「俺はフィールド魔法カード、『ファイアーワールド』を発動させる。
このカードは場にいる炎属性のクリーチャーのST、DFを共に200上げる効果がある。
そして、『サラマンダー』ST750、DF600を攻撃表示。『ファイアーワールド』
の効果で『サラマンダー』はST950、DF800となり、『見習い剣士』を攻撃。」
「おっと。俺はここで伏せカードオープン。俺のカードは魔法カード『魔法除去』
これで『ファイアーワールド』を消し去る。(あぶねぇ、こんなカード場にあったら
絶対グレンに有利になっちまうぜ。)」
「ほう。俺は『サラマンダー』で『見習い剣士』を攻撃する。
『ファイアーワールド』の効果がなくても数値は十分上回っている。撃破。」
「く。」
「そして、俺はフィールド魔法カード『ファイアーワールド』を発動させる。」
「何!!」
「『ファイアーワールド』は俺にとってのキーカードの1枚。当然、消されることも
考えてある。さぁ、君のターンだ。」
「(やばい。グレンのペースを崩せない。...いや、まだ始まったばかり。
手はあるはずだ。)俺のターン。」
ジルはカードを1枚引き、手札をじっと見つめる。
「(これしかないか。)俺は『騎兵』ST700、DF550を攻撃表示。
さらに装備カード『光の剣』でSTを500上げる。これで『サラマンダー』
を攻撃、撃破。さらにプレイヤーに250のダメージを与える。
ターン終了。」
「俺にダメージを与えたか。ふん。では俺のターン。」
グレンは特に気にすることなくカードを1枚引く。
「俺は炎の精霊『フレイムタイラント』ST1300、DF1100を攻撃表示。」
「な!?(なんて強力なカードを出してくるんだ。)」
「『ファイアーワールド』の効果でST1500、DF1300に上がる。
当然、『騎兵』を撃破。そして、プレイヤーに300のダメージを与える。
ターン終了だ。」
「(勝てる気がしない。こうなったらあのカードを引くしか...。)」
「どうした?君の番だぞ。」
「ジル!」
「マルク。」
弱気になっているジルにマルクが声をかける。
「ジル、大丈夫。」
マルクはそれだけ言うと、ジルを力強く見つめる。
それを見たジルも表情が変わる。
その変化をグレンがちらっと見る。
「よし、俺のターンだ。ドロー。」
ジルは威勢よく自分の山札からカードを1枚引く。
そして、そのカードを確認する。
「俺はこの魔法カード『理想郷(ユートピア)』を使う!!」
「な、何だと!!!『理想郷(ユートピア)』だと!!」
グレンほ驚きを隠せない。
「あら、あのカードすごく絵柄がきれいね。」
メアリーが感想を言う。
「ば、ばかな。ありえん。このカードは存在しないはずだ。
試作段階で作られたが、結局正式採用は見送られたと聞く。
そんな幻のカードをなぜお前が持っているんだ!!」
「そんなこと言われてもあるんだからしょうがないだろ。
随分前に吟遊詩人からもらったんだよ。」
マルクはじっと見つめる。
「(私もこのカードは覚えています。このカードが特別な物という
のは初めて見たときから感じていました。そして、
ここぞいうところで必ず出てくる気がしていました。)」
「『この『理想郷(ユートピア)』の効果はその場のどんな状況にも関わらず
そのゲームを引き分けにする。『理想郷(ユートピア)』の前では
他のどんな物も無意味ということだ。」
「何!真剣にしていたデュエルを無意味にするというのか!!認めん、認めんぞ。
そんなカード。ジル、表に出ろ。しっかり決着をつけてやる。」
グレンは怒り、席を立つ。
ジルも渋々、グレンに従い席を立つ。
2人は外へ出て、対峙する。
マルクらも後を追って外に出、2人を見守る。
グレンは右手に炎を宿す。
と、そこへ一人の男が現れる。
「あ!ワーグバーグさん。」
マルクは思わず叫ぶ。
「マルクか。だが、今日はお前に用があるんじゃない。その男にだ。」
そう言ってワーグバーグはグレンを指さす。
「人に指さすとは初対面にしては少々失礼だな。」
グレンは不快感を示す。
「そうだな。それは素直に詫びよう。今日、ここに来たのはグレンを
誘いに来たのだ。」
「俺を誘う?」
グレンはワーグバーグの言うことが理解出来なかった。
「そうだ。俺は『魔道連盟』の影響が及ばない場所を補完できる組織、
『魔導協会』を立ち上げた。そこで『魔道連盟』に加入していない優秀な魔法使い
をスカウトしているというわけだ。」
「なるほどな。だが、俺は群れるのは好まなくてな。残念だが断らせてもらおう。