「やった。成功だな。」
「はい。確かにこれで街中でも安全に『ストーンボム』を
消していけますね。」
「ねぇ、次私にスイッチ押させてくれない。私だって一応
魔法使えるんだし。」
メアリーがマルクに話しかける。
「いいですよ。メンデル先生の話では少しでも魔法が使えれば
この装置を使うことが出来るということですので。」
「やった~!」
メアリーはうれしそうにマルクから装置を受け取る。
「じゃ、その次は私ね。」
パティもメアリーと同じように装置を使いたがった。
「おいおい、遊びじゃないんだぞ。」
ジルはふぅとため息をついた。
メアリーもパティも『ストーンボム』の前で装置をのスイッチを押すと
光って作動した。それをジルが剣で破壊する。
「よし、この調子で『ストーンボム』をなくしていこう。」
そうして、『ストーンボム』の問題は解決しようとしてきたとき、
皆に新たな知らせが入る。
広い原っぱにジルたちやメンデルら大勢が情報を元に集まっていた。
集まった皆の視線の先にあったのは大きな黒い石であった。
「こ、これは...。」
その石は普通の家くらいの大きさできれいに整った五角形の柱状になっていた。
これを見た誰もが思っていた。
(これは、危険すぎる。)
これを見たメンデルは冷や汗を流していた。
「(これは、触るどころか魔法で解析することすら危険な気がする。
『ストーンボム』とは全くの別次元の物だ。これは一体何なんだ?)」
メンデルが心の中でそう強く疑問を抱いていると、
「これは『黒の結晶(コア)』。」
「え!?」
メンデルやジルたちはその声の主を驚きながら見た。
それは一人の若い女性だった。黒く長い髪に白いワンピースを着た綺麗な
女性だった。
「これは単純な爆弾ではなく膨大な魔力が詰め込まれた物。作動すれば、世界《テラ》の
3分の1を消滅させることになるでしょう。」
「君は誰だ?」
メンデルは『黒の結晶(コア)』と説明するこの隣にいる不思議な女性に
聞かずにはいられなかった。
「申し遅れました。私はイーシャ。ヘルヘブンの『アビスメーツ』の一人です。」
「君は聖女イーシャか?かつて世界に平穏をもたらした者がなぜ?」
「私は聖女などではありません。ただの悪い魔導士ですよ。」
イーシャは微笑みながら答える。
「私少し説明をしに寄っただけですので、これで失礼しますね。」
イーシャはブンッと光るとその姿を消した。
「何だか謎を残したまま行った感じですね。」
マルクがメンデルに話しかける。
「そうですね。ただ、彼女の言っていることに嘘はないでしょう。
この『黒の結晶(コア)』が起爆すれば、世界(テラ)の3分の1が消滅する。
起爆する条件が何かは分かりませんが、危機的状況に変わりありません。
『ヘルヘブン』が起爆させるスイッチを持っているのか、衝撃による
きっかけによってなのかは魔力による解析も危険がある中では特定が
非常に難しいですね。」
「要するに行き詰まりってことだな。」
ジルが皆の心を代弁して言う。
「なら...。」
ジルは剣をすっと抜く。
「ジル、何をする気ですか?」
マルクは訳が分からず聞いた。
「何って...。決まってるだろ。こいつを消すんだよ。」
ジルは真顔で答えた。
「消すって。一体どうやって?...は、まさか!?」
「そう。それしかないだろう。」
ジルの表情は決意に満ちていた。
「それとは?」
メンデルもジルに問いかける。
「この剣には一つだけ願いを叶える力があるらしいんだ。
それを今、使う。」
「使うって...。分かっているんですかたった一つだけなんですよ。
他にも叶えたい願いがたくさんあるんじゃないんですか?」
「まぁな。でも、今の状況じゃこれを使う以外に手はないだろう。
自分勝手な願いよりよっぽど役に立っていいだろう。」
「しかし、今その剣でこの『黒の結晶(コア)』を消せたとして
第2、第3が現れたらどうするんですか?」
「そんなもん、あるかどうかは分からないし、あったとしても
そもそもこいつが爆発した時点でほぼアウトなわけだろう。」
「それはそうですが...。」
マルクは言葉に詰まる。
「ならやってみるしかないだろう。本当にこれだけだったら、
よかったってことになるしな。」
マルクもジルと同じ表情に変わる。
「分かりました。出来るのはジルだけです。ジルがそう決めたのなら、
私もこれがいい結果になることを願います。」
「ありがとう、マルク。じゃ、さっそくやるか。」
ジルは剣に埋め込まれた『レインボーダイヤモンド』に意識を集中させる。