dark legend   作:mathto

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「そう、『呪術師キュリオン』が関わる組織『ヘルヘブン』。俺はそいつの壊滅をする。

それこそが悪であり、ヴェロニス帝国の皇帝がつぶそうとしていたものだ。」

カフィールの言葉に力が入る。

「な、なるほどな。聖騎士カフィールが世界征服をしようとしたヴェロニス帝国に

属していたのはそういう理由か。で、私は何を協力すればいい?」

「船を貸して欲しい。奴らのアジトはどこかの島にあるはずだ。そこまで辿り着くために

は船が要る。それとこの国の領土、領海内を自由に行き来出来るようにしてもらえればいい。」

「それくらいなら何とかなるだろう。しかし、直近の問題を先に解決してもらえないか。」

「『暗黒竜』か。」

「そうだ。これにはこの国だけでなく全世界が困り苦しんでいる。」

「残念だが、世界中を飛び回る暗黒竜を俺には捉えられない。」

「そんな…。」

D=クラプターは言葉を失う。

「しかし、このままというわけにはいかないだろう。おそらく直に倒す者が現れる。

直感よりも確実なものだ。」

「暗黒竜を倒す者に心当たりがあると?」

「まぁ、そんなところだ。」

「分かった。こちらは協力するよう手配しよう。準備出来次第追って連絡する。」

「感謝する。…ところで、あんたに弟がいるか?」

「ああ、いる。馬鹿な弟が一人。くだらない思想家気取りで本も出したことがあったかな。

今、どこで何をしているか全く知らないが。まぁ、どこかでくたばっているかもしないな。

しかし、それが何か?」

「あ、いや。別に何でもない。それでは、これで失礼する。」

カフィールはそう言うと、席を立ちD=クラプターの部屋を後にした。

 

一方、ジル達は聞いた情報を元に暗黒竜の居場所まで辿り着いていた。

「これは…。」

ジル達の前には広い原っぱに暗黒竜が一匹、幾重にもなる白い線状の光に巨体を捉えられている

姿があった。その線状の光はすぐそばに立つ一人の男から放たれているようだった。

「どうなってるんだろう。」

ジル達はまずその男へと近づいた。

その男はローブを身に纏っていて魔法使いのようだった。

線状の光を放つ手からは血が滲み出ており、必死で暗黒竜を抑えているというのが伝わってくる。

「あ、あの。」

ジルは恐る恐るその男に声をかけてみる。

 

 

 

「何だ?危ないからとっととここから立ち去れ!」

男はジルたちの顔も見ず、そっけなく答えた。

マルクはその男の顔を見て、はっとする。

「もしやあなたはエルレーン様ではないですか?ウェンデル先生と同じ

魔道連盟の五大司祭の一人の。」

「ああ。いかにもそうだが。暗黒竜を捕える実験中だが、

ここらが限界のようだ。」

エルレーンはそう言って、暗黒竜を睨む。

「俺の具現化した網でこいつの動きを止めることは出来たが、抑えるための

魔力消費が半端じゃないな。さて、実験は終了するか。」

エルレーンは手から放つ線状の光を消した。

グォォォーーン!!

光の網から解き放たれた暗黒竜は激しく首を動かしまわす。

エルレーンは暗黒竜に背を向け立ち去ろうとする。

「お前らまだ突っ立ってるのか。早くこの場から離れろ。」

「あなたはここで何をしてたんですか?」

ジルはエルレーンに尋ねてみる。

「ゆっくりお話ししてる時間なんてない状況だが。...まぁいいだろう。

俺はこの暗黒竜を倒すきっかけを探している。俺や魔道連盟だけじゃない。

当然、世界中が暗黒竜を脅威とみなし、倒す方法を模索している。

分かるだろう?」

「はい。」

エルレーンの説明に納得し頷くジルたち。

そこへ...。

「お待たせ!!」

ジルたちの前に現れたのははぁはぁと息を切らしながら現れたパティだった。

パティの表情は明るくやる気に満ち溢れていた。

「その顔は本当に...。」

ジルはパティの顔を見て確信する。

「うん。やったよ。バハムートと契約をしてきたわ。」

「本当ですか!?」

マルクは驚きの表情をパティに向ける。

「それじゃ、もうさっそく。」

パティはみんなの前に立ち、暗黒竜に向き合う。

「いくよっ!」

パティは杖で魔法陣を描き始める。

「ぐ、ぐぐ...。」

呼び出そうとするものが強大なせいかすっと魔法陣を描き切ることが出来ず、

大量の魔力を注ぎ込みながら、ゆっくりと描く。

「はぁはぁ、出来た。出でよ、バハムート!!」

ボオォッォォォ!

暗黒竜と対峙するように巨大な竜バハムートが煙の中からその姿を現す。

「こ、これがバハムート...。」

ジルたちはその神々しくも強大な威圧感に圧倒されていた。

暗黒竜はバハムートの姿を認めると敵視し、攻撃態勢をとる。

口を開き、バハムートに向け黒い霧のブレスを吐き出す。

 

 

 

バハムートは暗黒竜の攻撃に呼応するように口を開く。

「メガフレア。」

パティはそう言うと、バハムートの口から眩いばかりの強烈な光が放たれる。

その光は爆発を繰り返しながら暗黒竜の黒いブレスとぶつかり合う。

数秒2つのブレスが互いに譲らず押し合った後、バハムートのブレスは

黒いブレスをゆっくりと押しやっていく。そしてついに暗黒竜自身に到達、

包み込む。

ググォォォオオオオオオオンン!!!

暗黒竜の断末魔が聞こえ、その姿は粉々に散らばっていった。

この出来事をその場にいる者は現実から離れ劇でも見ているかのような気分だった。

「ありがとう、バハムート。」

パティは背中越しにそう声をかけると、バハムートは首をひねり後ろのパティを見て

頷いた。

そしてすぐにその巨大な姿をシュウゥゥと消した。

 

「す、すげぇな。」

ジルは感想を一言添えた。

その場にいる他の者も皆同じ気持ちだった。

そんな中、パティがふっとその場に倒れた。

心配して皆が駆け寄る。

パティの状態をよく見た後、エルレーンは言った。

「魔力を消耗し過ぎたようだ。仕方ない。あれだけの幻獣を呼び出したのだからな。

この子の魔力を全て持っていかれたんだろう。まぁ、ぐっすり休めばまた元気に

活動出来るだろう。さて、俺はこの吉報を世界中に知らせまわることとしよう。

それじゃな。」

そう言って、エルレーンはこの場を去っていった。

残らされたジルたちはパティを抱えて宿へと戻ることにした。

 

一夜明けて。

「う~ん。」

パティは両手を上に上げてベッドから目を覚ました。

「おはよう。」

パティのそばにジル、マルク、メアリーは寄り添い見守っていた。

「あれ、私。どうして??」

パティは今の状況を把握できていなかった。

「それは...。」

ジルからパティに昨日のことをゆっくりと説明する。

「...、そっか。私、疲れて倒れたのか...。」

「あんなすごいの呼び出せるなんて、パティはもう世界一の召喚士じゃないか。」

ジルはそうパティを褒めると、パティは少し照れくさそうに頭を掻きながら微笑んだ。

「俺たちは少し出かけてくるから、パティはもう少しここでゆっくりしてるといい。」

「ジルたちはどこへ行くの?」

「ぼちぼち情報収集をしようかなと。まぁそんな簡単には出てこないだろうけど、何か

おかしなことが起こっていればきっかけをつかむくらいは出来るだろう。」

「うん、分かった。気をつけてね。」

ジルたちはパティに見送られ、宿から外へ出た。

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