dark legend   作:mathto

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「う、うぅぅ。私はいったい。」

「ハンス王、気がつきましたか。」

「ああ、確か黒いローブの男の

電撃を受けたんだったな。」

「ええ、カルトルとかいった奴です。

それにしてもあの石は何なんですか?

封印とかエトールとか。」

「封印?何のことかさっぱり分からない。

あの石はただの慣習でつけているものだと

思っていたし。エトールというのはクラレッツ

と同じように我が国のすぐ近くにある国だが。」

「とにかくエトールに行かないと謎は解けないって

訳か。急いで追いかけよう、マルク。」

「しかし、王様を放っては...」

「私のことなら心配ない。どうも嫌な予感がする。

急いでいってほしい。十分気をつけてな。」

ジルとマルクはハンスを置いて、エトールへと

向かった。

 

エトールでは。

「これが最後の封印石か。これを破壊すれば...」

カルトルは広場の中心にある。大きな石の玉を見て言った。

「待ちなさい。それを破壊させる訳にはいきません。」

「誰だ?」

カルトルの目の前にドレスを着た美しい女性が現れた。

「私はエトールの王女、レナです。邪悪なあなたの

思い通りにはさせません。」

レナは毅然とした態度で答えた。

現れた王女に周りにいた人々は注目しだした。

「皆さん、ここは危険です。しばらくの間、ここから離れた

安全な場所に避難してください。」

レナは周りの人々にむかって大きな声で注意を促した。

人々は事情が分からず戸惑いながらも王女の一言に

素直に従い、遠くへと避難していった。

 

 

 

巨大な石を間にし向かい合うカルトルとレナ。

「どうやらこの石のことを知っているらしいな。

だが、おまえに何が出来るのだ。」

カルトルは手を石に向け電撃を放った。

バンッ。

電撃は石に届く前で弾かれた。

「バリアーか。」

レナは両手を前に出し、自分だけでなく石を覆う

ほどの大きさのバリアーを作り出していた。

「だが、いつまでもつかな。」

カルトルは再び電撃を発した。

「きゃぁっ!」

レナは衝撃でバリアーが解けそうになった。

バリバリッ。

カルトルは電撃を石に向けて送りつづける。

「(くっ。なんとしても耐えなければ。

きっと助けが来てくれるはずだから)」

レナは苦しい表情をしながらもバリアーを

張りつづける。

 

暗黒魔道士アジト近くで。

「急げっ。奴らのアジトはもうすぐだ。」

数人の仲間を連れたレオンは馬を飛ばしていた。

そこで黒いローブを着た者が多数現れた。

レオンたちはそれを見て慌てて馬を止めた。

「これはお揃いでようこそ。私の名はタムト。

ここのリーダーといったところかな。」

中心にいた老人が不気味な笑みを浮かべて

レオンに話し掛けた。

「まさか気づいていたのか。」

レオンは驚きの表情で言った。

「当然だよ。君たちが私たちの事を探るのと

同じように私たちも動きに注目していたからな。

隠れ蓑なんて最初に気づいてたら何の役にも

立たないよ。」

「そういうことか。ならばここで決着をつけるまで。」

レオンと他の仲間たちは馬から降り馬を遠くに避難させ

落ち着きを取り戻し、士気を高めた。


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