「さ~て、どうしようかな。」
ジル、マルク、メアリーの3人は行く当てもないまま歩き出した。
「ねぇ、ちょっとカフェで何か飲まない?」
メアリーの提案に2人は頷き、近くにあった一軒の店に入った。
「俺、コーヒーにする。」
「私は紅茶で。」
「え~と、私はミルクをいただきます。」
各々注文をし席に着く。
「しかし、『ヘルヘブン』についての情報収集って言っても何を
どうしていいのかさっぱり分からないよな。」
「確かに情報屋ですらほとんど情報が出てこないというのは
困りものですよね。」
「かと言って何もしないわけにもいかないんでしょ。」
「そうだよな。こうしてる間にも『ヘルヘブン』は影で動いて
またよからぬことをし始めている可能性は十分あり得るからなぁ。」
「う~ん。」
3人は行き詰まりを感じていた。
「ま、今は考えていてもどうも出来ないし気分転換でもして状況が変わるのを
待つ方がいいかもな。このまま悩んだまま何にもしないっていうのも
もったいないだろ。」
「確かにそれは言えますね。」
3人は一旦『ヘルヘブン』の件から離れることにした。
そして、街中を歩いてみる。
「こう歩いてみるとすごく平和な感じがしますね。」
「いいことよね。」
メアリーは笑顔で答えた。
「ん?あれは?」
ジルが通りの中で人だかりが出来ているところに注目する。
「何でしょう?行ってみましょうか。」
3人は人だかりに近づく。
そこには子供が数人一つのテーブルに集まっていた。
テーブルでは2人の少年が向かい合って座っていた。
「LP(ライフポイント)はお互い1000Pでいいね。じゃ、僕からいくよ。
『ガイコツ男』ST(攻撃力)500、DF(守備力)600を攻撃表示。」
そう言って一人の少年Aは一枚のカードをテーブルに置いた。
そして少年Bはまた一枚のカードをテーブルに出す。
「僕は『ガーゴイル』ST850、DF600で『ガイコツ男』を攻撃する。
『ガイコツ男』を撃破。さらに350Pのダメージをプレイヤーに与える。」
少年Aは『ガイコツ男』のカードを別の場所に移した。
「僕のターンだ。」
少年Aは自分のそばにある山札から一枚カードをめくり手元のカードに加える。
「う~ん。ここは『ゴーレム』ST700、DF1300を守備表示。」
次にまた少年Bが同じように山札からカードをめくる。
「よしこれなら。」
少年Bは山札からひいたカードを場に出す。
「『ドラゴン』ST1500、DF1200で『ゴーレム』を攻撃、撃破。
さらに『ガーゴイル』でプレイヤーに直接攻撃。これでLPは0になる。」
「くそ~、負けた。」
少年Aは手札を場に投げ出す。
「なぁ、これ何?」
ジルがそばに立つ一人の少年に声をかける。
「知らないのかよ。今、流行のカードゲーム『サモンマスター』だぞ。」
「『サモンマスター』?」
「そう。互いにクリーチャー(モンスター)を呼び出し相手のLPを先に0に
したら勝ちっていうゲームだ。」
「へぇ、面白そうだな。あのカードはどこで手に入れるんだ?」
「カードショップとか道具屋に行けばすぐ買えるよ。」
「そうか。ありがとう。」
ジルは教えてくれた少年に礼を言いその場を離れた。
「俺たちも始めてみようか。」
ジルはマルクらに提案する。
「いえ、私はいいです。なんだか難しそうですし。」
「うん。私もいいわ。」
「なんだよ。つれないなぁ。分かった。じゃあ俺だけやってみるぞ。」
そう言ってジルはさっそくカードショップを探し出した。
「え~と。ここだな。」
さっそく店の中に入る。中ではメガネをかけた中年の男がカウンターごしに
立っていた。
「すいませーん。『サモンマスター』のカードください。」
「え~と。初めて買いに来たのかな?」
「そうだけど。」
「それじゃあ、スターターパックがおすすめだよ。これならすぐにでも
ゲームが出来るからね。」
「スターターパックって。他にもあるの?」
「ああ。追加のブースターパック。これの中からはレアカードが入っていること
もあるけど、まぁなかなかいいカードってのは難しいよ。」
「へぇ。じゃあ、スターターパックを一つください。」
「はいよ。」
ジルは代金を支払い店員から『サモンマスター』のスターターパックを受け取った。
店を出ると、ジルはさっそくスターターパックの封を開けてみた。
中には様々な絵が描かれたカードが入っていた。
「おぉ。いろいろあるんだな。」
ジルはカードを一枚一枚眺めていた。
「カードを手に入れたことですし、次は誰かと対戦ですね。」
「よ~し。」
ジルは対戦相手を探してみる。カードショップの近くということもあり、
また今流行っていることもあるのであちこちで遊んでいる子供たちがいた。
「う~ん。これって子供向けの遊びなのかな?」
その様子を見てジルは少し戸惑った。
「そんなことはないぞ。」
そこへ一人の青年がジルの後ろから声をかけた。