「これって強くなろうと思ってカードを集めてたら結構お金がかかるわよね。」
メアリーは少し心配そうに言う。
「う~ん。確かにあんまりはまるとゲームのために大事なお金がなくなる
なんてことになりかねないな。」
「何事もほどほどがちょうどいいということですかね。」
マルクはうんうんと頷きながら言った。
「よし、それじゃさっそくバトラスに向かってみよう。」
「そうですね。では宿に一旦戻ってパティの様子をみましょうか。」
ジルたちは宿に戻った。
「おかえりなさい。」
パティは元気な笑顔でジルたちを出迎えた。
「もういいのか?」
「うん。ぐっすり寝たからもうなんともないよ。」
パティは腕をぐんぐんと上に振りあげて元気さをアピールした。
「よかったね。」
メアリーもパティの元気な姿を見て、ほっとする。
「そうだ。パティにおもしろいの見せてやろう。」
ジルはパティに『サモンマスター』のカードを見せる。
「へぇ、いろんな絵が描いてておもしろいね。」
「そうだろ。これでゲームをするんだ。今度俺がするとこ
見せてやるよ。」
「うん。楽しみ。」
そうしてジルはパティに大会のことも説明した後、
船を使ってバトラスまで向かうこととした。
「帝国が変わってからバトラスも行きやすくなったようですね。」
「そうね。前に行ったときはすっごい策を練って侵入するような
感じだったもんね。それが今じゃ普通に堂々と行き来出来るように
なったんだからよくなったわね。」
マルクとメアリーがしみじみと言う。
ジルたちは港町サクスポートなどを経由して船でバトラスを目指す
こととした。
船にはジルたちの他にもたくさんの乗客が乗っており、甲板で
海を眺めていると方々から話し声が聞こえてくる。
「おい、知ってるか?また海賊が出たらしいぞ。」
「まじかよ。俺ら普通に船に乗ってて大丈夫かよ。」
「アルテリア連合とヴェロニス共和国連邦が海軍でパトロールを
してるからある程度は抑えられているらしいぜ。」
「そうか。ならそんなに心配しなくてもいいか。」
「ところが、海軍も恐れず暴れまわってる奴らが一部にいる
って話だぞ。」
「おいおい、以前いたジャバーの再来じゃないだろうな?」
「それは分からないが。今の奴らも強奪よりも殺戮を楽しむような
奴ららしい。噂が噂を読んで、真実かどうかは分からないところだが。」
「でもよぉ、怖がっても海に出ないわけにもいかないしな。
そいつらに出会わないことを願うだけだな。」
「結局、そうなるな。」
ジルたちは話に聞き耳を立てていた。
「海賊かぁ。そういや俺とマルクは捕まったことがあったな。」
「えぇ、なかなか面白い経験でしたね。」
「あの海賊たち。今頃、元気にやってるのかな?」
ジルは思いにふけった。
「へ~くっしょん。」
「ハーツ船長、風邪っすか?」
「いや、誰かが噂してるのかもな。」
「しかし、またやっかいなのが現れましたね。
みんな、ジャバーの再来だって言ってますぜ。」
「それなんだが、一部では今回のが本当のジャバーじゃないか
という話が出ているんだ。」
「え、だってジャバーは俺らが以前倒したはずじゃ...。」
「俺ら海賊の世界は悪事を働くのが当然の無法地帯だ。俺らの
『海賊同盟』で多少の秩序が保たれてはいるが、それが海賊の
全てじゃない。同盟に加盟していない奴らはたくさんいる。
以前倒した奴らはそんな中の一つにすぎないのかもしれない。」
「今回のが本当のジャバーというのは?」
「残虐な活動が際立っている点だ。今回の奴らは相当派手に
活動しているからもはや世界中に知れ渡っている。海に関わる者なら
知らないものはいないというくらいに。今や各国の海軍が警備を
強めているのにも関わらずにな。これは相当強力な奴らだということ
を証明している。そして、奴らを本当のジャバー、『真・ジャバー』
と呼ばれ始めている。」
「ということは、ハーツ船長。」
「ああ。見つけたら倒してやろう。」
「そうこなくちゃね。」
ハーツ船長らの海賊船は軽快に海を突き進んでいた。
夕暮れ時、、ジルたちの船が航海を続けていると、1隻の船が近づいてくる
のが見えた。その大きな帆には大きなドクロマークが描かれていた。
「海賊だーーー!!」
海賊船を見た、船員、乗客は大慌てで騒ぎ出した。
そこへさらに別の方向から3隻の船が近づいてくる。その帆には青い地に剣と本
の絵が描かれていた。
「あ、あれはアルテリア連合の海軍だ。やった。俺たち助かったぞ。」
今度は一転喜びの声を上げる。
「何だか賑やかになってるなぁ。」
ジルはマルクたちと周りの様子を眺めていた。
ここで船上の誰もが海賊を海軍が退治するか追い払う姿を予想していた。
しかし次の瞬間、皆の期待を裏切る出来事が起こる。
海賊船から2つの大きな紫がかった光が放たれたかと思うと、それらは海軍の船を貫いた。
その後すぐその船は前後真っ二つに分かれ沈んでいった。
ジルたちの乗る船ではその光景を見て、驚きと恐怖の表情で声も出せずに
立ちすくむ乗客がほとんどだった。