「ん?あんたは?」
ジルは思わず尋ねる。
「俺はマッシュ。『サモンマスター』をやってるもんだ。ここは
子供ばっかりだが、違う場所にいけば大人も普通にやってるんだぜ。」
「俺はジル。対戦相手を探してるんだ。」
「いいだろう。ただ、ちょっと場所を変えるぜ。」
そう言うと、マッシュは近くの建物を指さし中に入る。
ジルたちもそれについていく。
中はいくつものテーブルが置かれ、それぞれで『サモンマスター』の対戦を
行っているようだった。
「ここは『サモンマスター』専用カフェだ。ここには大人が大勢集まって
プレイしているんだ。」
マッシュの言う通りそこに座っているのは子供ではなく真剣にゲームをする大人の
姿があった。
「まぁ、所詮はゲームだし、若い奴が多いのは事実だが。このゲームに魅せられて
大金をつぎ込んでいる奴もいる。さっそく俺と対戦してみるか?ちなみに俺らは
『サモンマスター』で対戦することを『決闘(デュエル)』すると言っている。
そして、このゲームのプレイヤーは『デュエリスト』と呼ばれる。」
「OK。この空いているテーブルでいいのかな?」
「ああ。」
ジルとマッシュは近くに空いていたテーブルに対面して座る。
「ルールは分かっているな。LPは1000。先に相手のLPを0にした方が勝ち。
まずはお互いの山札から5枚を引いて手札とする。」
2人は山札から5枚をめくり手にする。
「先攻は君からどうぞ。」
「お、おう。俺は...。」
ジルは手札をじっと見る。
「よし。このカードを出そう。『見習い剣士』ST400、DF300を攻撃表示だ。」
「教えてあげよう。このゲームを始める者がまず最初に手にするスターターパック。
それにはゲームをするために必要なカードがバランスよく入っている。しかし、
勝つために必要なカードが入っているとは言いにくい。というのはレアな強いカードは
ほとんど入っていないからだ。では、俺の番だ。『ガイコツ剣士』ST800、DF350で
『見習い剣士』を攻撃する。」
マッシュはそう言ってカードを1枚場に出す。
「これで、『見習い剣士』は破壊される。さらにプレイヤーに400のダメージを与える。
これでお前のLPは600となる。俺のターンは終了だ。」
「う~ん。俺の手札に『ガイコツ剣士』を倒せるカードがないな。とりあえず...。」
ジルは自分の山札からカードを1枚取る。
「あ、これなら。ええと、俺はこの『重装歩兵』ST550、DF800を守備表示で出す。』
「ほぉ、なかなかいいカードを引いたな。では俺のターン。」
マッシュも1枚カードを引いて手札を眺める。
「俺はこの『ウェアウルフ』ST600、DF450を攻撃表示で出す。そして、もう一つ
教えておこう。このゲームには相手を攻撃したり自分を守ったりするモンスターや戦士などの
「クリーチャーカード」とは別に戦いを補助する「魔法カード」と呼ばれるものが存在する。
どんなものかは実際に使ってみれば分かる。俺はさらに『鋼鉄の爪』を『ウェアウルフ』に
装備する。これは獣族のクリーチャーに装備してSTを300上げる。『ウェアウルフ』の
STはこれで900になる。これで『重装歩兵』を攻撃。」
「俺の『重装歩兵』がやられた。」
ジルは『重装歩兵』のカードを場から墓地スペースに移す。
「守備表示のクリーチャーを破壊してもプレイヤーにダメージは与えられない。
しかし、このターンで俺はさらに『ガイコツ剣士』でプレイヤーに
ダイレクトアタック。800のダメージを与える。これでお前のLPは0。
俺の勝ちだ。」
「あちゃ。」
ジルはふぅと一息ついた。
「どうだ?ゲームの感じは分かったか?」
「うん。ありがとう。でも、全然歯が立たなくてなんだか悔しいな。」
「なぁに。少しずつカードを増やしながら強くなればいいさ。」
「まぁ、始めてすぐに勝ってたら飽きるのも早いかもしれないか。」
「ああ、それと近々この『サモンマスター』の大会があるぞ。
あの炎魔貴族グレン=ノワールはこのゲームの世界チャンピオンでな。
奴が主催で大会も開いているんだ。」
「え。ああ、あいつか。」
「確かに彼ならこういうゲームをやっててもおかしくはないわね。」
メアリーも納得して頷いた。
「ということは大会が開かれるのってバトラスか?」
「よく知っているな。そうだ。バトラスで大会が開かれ最終的に勝ち残った者は
チャンピオンであるグレンと奴の屋敷で戦うことになる。」
「いつあるの?」
「今から2週間後だ。俺も参加しようと思ってるところだ。」
「へぇ。それじゃ俺も参加してみようかな。」
「そうか。大会で会うのが楽しみだ。」
「いろいろ教えてもらってありがとう。」
ジルはマッシュに礼を言って別れた。
「これから、カードを買って強くしようか。」
ジルはカードショップへと向かう。
「おじさん、ブースターパックをください。」
「はいよ。」
ジルはさっそく買ったパックを開けてみる。
「お、これはなかなか強そうだな。」
1枚のカードを嬉しそうに眺める。