「その方がいいですね。慌てて願い事をする理由もないですし。」
マルクは頷いて言う。
「ありがとうな、ヒヨルド博士。いい情報教えてくれて。」
ジルはヒヨルド博士に礼を言う。
「いえいえ、とんでもない。私の研究の成果を伝えることが出来て
私もうれしいです。」
そうして、ジルたちはヒヨルド博士の研究室を後にした。
ここはD=クラプターの部屋。
「また、やっかいなものが出てきたな。『ストーンボム』か。
調査隊の調べでは、
≪何かに接触することで爆発する。≫
故に石ころでもぶつければ被害は出ないと言いたいところだが、
出現ポイントが街中だと家屋などの建物に被害が出てしまう。
これの特性から作る者と送る者が存在すると考えられる。
その場で作り出すというのは考えにくいからな。
同一の場合も十分あるが、この犯人探しと『ストーンボム』自体の
無効化する方法を早急に考える必要がある。」
街中の『ストーンボム』を前に2人の男が立っていた。
一人はマルクの師匠であるメンデル。そして、もう一人はローブを着た
ボサボサ頭の男だった。
「う~ん、分析は俺の専門外なんだけどなぁ。ネルフのじいさんも
人使いが荒いなぁ。」」
そう言いながらボサボサ頭の男は頭を掻いていた。
「そう言わずに。ホリック、君だってこれは由々しき事態であることは
理解しているでしょう。」
「まぁな。こいつには俺たちが追っているものとのつながっている
線が強いしな。文句はこれくらいして、始めるか。」
ホリックはだるそうにしていた肩をしゃんとし、両手を広げて前に出し
『ストーンボム』に向ける。
「『ストップ(停止)』。メンデル、さぁやってくれ。」
「分かりました。『ウィンドカッター』。」
メンデルは片手を『ストーンボム』に向けると魔法で風の刃を放った。
スパッ。
『ストーンボム』は真っ二つに分かれその場に転がった。
「爆発しないということは魔法が効いているようだな。さて、どれどれ。」
ホリックは魔法をかけ続けたまま近づき、その断面を覗き込む。
「ふ~ん、なるほどねぇ。中は普通の火薬が入った爆弾だねぇ。
その周りに簡単な魔力装置が組み込まれているというわけか。
この魔力回路が(触れたら起爆するセンサー)と(防水性)を担っているようだ。」
「その仕組みなら作るのはそう難しいものではないですね。逆を言えば、
犯人を捜すのは難しい。」
「そういうこと。こいつの転送の痕跡にどれだけの手がかりが
あるかはまだ分からないが、無効化にする件については
望みは十分だろう。」
そう言うとホリックはその場から一旦離れ、魔法を解いた。
バーン!!
止まっていた時計が動き出すかのように『ストーンボム』は
爆発した。
とある部屋で。
「今、1個出来たこところだ。」
そう言って男は丸い玉を1個差しだす。
もう一人の男は傍の机に金を置き、黙ってその玉を持っていく。
「俺は金さえもらえればいいが、あんなものを何の為に
使うのかね。戦争でもあれば別だが、今じゃただの嫌がらせくらいにしか
使えないと思うのだが。」
男はタバコをふかせて呟いていた。
「へぇ、これがうわさの『ストーンボム』か。」
ジルたちもまた『ストーンボム』を見に来ていた。
「どれ。」
ジルは石ころを『ストーンボム』に投げつけてみる。
ボーッン!!
『ストーンボム』は石ころがぶつかるとすぐに爆発した。
「おぉ。本当に爆発したな。」
「でも、これどうするの?」
メアリーが疑問を投げかける。
「そこなんだよなぁ。これを解決するとしたら作った奴を探す
ということになるかな。でも情報をどこから得るか?それも
難しいところだな。」
「ここはメンデル先生に聞きに行くというのはどうでしょう?
もしかしたら魔道連盟も調べていて何か情報を掴んでいる可能性は
十分考えられますから。」
マルクは提案する。
「そうだな。まずはそこから取り掛かるか。」
ジルたちはメンデルへ会いに魔道連盟本部へと向かうこととした。
そのメンデルとホリックはヒヨルド博士の研究室に来ていた。
「この魔力回路を組み込んだ装置を作って欲しいのだが。」
そう言ってホリックは一枚の板をヒヨルド博士に手渡す。
「はい。なるほど、これですか。」
ヒヨルド博士は渡された板に顔を近づけじっと見つめる。
「今、流行の『ストーンボム』を無効化するものなのだが...。」
「なるほど、『ストーンボム』側の魔力回路を狂わせて、起爆しなくさせる
というものですね。」
「そうだ。回路はこちらで作ってみたが、装置として完成させるのに
協力してほしい。」
「分かりました。喜んで協力させてもらいます。」
「なぁ、シド。作戦はすでに動いているのに俺たちの出番はなしか?」
ギルガメッシュがアジトで愚痴をこぼしていた。
「そう言うな。組織として作戦が順調に進んでいれば何も問題はないのだから。」
「まぁ、そうだけど。蚊帳の外ってのは気に食わないんだよ。」
「そうだな。何か考えておこう。」
シドはそう言うと座って眠りについた。