バリバリバリッ!
リヴァイアサンに雷は直撃し、煙とともに少し焦げた臭いがする。
「やった!?」
パティは一瞬喜んだもののリヴァイアサンの様子に言葉を失う。
「この程度か?」
リヴァイアサンはほとんどダメージを受けず首を勢いよく振った。
「そんな...。水属性なのに雷が効いていないなんて...。」
「単純に攻撃力が足りないのだよ。では、こちらからもいくとしよう。
『大海嘯』!」
巨大な波がパティに襲い掛かる。
「ラムウ、戻って!」
パティはラムウを案じてその場から消させる。
パティの体が波に飲み込まれる。
「きゃあぁぁぁぁ!ゴボゴボゴボ...。」
息が出来ず、体は引きちぎれそうなほどの水流の激しさが襲う。
しばらくして波は引いたが、パティのダメージは重くその場で膝と手をついていた。
「はぁはぁはぁ...。」
「手加減はしたが、もう限界のようだな。どうやらお前はまだまだ力不足だということか。
もっと力をつけてから出直してくるのだな。」
「そ、そんな...。私がバハムートの力を借りてくるのをジルたちは期待して待っている。
もしこのまま戻っていったらがっかりするだけじゃない。世界が滅びてしまうかもしれないのよ!
私はここで負けられない!!」
パティは気合で立ち上がりリヴァイアサンに熱い眼差しを向ける。
「ほぉ、まだ立てるのか?根性だけは認められるな。だが、その体で何が出来る?」
「シヴァ!」
パティは氷を操る女性型の幻獣『シヴァ』を呼び出す。
「いけっ!!」
パティの号令と共にシヴァは魔力を込める。
「『ダイヤモンド・ダスト』。」
シヴァから猛烈な吹雪がリヴァイアサンに向けて放たれる。
「今度はこちらもしかけさせてもらうぞ。『大海嘯』。」
リヴァイアサンはシヴァの攻撃に対抗するように巨大な波をパティに向ける。
カチーン!
リヴァイアサンが起こした波がシヴァの吹雪にぶつかるとたちどころに凍り付いた。
それはすぐにひび割れ砕け散った。
「な、何!?」
リヴァイアサンは驚きを隠せない。されにシヴァの吹雪はリヴァイアサンへと向けられ
海全体が凍り始めた。
「(シヴァの攻撃ランクはラムウとほぼ同じはず。俺に対してはラムウの攻撃力の方が
高くなるはずだ。これだけの威力どうして...。)」
リヴァイアサンはパティの方を見る。
「(は!まさかこの娘の力が上乗せされているのか。これほどまでに攻撃力を
上げさせるとは...、この娘、相当な力を眠らせているのかもしれんな。)」
周囲の海が凍り付き身動きがとれなくなったリヴァイアサンは一息ついてパティをもう一度見た。
「パティと言ったか...。」
「はい。」
パティは思わず返事する。
「お前の力、認めよう。」
「え。じゃあ...。」
パティは期待を込める。
「あぁ、バハムートの居場所を教えよう。」
「やった。」
パティは素直に喜んだ。
「バハムートはお前の後方にあるほこらの奥にいる。」
「え。」
パティはすぐに振り返ると、そこには小さなほこらがあり入口が一つ見えていた。
「ありがとう、リヴァイアサン。」
パティは笑顔でリヴァイアサンに礼を言った。
「ふむ。もし俺の助けが必要であればいつでも呼び出しに応じよう。」
そう言ってリヴァイアサンは海の中へと帰っていった。
パティは一礼してすぐにほこらへと向かった。
ほこらの中は暗く狭い下り階段が続いていた。
パティは不安と期待を胸に抱きながら一歩ずつ足を進めていく。
「本当にこの先にバハムートがいるのかしら。」
階段は長く一直線に伸びていて終わりが分からなかった。
そのことがパティの体力と精神力を少しずつ削っていった。
「はぁはぁはぁ。」
パティはとうとう疲れて段の一つに腰を落とした。
「(もう無理。)」
パティの中で諦めの気持ちが芽生えだしたとき、ジルたちの顔を脳裏に浮かぶ。
「ダメよ!途中で投げ出したりしたらみんなに申し訳が立たないわ。」
自分を奮い起こし、果てのない階段を下り続ける。
パティは半ばやけくそになり、気を抜けば足がもつれて倒れてしまいそうに
なりながらもひたすらに階段を降りていると、初めて違う景色が見えてきた。
ぼんやり明るい部屋のようだった。パティは今までの疲れが吹き飛んだかの
ように駆け下りていった。
「い、いた!!」
部屋まできたパティを待ちかまえていたのは巨大な竜バハムートだった。
「これがバハムート...。」
パティはその美しくも力強い神ともまで呼ばれる圧倒的な存在感を前に立ち尽くしていた。
「娘、何の用だ?」
バハムートは低く響く声でパティに問いかける。
「バハムート、私たちの力になって。暗黒竜を倒してほしいの。」
パティは率直に答えた。
「暗黒竜か。確かに人間にとって脅威であろうな。しかし、力を貸すためにはお前自身を
認めることが出来るかどうかということだ。」
「(は、そうだった。ここでバハムートに勝たなければいけないとしたら今の私には...。)」
パティの顔に諦めの色が映る。
「お前の内にある精神を見せてもらうぞ。」
「え。」