dark legend   作:mathto

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残った海軍の船1隻はというと、その様子を見て恐れをなしたのか

海賊船から遠ざかるように動きを変えていた。

そして海賊船はジルたちの乗る船に狙いを定めたかのように近づいてくる。

「俺たち、見捨てられたのか。」

乗客の一人がそうつぶやいた。

海軍の船は段々と遠ざかっていく。

乗客たちが諦めの気持ちに変わっていこうとしたとき、

ジルはマルクと顔を合わせた。

「マルク。」

「はい。」

「久々にあれ、頼めるか?」

「分かりました。『エアフェザー』。」

ジルの背中に白い空気の羽が生える。

「そして、...。」

ジルは自身の剣デイブレードを抜いて念じる。

すると、剣は青色に変化し、全身を剣から発する青色のオーラ

で包んだ。

「名付けて瞬足の剣『ラピッドフレーム』。」

ジルはそれだけ言うと、マルクの魔法の効果も利用し海賊船に向かって

一瞬で跳んだ。

ジルが到着した海賊船の上部マストの所に一人の海賊が待ち受けていた。

「キヒヒヒ。ヨウコソ、ワガフネヘ。オレハセンチョウノジャバー。

アイテヲシヨウ。」

海賊は小柄な体で不気味な仮面を被り手には細身の剣を構えていた。

「(浮いている。こいつも何か魔法かアイテムを使っているのか?

それとこいつの名前、どっかで聞いたような...。)」

ジルは疑問抱きつつも相手の海賊をじっと見つめ対峙する。

そして、剣を通常時の形態に戻して戦闘態勢を整える。

カキーン!!

ジルとジャバーが剣を交える。

 

その間にジルたちの乗っていた船のすぐ横までジャバーの船が来ていた。

ガンッ!

海賊船がぶつかってきたかと思うと、海賊船の方からはしごが掛けられる。

そして海賊船からやってきたのは海賊の服をきたガイコツたちだった。

「きゃー!」

女性の乗客は次々と乗り込んでくるガイコツの海賊たちに恐怖して悲鳴を上げた。

そこへメアリーは剣を抜いてガイコツたちの前に出る。

「ここは私たちで頑張るしかないわね。」

そこへパティは少し前に出て魔法陣を描く。

「来て、フェンリル!」

パティはフェンリルを呼び出し、ガイコツに攻撃させる。

1体のガイコツをバラバラにしたところで異変が生じる。

「うえぇぇ...。」

フェンリルはぐったりと床に伏せる。

「え、これって船酔い?」

「い、意外な弱点ですね。」

パティらはあっけにとられる。

「いいわ、フェンリル戻って。ごめんね、ゆっくり休んで。」

「かたじけない。」

フェンリルは申し訳そうにしながら消えていった。

「仕方ない、私一人で頑張れるだけやるしかないわね。」

メアリーは気合を入れてガイコツに立ち向かう。

 

 

 

そこへ新たな船が姿を現す。その船のマストにはまたガイコツのマークが大きく

描かれていた。

「また、新手の海賊だぁ!!」

「うそ。もう今でも無理って感じなのに。」

メアリーは諦めの気持ちが芽生え始める。

しかし、様子が違った。

後から来た海賊船はジルたちの乗っていた船ではなく、ジャバーの海賊船の方へ

ぶつかってきた。

「よ~し!!野郎ども!これから一暴れしてやるぞぉ!!」

その海賊船はハーツ船長率いるブラックシャーク号だった。

「おおぉぉぉぉぉおおおぉ!!!」

海賊たちは剣を天に向けて勢いづく。そして、次々とジャバーの船に

乗りこんでいく。

「え、え...。」

船上で戦っていたメアリーたちは戸惑いを隠せない。

海賊たちはガイコツたちと戦い始めた。

「ん?」

ハーツ船長はふと上を見上げる。

「お?おーい、お前は確か俺たちが以前捕まえた小僧じゃないか。

こんなところでまた会うとはな、しかも空飛んで戦ってる相手は

俺たちの倒そうとしている真・ジャバーじゃないか。」

「真・ジャバー?そうか。以前倒したやつもジャバーって言ってた

けど、偽物だったってことか。なるほどな。それにしても

おっさん、久しぶりだな。何だか、前より船が格好良くなってる

と思うのは気のせいか?」

「おぉ、なかなか鋭いな。今の船は伝説の海賊キャプテンシルバーの

財宝『ブラックシャーク号』だ。俺にとっちゃ世界最高の船だ。」

「へぇ、そいつはすごいな。じゃ、俺はこのジャバーを倒すから

雑魚のガイコツは任せるぜ。」

「ジャバーを倒すか。頼もしいな。おう、こっちは任せろ。」

そして、2人は自分の戦いへと戻る。

互いに剣をぶつけ膠着状態が続いた後、一旦距離を置いて間合いを測る。

ジャバーは剣を振り上げると剣先が紫色をしたオーラを纏う。

「(あのオーラはもしやさっきの海軍の船を破壊した技か?ならば

こちらも必殺技を使うか。)」

ジルの剣はまた姿を変え、今度は緑色の刀身になる。

「いくぞ、ニムダのじいさんの秘伝書から会得し、この剣の特性を

生かした技。」

ここでジャバーは剣を横に振り、剣に溜めたオーラを一気にジルに向けて放つ。

「『デッドリードライブ』!」

ジルも刀身に緑色のオーラを纏わせるとそれをジャバーの放った

光に向けて剣を縦に振り飛ばした。

「『オーラアロー』!」

紫色と緑色。2つの光はぶつかりはじけた。

2人は続けて2発目、3発目を放つ。

それらはバチン、バチンと大きな音を残して消えた。

 

 

 

一方、ジルとジャバーの下の船上ではハーツ船長率いる海賊たちと

ガイコツたちとの戦いが繰り広げられていた。

「よーし、もうひと押しで倒せそうだぞ。」

「お~っ!」

海賊たちはますます勢いづく。

もはやメアリーたちは何もしなくても片付きそうな雰囲気だった。

 

そして、ジルとジャバーもお互い止めの一撃を狙い間合いを

計っていた。

「キヒヒ、シネ。」

ジャバーの狙いすました突きの一撃がジルを襲う。

「『ブラッディスクリュー』!」

「(無理にかわそうとすれば、ダメージを受けるだけ。

なら、ここは...。)」

ジルは致命傷だけは避けるように動き、ダメージ覚悟で反撃をする。

「(敵の攻撃する勢いを利用してこちらの攻撃の威力を上げる。

これにより通常攻撃が敵の必殺技レベルの攻撃へと変化する。)」

ジルの剣はジャバーの胸を貫く。

「グハッ。」

だが、ジルの脇腹にもジャバーの剣が刺さり深い傷を負った。

「ぐ...。」

ジルはジャバーの体を蹴って互いの体を剣から引き離す。

「グァァァァアア!!」

ジャバーは断末魔の叫びを上げながらその姿を消していった。

一方、ジルの傷口は大きく出血がひどかった。

「ダメージは大きい。だが、俺には、この剣『デイブレード』がある。」

ジルは剣を橙色をした丸みのある形状へと変化させる。

「『ヒーリングソード』。」

オレンジ色のオーラがジルを包み傷口を癒していく。

「よし、これで大、じょ、う、ぶ。」

ジルは傷自体は治ったが、疲労で意識を失う。そして、ちょうどマルクの

魔法の効果である風の翼が消え、ジルは真っ逆さまに落ちていく。

「おい、あれ。」

下で見ていた海賊の一人が指さす。

「やばいな。急げ!」

ジルの落下地点に海賊たちが集まる。

そこで落ちてきたジルをたくさんの海賊が受け止めた。

「よし、やった。」

こうしてジルたちとジャバーとの戦いは終わった。

 

「う、う~ん。」

ジルは眠りから目を覚ます。

「あれ、ここは?」

気付くとジルはベッドの上で寝ていた。

「起きた?」

メアリーはジルを心配そうな表情で顔を覗き込む。

「え~と、俺は確かジャバーと戦って勝ったはずだが。」

「そうです。その後、疲れて倒れたところをあの海賊たちがこちらに

連れてきてくれたんです。」

マルクが簡単に説明する。

「そうか。」

ジルは納得した。

「海賊のハーツ船長が言ってましたよ。」

「何?」

「『お前らがこれから何をしようとしているのかは知らないが、

俺たちはお前らを遠くから応援しているぞ。』って。」

「へぇ。何ていうか、いい海賊だったな。」

ジルにふと笑みが浮かぶ。

「さぁ、バトラスに着くまでもう少しゆっくりするか。」

ジルたちの乗る船は航海を続ける。

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