ボンッ!
小さな煙と共に羽の生えた小さな男の子が現れる。
「はいっ!どうも僕はその『レインボーダイヤモンド』に宿る妖精ロロだよ~。」
「え、え。」
ジルは妖精の登場に驚く。
「僕は『レインボーダイヤモンド』で願いを叶えるときに仲介をする役目が
あるんだよ。」
「へ、へぇ~。じゃ、君に願いを伝えればいいということ?」
「そう!その通り。」
ロロは得意げに人差し指を立て答えた。
「では、さっそく聞かせてもらおう。その願いを。」
「あぁ、もちろん。」
ジルはロロに状況とその願いを伝えた。
「え!本当にそれでいいの?世界一のお金持ちになるとか一国の王様に
なるとか他にもいい願いがいっぱいあると思うのに。」
ロロは驚きの表情でジルに尋ねる。
「いや、そのくだりはもう済んでいるんだけど...。」
「あ、そうだった?じゃあ、聞かなくてよかったんだね。
いや~、それにしても何でそんな願いにするのか僕にはよくわからないなぁ。
どうせなら二度と『黒の結晶(コア)』が出てこないようにした
方がいいと思うけどなぁ...。」
「え!!」
ジルはロロの言葉に驚く。
「そんなこと、出来るのか!?」
すぐにジルはロロに問い詰める。
「え、だって。願い方を変えれば、大丈夫だよ。『この種の物の存在を
無くして』って感じで。『レインボーダイヤモンド』の魔力が及ぶ
程度だから数十年すれば効果はなくなるかもしれないけど、これ1個
消すだけよりはいいんじゃないの?」
「そういう方法が...。よし!それじゃ、それで頼むよ!!」
ジルは希望に満ちた表情でロロに言った。
「オッケー!じゃあ、いくよ。...ほい!!」
ロロの掛け声と共に目の前で大きな存在感を放っていた『黒の結晶(コア)』は
ヒュンッとその姿を一瞬で消した。
「おおぉぉ!!!」
それを見ていた者は驚き喜んだ。
「やりましたね。ありがとう、ジル。」
メンデルはジルに率直に礼を言った。
「うん。これでよかったな...って、あれ?」
ジルは周りを見回す。
「そうそう。僕は願いを仲介するもの。だから願い事が終わればその存在も
消えるのさ。じゃあね、バイバイ。」
ロロの声のみが聞こえてきた。
「そうか、少しの間だったけどありがとう。」
ジルはロロに礼を言って名残惜しんだ。
「これで、この件については解決ですね。」
マルクは喜びながら言う。
「そうだな。こういう使われ方なら『レインボーダイヤモンド』も喜んで
るんじゃないかな。」
ジルは微笑まじりに言った。
暗がりの部屋の中、2つの影が向き合って座っていた。
一人はギーグ。もう一人は暗闇で姿が見えない。
「『ストーンボム』と『黒の結晶(コア)』が潰されました。」
ギーグは向かいの人影に報告した。
「なかなか早いな。まぁ、もともと長く置いておけるものでは
なかったが...。しかし、あれを使わせた事は大きい。」
低く響く男の声が答える。
「そうですね。聖石は我々の活動の大きな障壁になるもの。
それをこの段階で使用済にしたことは価値があります。」
それで、これからは?」
ギーグが先を促す。
「ここからは仕上げの段階に入る。組織としての最後の活動
となるな。」
「ついにあれを実行に移すということですね、キュリオン様。」
とある酒場のカウンターでカフィールとエウドラが並んで座っていた。
「要は敵のアジトは異次元にあるということだろう。」
エウドラはカフィールに言う。
「やはり、そういうことか。」
「異次元の住人がこちら側に現れるということは接点が存在する、
つまりこちらからあちら側に行くことは不可能ではない。
以前、お前に教えた『イルパ』を応用すれば敵のアジトへの扉を
開くということは十分可能だ。ただ、その場所をこちら側で特定
しなければならないという問題はあるが。」
「なるほどな。よく分かった。礼を言う。」
カフィールはそう言って、席を立つ。
「カフィール、詳しくは知らんが、気をつけろよ。」
「忠告、ありがたく頂いておこう。」
カフィールはエウドラに背を向けて店を出ていった。
「さて。」
一人店に残ったエウドラは酒の入ったコップに口をつける。
「失敗をしてしばらくおとなしくしていたが、退屈してきたな。
そろそろ動いてみるか。」
一方、ジルたちは『ストーンボム』の後処理をしていた。
「もうそろそろなくなるかなぁ。」
「まぁ、『黒の結晶(コア)』はもう出ないはずですし、『ストーンボム』も
対応策は出来上がっていますから世界中で協力する人さえいれば、
生産が続いていても消滅させるのは時間の問題でしょう。」
マルクの言葉通り、しばらくして『ストーンボム』の出現は見られなくなった。
D=クラプターの部屋で。
「ようやく、『ストーンボム』の問題も解決したようだ。しかし、そこから
組織『ヘルヘブン』やキュリオンの情報はほぼ何も得られなかったか。
ここは議会で『ヘルヘブン』の対策チームを作ることを提案してみるか。」