっと見失いそうだな。もう少し距離を詰めるか。」
ジルたちは男を見失わないように注意した。
男はある建物の地下へと続く階段を降りていく。
ジルたちが階段を降り、目の前の扉を開けると通路のような細長い部屋があった。
そこはロウソクの火が灯されるだけのうす暗く白い煙が充満していた。
部屋の両脇には数人、座り込んでいる者がいた。
「ねぇ、ジル。ここの臭い、私これ以上耐えられないわ。外で待っていてもいい?」
パティは鼻を両手で塞ぎつらい顔をしていた。
「あぁ、ここの臭いは独特だな。この煙、何かの薬の臭いだろうな。
俺でも長時間いてたらおかしくなりそうだ。パティはこういうのは敏感だからな。
外で待っていてくれ。」
ジルは頷いてパティを外へ出した。
ジルたちが歩きながら座り込んでいる人を見ると、皆目は虚ろ、呼吸は浅く
今すぐにも倒れて息を引き取ってもおかしくないという感じだった。